5:ハンターギルドで登録をしよう
食事が終わった後、今度こそと皆で町に出掛ける。
今回の目的のギルド登録とPT登録と従魔登録。
その為私と猫と元猫の獣人達とで合計14人、大所帯である。人目を惹きそうだ。
ギルド登録を済ませれば依頼を受ける事も出来るようになるし
自分達で使わない素材を買い取って貰う事も出来る。
勿論素材は個人売買や各店舗での買取も可能だが、大量にあった場合はギルド経由の方が楽なのだ。
個人や店舗だと大量にとか無理だからね。
私達が住む家は町を覆う外壁の外にある。
とは言っても別にポツンと一軒家な訳ではない。
大型の従魔を連れている人や大型の獣人や魔族、それに竜人なども外壁の外に家を構える事もある。
めったに居ないだろうが、うちみたいな大所帯の場合もだ。
ちなみにうちのご近所さんは6軒あった。
町へ出入りする場合は門を通過する事になるが、この場合に必要となってくるのが身分証明証。
身分証明証を提示する事で犯罪への抑止力にもなる。
領都や王都などお貴族様が住んでいる場所になると、各お屋敷への出入りすら身分証明証の提示が必要らしい。面倒くさい気もするけど、これで無駄な争いや犯罪が抑制できるならいいよね。
おっと門に着いた。ライトメールを身に纏った白熊獣人さんが今日の門番らしい。
「こんにちは!お疲れ様です」
「こんにちは、ようこそノユクへ。
おや?昨日引っ越して来た人達か」
「あれ、ご存じなんですか?」
「あー、内緒なんだがな。まぁ当事者だし大丈夫だろう。
クーフィー様の転寝被害者なんだよな?・・・」
ぶっ・・・知ってたの・・・
って、言い方・・・転寝被害者って。
確かにそうなんだけども、もう少し言葉を・・・選びようがないか。
「俺は門番でもあるんだが、
たまにクーフィー様からの神託も受ける事があってだな。
今年の冬はいつもと違う冬になると神託を受けた時についうっかりポロッと?」
「あちゃぁ・・・
さすがスットコ神・・・」
「スットコ?」
「あ、いえ。なんでもないです、ハハハ・・・」
「大丈夫だ、口外はしないさ。
クーフィー様に平謝りされたからな」(遠い目)
あの神様クーフィーって名前だったんだ。まぁスットコ神って呼ぶけども。
だってそうじゃない?
天候と言うか今年の冬の傾向について話しててどうやったらついうっかりポロッと私の話が出てしまうのだろうか。
どんだけスットコかましてくれてるのよ。
まぁ時に問題にならないのであればいいけども、出来れば目立ちたくはないので今後はくれぐれも注意して頂きたい。
何か既に目立ってる気もするけど。
14人だしね!って事にしておこう。
門番さんにギルドの位置を教えてもらい、町の中へ入る。
木造家屋が多いけど、所々に白壁の建物や石垣が合ったりもする。
雰囲気的にはヨーロッパの田舎町にありそうな感じだ。
大通りにはいろいろな店が並んでいて活気づいている。
武器屋や防具屋なんて物があるのも新鮮だったりする。
ノユクの町を含めたこの国では獣人が多いようだった。
各ギルドは町の中央付近に隣接するように建てられているので解りやすい。
ハンターギルドの看板は弓と剣が交差して描かれていた。
入り口の扉を開けて中にぞろぞろと入るとどよめきが起きた。
うん、まぁそうだよね。こんな大所帯だもんね。
「いらっしゃいませ、ようこそハンターギルドへ。
ご用件を伺いますのでこちらへどうぞ~」
受付嬢らしい白兎獣人のお姉さんが声を掛けてくれたので登録手続きをしたい旨を告げる。
「登録手続きは凄く簡単なんです、説明させていただきますね。
こちらの水晶に手をかざして少量の魔力を流して頂くだけなんです。
魔力は個人毎に違いますので
名前やLVなどの個人情報も一括登録できちゃうんです。
本人以外は使用出来ないので銀行口座も兼ねているんですよ~。
あ、ご安心くださいね。
個人情報と言っても一般公開されるのは所属ギルド先と名前と種族
それにPT名とランクくらいですから。
スキルや個人LV、個人ランクなどは本人の許可が無ければ表示されません。
お連れ様とPTを組まれるご予定でしたら
先に組んでからギルド登録の方がよろしいかと~」
「なるほど、ご丁重にありがとうございます」
PT結成はPT名を決めた後にPTを組みたい相手と手を繋いで魔力を流せばいいと教えてくれた。
どうせなら戦闘向きスキルでは無い子達も一応PTを組む方がいいだろう。
一緒に行動する事もあるだろうしね。
PT名か、何にしよう。
うーん・・・
ベルクカッツェでいいかな。ゲームでのギルド名で愛用してたし。
ガッチャ〇ンの敵キャラの名前じゃないよ?山猫って意味だからね?
