9:なにかと疲れた初日
「かぁたん、ちょっと落ち着いて欲しいのにゃ。
時間も時間だし、頂き物を整理しないとだにゃ」
ちゃーちゃんにそう言われて、どっぷりと日が暮れている事に気付く。
「ホントだ、もぉこんな時間になってたんだね。
家の中に戻ってサクッと頂き物の整理しちゃおうか」
皆で家の中に戻りインベントリーから頂き物を取り出しながら仕分けしていく。
手分けしてそれらを収納していくのだけど・・・
食料品や日用品、お菓子やマタタビなどの嗜好品まである。
そして 鍬や草刈り鎌、軍手に日除け帽まで入っていた。
ありがたいよ?ありがたいけどいつの間に貰ったのだろう。
「かぁたん、頂き物いっぱいあるから頂き物で夕飯にするニャ」
「お腹減ったのにゃぁ~」
「そうだね、粗方整理もおわったしご飯にしよう」
ででんでんっ!
テーブルにはこれでもかってくらいなお肉の串焼きの山と、白パンのピラミッドがそびえ立っていた。
マジか・・・貰いすぎじゃないこれ。
「色んな人がね、人数多いんだから持って行けって持たせてくれたのにゃ」
「引っ越したばかりじゃ家の片付けも終わってないだろうし
ご飯の支度も大変でしょってくれたのニャ」
「だから今日はサラダだけ作ったにゃん」
ノユクの皆さん優しい・・・
これは私も町に貢献出来るように頑張らないとだね。
「では町の皆さんに感謝して、頂きまーす!」
「「「「 頂きますニャー! 」」」」
串焼きは 牛肉っぽいのや豚肉っぽいの、鳥肉っぽいのと色々あった。
私はこのヤゲンっぽいコリコリ軟骨が気に入った。
うん、差し歯じゃなくて健康な歯っていいね。安心して軟骨も噛めるよ。
味付けもちゃんとマロ達用のは味付け無しのを渡されていた。
この心遣いが有難い。
アンコとキナは鼻穴広げてフンスフンスと興奮しながら食べている。
マロは静かにうみゃうみゃ食べている。
チロは・・・抱え込んで
「ヴヴヴヴッ ヴミャウナゥ」と威嚇しながら食べていた・・・
チロたんや、食べるか唸るかどっちかにしなさいね・・・
「ゲフッ」
「食べ過ぎたニャ」
「そうだね、かぁたんも食べ過ぎちゃったよ」
流石に全部を食べきる事が出来なかったので、残った分は保冷庫に入れておく事にした。
この保冷庫は魔道具になっていて氷属性の魔石でひんやり保存が出来るようになっている。
魔石に魔力を補充すれば半永久的に使用できる優れ物なので便利だし
インベントリーを付与したからマジックボックスにもなっていて半永久保存も可能。
ただ容量は見た目通りになっている。
いやね?広げると悪戯に入り込みそうなのがね?
チロとかキナとかキナとかチロね・・・
つぃーと視線が逸らされた。
ほらやっぱり入る気満々だったんじゃないか。
「そ、そんな事はないのにゃ」
「ボクタチ イイコナノニャ」
「「 ネー 」」
耳がペタンてなってるよね?
食後の片付けを終えて、皆でのんびりと寛ぎながら溜息をつく。
この家さぁ・・・
一見すると普通のログハウス風なのよ。
なのに私の部屋だけ、どこぞの乙女仕様になってるのはスットコ神の趣味かな?
普通にシンプル仕様でよかったんだけどなぁ。
もしくはゴシック仕様でも・・・
いやでもドピンクのフリフリメルヘン仕様じゃなかっただけマシ?
「かぁたん、時間はたーっぷりあるにゃよ?」
「そうそう。少しづつ自分の好みにリフォームしていけばいいニャ」
「そっか、そうだよね。
じゃぁ改めまして、皆これから宜しくね!」
「かぁたん、そこはこれからもだニャン?」
「あ。これからも宜しくね!」
「「「 宜しくニャー 」」」「あんっ!」
「へ?」
「「「「 ぅにゃ?! 」」」」
「あぉん?」
今 あんっ! て聞こえたよね?
その後に あぉん? て聞こえたよね?
