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195 依頼の確保

 ローリーポーリーの採取を終えて冒険者ギルドへと戻ってきた。


 依頼達成のサインが入った依頼書を受付に持っていった。


「こんにちは。これをお願いします」


 受付の女性に書類と僕とアーサーのギルドカードを一緒に提出した。


「ご依頼を達成されたんですね。おめでとうございます。カードにポイントをお付けしますので少々お待ちください」


 彼女は書類とカードを受け取ると、書類に目を通していった。


 書類を引き出しにしまうとカードを持って僕達に背を向けた。


 そこにある機械にギルドカードを通して何やら操作をしている。


 それが終わると彼女はクルリとこちらを振り返った。


「お待たせいたしました。本日のポイントをお付けしました」


 僕とアーサーはそれぞれギルドカードを受け取った。


 見た目には何も変わったようには見えないが、確実にポイントは加算されたようだ。


 ギルドを出ようとしてふと依頼書が張り出されているボードに目をやった。


「ラージバタフライの羽根」の依頼書はなくなっていて、代わりの依頼書が貼られていた。


 そこには「ドラゴンフライの羽根」と書かれてあった。


 ドラゴンフライってトンボの事だよね。


 別にわざわざ冒険者ギルドに依頼書を出さなくても自分達で採取出来そうなものだけどな。


 あえて依頼書を冒険者ギルドに出すのには何か意味があるんだろうか?


「エド、何を見てるんだ?」


 立ち止まった僕に気づいてアーサーが戻ってきた。


「いや、朝と依頼書が変わっているから何が貼られたのか見ていたんだ」


「どれどれ。あ、本当だ。『ラージバタフライの羽根』が無くなってる。代わりに『ドラゴンフライの羽根』になってる」


 アーサーは依頼書に近寄ると何を思ったのか、その依頼書をピッと引っ張って剥がした。


「アーサー?」


 まさか、今からその依頼を受けるつもりなんだろうか?


「明日来たらこの依頼書が無くなっているかもしれないだろ。だったら今から剥がしておいた方がいいかなって思ったんだ」


 確かに今依頼が減っているから、明日この依頼書が残っているという保証はどこにもない。


 他の依頼書が貼られるという保証もないので、今のうちに剥がしておくのもありだろう。


「それじゃ明日はここに寄らずに直接この依頼の場所に行って『ドラゴンフライの羽根』を取りに行こうか」


「そうしよう。この依頼書は僕が預かっておくよ」 


 アーサーは依頼書を自分のポケットにしまい込んだ。




 翌日、僕達は直接ドラゴンフライが出現するという川の近くに来ていた。


「依頼書によるとこの辺りをドラゴンフライが飛んでいるらしいよ」


 確かにトンボは水辺に生息するって聞くからな。


 幼虫のヤゴは水の中に住んでいるんだし、この周辺を探せばトンボが飛んでいるはずだ。


 そう思ってしばらくこの辺りを探してみたが、残念ながらトンボには出会わなかった。


「おかしいな。依頼書によるとこの辺りで間違いないはずなんだけどな」


「もう少し上流に行ってみようか? こことは少し環境が違うと思うよ」


 この辺りはまだ人が足を踏み入れるから、トンボはあまり人が近寄らない所にいるのかもしれない。


 僕達は川の上流に向かって歩き出した。


 徐々に辺りの景色も変化してきた。


 川の周りに草が生い茂ってきて、人が通るような道が無くなってきた。


 流石にこの辺りまでくればトンボも飛んでいるんじゃないか?


 そう思った時、向こうから大きな模型飛行機のような物が飛んできた。


 まさか!?


 この世界に飛行機?


 だが、近づいて来たそれを見て僕は驚愕した。


 飛んできたのは模型飛行機じゃなくて大きなトンボだったのだ。


 

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