名前が決まったので皆で輪になって手を繋ぎ魔力を流してみる。
魔力の流し方はなんとなく解かったから、基礎知識の1つとして付与してくれてたんだろうな。
ホワンとした温もりに一瞬覆われた。たぶんPT結成成功かな。
パチパチと拍手が起こり周囲に居た人々からおめでとうと声を掛けて貰った。
ありがとうと答えるも、なんだか照れ臭い。
無事PTも結成出来たところで
私、にゃーたん、ハチ、ナオ、チロ、キナがハンター登録をした。
チロとキナは私の従魔扱いになると聞いて不満気だったけど
ちゃんと自分用のタグがある事で納得したようだった。
手にしたギルドタグを確認してみる。
【 クイン・バスティート・グレイン 種族:人族
所属PT名:ベルクカッツェ ランクF
所属ギルド:ハンターギルド・ノユク支部 】
へぇ、私の名前クインになってるんだ。今初めて知ったよ!
確かに元の世界の名前は使えないとは聞いてたけども!
って、クインはSNSで使ってた名前だしバスティートってバステト様?
え?どういう事? いいのそれ・・・
まぁ、かぁたんで登録されなかっただけまだマシだと思おうかな・・・
ハハハ・・・
「依頼達成やフィールドでの狩りなども経験値が入りますので
時々そちらの水晶にかざして情報更新してみてくださいね~。
Bランク以上になると特典が付いたりもするので頑張ってくださいね」
他の町や王都に行った時、ギルド所有の宿泊施設に格安で泊まれたり
温泉地にあるギルドの保養施設が割引額で使えたりするんだそうな。
それに領都や王都などだとランクによって利用制限がある店舗なんかもあるらしい。
なるほど、これは頑張ってランクを上げないとだね。
次の職人ギルドに向かおうとして白兎の受付嬢に呼び止められた。
「獣魔だと解るようにお揃いのアクセサリーを身につけておくとよいですよ。
大通りにガッテムさんと言うドワーフが経営する従魔装備店があるので
そこがオススメです」
ガッテム・・・
某レスラーを思い出してしまったじゃないか。
確かに従魔だと解る物は有った方がいいかもしれない。
野生だと思われて襲われたり攫われたりしても嫌だしね。
どうせなら皆でお揃いにしてもいいかもしれない。
職人ギルドでの登録が終わったら行ってみよう。
受付嬢にお礼を言ってハンターギルドを後にし職人ギルドへと向かう。
カランカランとこちらにはドアベルが付いていた。
ハンターギルドの様に人がたむろっている訳ではなさそうで、チラホラとしか人が居なかった。
それでも小声でどよめきが起こったけど・・・
「いらっしゃいませ、ようこそ職人ギルドへ。
ご用件を伺います。こちらへどうぞ~」
こちらの受付嬢は黒兎の獣人だった。
職人登録をしたい事を伝えてハンター登録同様に手続きをする。
手続きをするのは マロ、アンコ、ちゃーちゃん、ちょこ、クロ、チャイ、コキ、ビビ。
とは言えマロとアンコはやっぱり私の従魔扱いになるのだけど。
マロのスキルが【癒しの肉球マッサージ】だったし、アンコのスキルは【幸運の肉球スタンプ】とかってので幸運LV+1を付与出来るらしいので職人登録にしてみたんだよね。
黒兎の受付嬢は小さな声で
「まぁまぁ!癒しの!肉球!マッサージ!!
あらあら、こちらは幸運の!肉球スタンプ!
はふぅ~ん、お店は開かれませんの?私絶対通いますのに」
と鼻息をフンスとさせていた。
たぶん他の人の従魔がこのスキルを持って居たら私もフンス!となっていたと思う。
引っ越して来たばかりなので、生活が落ち着いたら考えてみますねと言っておいた。
バステト神「・・・」
スットコ神「いやついうっかりね?
この冬は気を付けてって伝えるつもりがね?」
3神 ジト目
スットコ神「うっ、わざとじゃないんだよぉ~」しくしく
アヌビス神「うっかり神でよいのでは?」
トト神 「うっかり神 スットコ神・・・」
バステト神「スットコドッコイが正式名称らいいので
ドッコイ神でもよいのでは?」
3神 「ドッコイ神・・・」
スットコ神「なんかドッコイはいやだぁぁ~」
アヌビス神「やはりスットコ神がゴロも良いのでは?」
トト神 「うむ」
読んで下さりありがとうございます。