よくよく見れば、マロとアンコの間にモフモフ子犬が挟まっていた。
「ハフハフッ ハフッ あんっ!」
いつの間に? 何処から湧いて出て来た? そして君は誰・・・
子犬が器用に手紙を差し出すけど、嫌な予感しかしない。
見なきゃ駄目かな?・・・
「かぁたん、見ないと何も解らないんじゃないかにゃ?」
「だよねぇ・・・見なきゃ駄目かぁ」
渋々と受け取って手紙に目を通してみる。
【 大変に申し訳ない。
通りすがりの子犬も巻き込まれていたのでそちらに送る。
家族に加えてやって欲しい。
アヌビス 】
・・・
なんとなくそうかなとは思ったよ? 思ったけどさ。
そっかぁ巻き込まれちゃったかぁ。
たぶんあの子だよね?
保護しようと思ってたあの子だよね?
毛色が同じ麿眉のハスキーもどき色だし。
きっとご飯食べに来たタイミングだったんだろうなぁ。
仕方がないか・・・
ハッ まさかこれ以上増えないよね?
さすがにこれ以上は増えないよね?
念を押すけどこれ以上は増えないよね?
小出しにするとか止めてね? 頼むよスットコ神!
取り敢えず子犬に確認しないとだな。
「えーっと、言葉は解るかな?」
「あんっ」
「そっか、判りはするんだね。
じゃぁ喋る事は出来るのかな?」
「きゅーんっ」
「無理かー。成長すれば喋れるようになるのかな?」
「あんっ」
「なるほど。
じゃぁ名前を決めてから明日ギルドに行って登録だね」
「あんあんっ」
嬉しそうに尻尾を振っている。
名前かー、どうしよう。
「かぁたんかぁたん。
今度は驚かないように先に鑑定しておいた方がいいと思うのにょん」
「確かに!さすがアンコたん、頼れる長女!」
アンコのアドバイスに従って鑑定をしてみた。
【ダイアウルフ】
「・・・」
これもあれよね。絶滅した古代狼のダイアウルフって事よね?
ふっふっふ・・・
もう驚かないわよ?
例えカーコ(鴉)が始祖鳥だったとし・・・て・・・も?
「・・・・」
鳥達も鑑定しておこうかな・・・ ハハハ。
止まり木で寝ている鳥達を出窓から確認する。
【ペンタチコロオヤシ】
なんて?・・・
ペタンコロコロオヤジ?
「かぁたん違うにゃぁ、ペンタチコロオヤシだにゃぁ」
ペンタチンコロ・・・長いわ!そして解らんわ!
『魔獣だな』
そっか、魔獣なんだ。よかった。そっちのほうがまだ納得できる。
ん? 今の声は?・・・
まぁいいや、チュンコ達は?
【 夜雀 】
ほっ、よかった。雀のままだったよ。
ってちがーうっ! 夜雀って妖怪じゃないかっ!
まぁ妖怪も魔獣も似たようなものか。
シマエナガはどうだろう。
【シマエナガ:雪の妖精】
ぶっ・・・
確かに雪の妖精と称される事もあるけども!
実際に妖精になってどうする!
『可愛いかったんでつい・・・』
はぃ?・・・
今の声って、トト神だったよね?
て事はさっきの声もトト神て事だよね?
つい、じゃないんだよ。つい、じゃぁ・・・
いやもうなっちゃったなら仕方がないけども!
これ以上は増やさないでね!
前振りじゃないよ! フラグでも無いからね!!
「かぁたん? 大丈夫?」
「うん、なんとか大丈夫だよ。ありがとう」
なんだか凄く疲れた気がする。
初日からアレコレと有り過ぎじゃないかな、まったく。
今日は早めに寝ようかなぁ。
「かぁたん、おいらがマッサージしてあげるニャ」
「マロたんありがとぉ。 かぁたん嬉しい~」
おやすみの挨拶をして猫組と寝室へ戻る。
ばふんっ とベットにダイブすればすぐにでも眠れそうだった。
ふみふみふみふみっ もみもみもみもみっ
マロの【癒しの肉球マッサージ】を受けながら私は深い眠りに就いたのだった。
スットコ神「私だけじゃなじゃないか!」
アヌビス神「私の場合は頼まれてだな」
トト神 「私も頼まれてだな・・・」
バステト神「我は知っておる、頼んだのは鴉だけであろう」
トト神 「何故バレタ・・・」
バステト神「神だからな」
読んで下さりありがとうございます。




