11：確認は大事だよね

帰宅後さっそく冊子を読んでみる。

まずは人族用から。

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悪しき魔女が異界の地よりやって来て、悪魔と手を組みガルドを支配しようとした。

それを1人の勇者と8人の仲間が倒し、黒の世界樹に封印した？

その勇者が王となりガルドを復興させ王の銅像を作ったと。

著者は初代ガルド王。ふーん、なるほど？・・・

ではポスの冊子はと読んでみる。

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深淵なる闇がガルドを蝕み始め、異世界より訪れた女性が欲に溺れてガルドを滅ぼしかけた。

それを8人の若者と3人の魔族が食い止め善良な人々を安住の地へと導いた。

3人の魔族は今もなお黒の世界樹となり世界を守り続けている。

その感謝を忘れないように11人を救世主と呼び、教会には8人の若者の像と白と黒2本の世界樹の絵が祀られていると。

著者はフィンドゥリル、監修はジーク・フリートとライカ。

この3人は救世主であったと・・・

なるほど？

うーん、これってどっちかが真実を捻じ曲げてるって事だよね？

まぁ人族用の冊子の方が怪しいんだけど、救世主本人が書いたってのもなぁ・・・

自称救世主かもしれないし？

「かぁたんかぁたん、昨日貰ったものの中に子供用の絵本もあったニャ。

　ほらこれ。これ見たら、ポスの冊子の方が正しいきがするニャ」

「ハチ、冊子も読んだの？」

「読んでないニャ。

　でもかぁたん声に出して読んでたニャ」

「へ？・・・

　マジで？」

「ニャン」

年を取ると新聞とかでも無意識に声に出して読んでる時があるよね・・・

いやまぁ今は若返ってるんだけどもさ。

一旦それは置いておいて、信仰と神々の方を読んでみる。

神々は目には見えぬが実在し日々見守ってくれている。

感謝し敬愛する事で神々は糧を得る事が出来力を得る事も出来る。

600年前の出来事はこの世界にまだ信仰心が根付いておらず、神々の力が弱かった為起こった不運である。

それを補ってくれたのが白の世界樹と黒の世界樹であり3人の魔族であったと。

二度と不運が起きないよう、日々感謝しましょうって事が掛かれていた。

そう言えば似たような事をトト神が言っていた気がするし、元の世界でもお寺で「ご先祖様や仏様に日々感謝しましょう。お風呂でも何処でもいいから思い立った時に今日も1日無事に過ごせた感謝をすればよいですよ」と言っていた気がする。

そう考えると私はフィギアに向かってよく日々の出来事や「いってきます」「ただいま」「おやすみ」なんかを言ってたな・・・

あれ？フィギアに向かって話しかけるとか第三者が聞いたらヤバイよね？・・・

気にしない、気にしない・・・

よし、信仰は大事！　はいOK！！

それにしても困ったな。

明日図書館にでも行ってみるかな、もう少し調べてみないと判断出来ないよこれ。

バステト神やアヌビス神に聞いてみてもいいけど、先に自分で調べてみてからの方がいいよね。

図書館ってあるのかな・・・

考えを切り替える為に軽く昼食を食べた後、皆もまだ戻って来ないので薪拾いに出かける事にした。

ハチは獣人に戻って一緒に行くらしい。

タロはスピスピと寝ていたのでマロとチャイに任せておいた。

てくてく　テクテク

町から離れると段々と寒くなり、薄っすら雪も積もっている。

これ薪集める事が出来るような林や森なんて無さそうなんだけど？

「かぁたん、薪はモンスターから集めるのニャ」

「へ？・・・まさかのドロップ？！」

「モンスター図鑑に載ってるニャよ？」

マジかぁぁぁ。

明日買ってこようかな。

「かぁたん、違うニャ。売ってないニャ。

　モンスター図鑑は自分のステータスの所にあるニャ」

「へ？」

言われて確認してみる。

ギルドタグで見る事が出来る自分のステータス欄の下にモンスター図鑑というアイコンがあった。

これかっ！

ポチッと押してみれば・・・

全部シルエットと「？？？」なんだけども？

「ハチ、こんなのでよく解ったね？」

「かぁたん探した時に倒してるニャ」

「なるほど、倒したら表示されるのね。

　ゲーム仕様かぁ・・・」

あまり町から離れるのもよろしくない気がするし寒いので戻る事にした。

これは下準備が必要だ。

モンスターの分布図とかないのかな、せめて地図が欲しい。

いや、地図ってあったような？

神々が持たせてくれた鞄に入ってたような？

早く気付けよ私。

そしてちゃんと中身の確認しようよ私・・・

家へと戻れば皆も戻っていて暖まる為にお茶を飲んだ後、改めて鞄の中を確認してみた。

世界地図、ポス国地図、ノユク周辺地図、、イシュカの日記・・・

ちょっと待って、日記て誰の？　これ人に読まれたら駄目なんじゃないのかな？

誰よ日記なんて入れたの・・・

私は急いでフィギアに話しかける。

「もしもーし！トト様アヌビス様バステト様ー！！

　知らない人の日記入ってるんですけども！

　これ引き取って下さいー、日記なんて入れたら駄目ですって。

　イシュカって人もきっと困ってますって！」

『『『　ぶーっ！！　イシュカ神の日記？！　』』』

「イシュカ神？！

　神様の日記とか、もっと駄目でしょぉぉぉぉ！

　回収して回収！　今すぐ回収して！」

『　承知　』

シュポッと日記は消えた。

あっぶなぁ、興味本位で見てみなくてよかったぁ。

さて鞄の中身の確認の続きを・・・

鉱石が色々、宝石も色々と、美味しい異世界グルメガイド・・・

グルメガイドって観光じゃないんだからさ・・・

さっきから日記だのグルメガイドだのって、もしかしてこれ入れたのってスットコ神？

そんな気がしてならない。

えーっと、他には？

傷薬、胃薬、痛み止め、蚤ダニ予防薬（ペット用）、寄生虫駆除薬（ペット用）

野営用テント、寝袋、煙草。

おぉー、どれも有難い。

特に蚤ダニ予防薬や寄生虫駆除薬はすごーく助かる。

煙草はきっと貴重品になるだろうから大事に吸わないとだね。

まずは世界地図を見て見ようかな。

おぉ、思ったよりも国が少なかった。

そしてこのミルド国とガルド国がリヴァイアサン海域に囲まれてるのには何か意味があるのだろうか。

『　んむ、あの2つは人族の国でな。まぁ害ある者が出れぬ様になっておる　』

なるほど。

次にポス国の地図を見て見る。ユノクはどこら辺にあるのだろうか。

うわぁお、思ったよりも北に位置してた。

これは思ったよりも寒さが厳しいのかもしれない。

『　ポスは獣人が多いのでな、寒さにもそれなりに対応出来ておるのだ　』

なるほど？

でも寒さが苦手な獣人も居そうなんだけど。

ああ、だから魔石の利用と魔力の奉納があるのか。

それに寒さが苦手な動物は元々南の温暖な場所に住んでるから獣人もムスペルとかの温かい国に住んでるのかもだね。

最後にノユク周辺地図を見て見れば、ちゃんとダンジョンの位置とか森の位置とか載ってたよね・・・

やっぱり最初に確認する事は大事だよねぇ・・・

ハハハ・・・

『　薪を集めたいならほれ、此処がよいぞ。木系のモンスターが多いでな　』

なるほど、ありがとうございます。

ん？・・・

さっきから合いの手が入ってるけどこれって

『『『　キニスルデナイ　』』』

あ、はい。

よし、明日は午前中図書館か本屋に行って、午後からは薪集めをやろう。