7:ちゃんと挨拶しておこう
ハンターギルドに戻って銀行窓口コーナーに向かう。
私以外は皆外で待って貰っている。
皆の口座にも入金しておこうかと思ったのだけど
「かぁたんが管理して欲しいのにゃ。
おいらたちは必要な時にかぁたんから貰えばいいのにゃん」
と言われてしまったのだ。
正直、お金の管理とかメンド・・・ゲフンゲフン。
まぁそこはおいおい考えるとして。
「すみません。入金と両替をお願いしたいのですが」
「はい、いらっしゃいませ。
入金するお金とタグをこちらのお皿に乗せて頂けますか」
タグと一緒にガッデムさんから受け取った大金貨と中金貨を乗せて渡す。
「両替は如何程なさいますか?」
「今預けた金額の内大銀貨5枚を引き出す形にして
その内1枚を利用しやすいように崩して貰えると助かるのですが・・・」
「はい、承知いたしました。
では中銀貨1枚小銀貨4枚大銅貨1枚小銅貨5枚という形でよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします。ありがとうございます」
窓口のお姉さんはニコリと微笑んで硬貨とタグをお皿に乗せて返してくれた。
「タグに記載された内容をご確認ください」
そう言われ窓口に設置してある確認用の水晶にタグをかざす。
表示内容は本人にしか見れないようになっているらしい。
【 入金額:7,450,000レン 残金:7,450,000レン 】
おぉー、なんか感動する。
「はい、確認出来ました。
両替もありがとうございました」
「いえいえ、お役に立てたのであればよかったです。
ご利用ありがとうございました」
ギルドを出て皆と合流する。
今日は他の用事も無いし、町を散策しながら帰ろうかな。
色々なお店を覗いて物価なんかも知っておきたいし。
「お待たせ。後は帰るだけだから色々なお店覗きながら帰ろうか」
ゾロゾロと連なって歩く姿はすっかり注目を集めてしまっていて・・・
でも嫌な感じでは無くて。
「新しい住人かい? ようこそノユクへ」
「新しい住人だって?ほら引っ越し祝いに持って行きな」
「なんだなんだ?新人か。よし、これも持って行きな」
「ノユクは北にある街だから慣れないと寒いだろう?
ほら暖まるからこれでも飲みな」
「ノユクは田舎町だけどそれなりに賑やかだろう?
住人は気のいい奴等ばっかりだから安心おし」
「助け合わないと田舎じゃ生きていけねぇしな!ワハハハ」
「困った事があったら遠慮なく声かけとくれ」
温かい言葉と共にアレコレと自分の店の商品であろう物を渡される。
皆穏やかな性格で温かい人達だ。
お礼を言いながらふと気づいてしまった。
「あぁぁ!町長の所に挨拶行ってない!」
「・・・」
「ぶふっ」
周囲に居た人々から笑いが起きた。
「ああ、そうよね。引っ越して来たばかりなら解らないわよね。
町の入り口に白熊獣人が門番で立っていたでしょ?彼が町長よ」
「へ?・・・」
「そうそう。だからね。すでに挨拶は終わっていると思うわ」
「な、なるほど。そっか。よかったぁ」
あの白熊門番さんが町長だったのかぁ。だったら大丈夫かな。
ん?大丈夫なんだろうか?・・・
確かに挨拶はしたし、引っ越して来た事もその事情も知っていたけども。
私、ちゃんとした挨拶はしたっけ? してないような気がしなくもない・・・
帰り際にもう一度ちゃんと挨拶しておこう・・・ そうしよう。
皆さんに別れを告げて門へと向かう。
どんな店があるのか、価格はどれくらいなのか。
それらを確認しながら散策するつもりだったのに結果的には色々と貰ってしまい感謝しかない。
にしても荷物がコンモリと・・・
人目に付かない場所を見つけて頂いた物をインベントリーに収納する。
ヨイショヨイショと詰め込んで行くけども・・・
ねぇ、量多すぎない? 気のせいじゃないよね?
ありがたいし嬉しいけども、皆さんこれ商品よね?大丈夫なんだろうか。
何かお礼を考えないとだねぇ。
荷物も仕舞い終わり、再び門を目指す。
歩きながら気が付いたのは
鰐獣人とリザードマンの差が判りにくい・・・
ついでに言えば犬獣人とコボルト、狼獣人とウェアウルフ・ライカンスロープ。
これも解りにくい・・・。犬種と言うか毛色も多種多様になるんだよね。
間違えたら失礼になるし、後で町長さんにでも聞いてみよう。
ゾロゾロと歩き進めると門で仁王立ちしている町長さんの姿が見えた。
大剣を背負っている姿がよく似合っていて格好良い。
そのうち私も装備を整えないとだなぁなどと思いつつ近づく。
「こんにちは!お疲れ様です!」
くんかくんかっ
「こんにちは。用事は無事終わったかな?」
ふんふんふんっ
「はい、ありがとうございます。無事登録手続きも終わりました。
あ、そうだ!
町長さんだとお聞きしましたので、改めてご挨拶させてください。
新しく引っ越してきました、クインと申します。
これから宜しくお願いします。
えっと、この子達は・・・数が多いので追々覚えていただければ・・・」
「「「「 ぅにゃぁ~んっ 」」」」
「ご丁重な挨拶をありがとう。
俺は町長兼門番を務めているシオンだ。
先程は名乗り忘れていたな、すまない。
堅苦しいのは苦手なので気軽に話して貰えるとありがたい」
ふんふんっ チョイチョイッ
「はい、では遠慮なく・・・
さっそくなのですが質問よいです?」
ふがふがっ ぶしゅんっ
「ああ、判る事ならば」
「2つあるんですけど。って、ちょっとまってくださいね」
さっきからくんかくんか、ふんふんとうるさい。
「あのね?じっと出来ないかな?
先に帰っててもいいんだよ?」
「だってあの白いポンポンが気になるにゃ」
「白いポンポン?」
「もしかして 俺の尻尾か!」
「へ? ちょっと!尻尾は駄目よ!遊ばないで!
にゃーたん、このニャンズ4匹連れて先に帰っててくれる?」
「解ったニャ」
結局猫組が暴れるのでハチ以外には猫組の相手をしながら帰って貰った。
読んで下さりありがとうございます。




