200 次の依頼
翌日、僕とアーサーはいつものように冒険者ギルドへとやって来た。
もしかしたら依頼書は一枚も貼り出されていないかもしれない。
そんな状況も覚悟していたが、幸いな事に数枚の依頼書が貼ってあるのが見えた。
僕達はドキドキしながら近づいていきその依頼書を覗き込む。
『ビッグフロッグの駆除』『レッドスパイダーの捕獲』『ローカストの駆除』
そんな依頼書が貼ってある。
『駆除』という依頼が多いのは害虫対策の一環なんだろう。
そんな中、『レッドスパイダーの捕獲』という依頼が気になった。
依頼書に目を通すと注意書きとして『生け捕りにする事』と書かれている。
『スパイダー』という事は『蜘蛛』の事だよね。
『レッド』と書かれているから赤い色をした蜘蛛がいるって事なんだろうか。
「エド、どれにする?」
アーサーに聞かれて僕は考え込む。
『ビッグフロッグの駆除』とあるのは『大きなカエルの駆除』だろう。
どれぐらいの大きさのカエルかは知らないが、あまりやりたいとは思わない。
ちっちゃいアマガエルは可愛いとは思うけれど、それでも触りたいとは思わない。
それを考えるとそれよりも大きなカエルの駆除なんてとても出来るとは思えない。
『ローカストの駆除』にしても『ローカスト』が何か分からないからな。
それならば『レッドスパイダーの捕獲』をやってみるのもいいかもしれないな。
昨日のドラゴンフライの件で結界に生きたまま閉じ込められることがわかったから、一番妥当じゃないかと思う。
「この『レッドスパイダーの捕獲』をやってみないか。他の『駆除』っていうのはその対象がうじゃうじゃいるって事だよね。そういうのよりはマシかなって思うんだ」
僕がそう訴えかけるとアーサーは顎に手を当ててしばらく考え込んでいた。
やがて『レッドスパイダーの捕獲』の依頼書に手を伸ばすとそれをボードから剥がした。
「駆除よりは捕獲の方がいいよね。それに捕まえるのは一匹だけって書いてあるから案外早く終わりそうだしさ」
アーサーの言葉に僕は再びその依頼書に目を通した。
確かに捕獲するのは一匹だけとある。
それを見て僕の心に一抹の不安がよぎったが、すぐにそれを打ち消した。
僕達は冒険者ギルドを出るとレッドスパイダーがいるらしい場所を目指した。
王都の街から出てしばらく進んだ先の森へと入った。
依頼書によれば、この森の奥の方にレッドスパイダーがいるらしい。
おそらくレッドスパイダーだけでなく他にも色々な魔獣に出くわすかもしれないな。
期待と不安を胸に僕達は森の奥へと進んでいった。




