戦士たちの帰還編
ガラド、リュウガに従い行動しているイレギュラーで、リュウイチの事をあの方と呼んでいた。彼の事をそう呼んでたのはリュウイチとリュウガが双子の兄弟だったからだと理解したのは、二人の関係について知ってからすぐの事だった。
あれから約一年経った今、再び姿を現したガラド。こいつを粛正した時はいつもリュウイチがいたけど、今はいない……でもだからって負けはしない。あの時から私たちは強くなってるんだから、彼がいなくてもこいつも含めリュウガを必ず粛正する!
「ここだと場所が悪い外に転移するわ!」
ユリナがそう言うと、ガラドも含めた全員が施設の外へとワープさせた。ここなら遠慮なく戦える!感謝するわ、ユリナ!
「リュウガ様の秘密を知った者は生かして帰さん!まとめてあの世に送ってやる!」
「イレギュラー風情がよく言う、貴様こそ覚悟するんだな!」
ガラドとレッカが衝突し合い、激しい攻防戦が始まった。私も加勢しようとした時、魔物たちの気配を感じてそちらに体を向ける。
「こいつは、ギガントモンスター!空間から出てきたって事は、ガラドの野郎が呼び出したのか?!」
「カイさんの言う通りみたいですね、ガラドだけでもなかなかの強敵なのにこの上ギガントモンスターまで!」
どうやっても私たちを殺したいって事ね。でもそう簡単には死なない、私たちは死ねないのよ!
「カイ、キラ、ユリナ!ギガントモンスターは任せるわ、残りはガラドを!!」
「分かった!」
「分かりました!」
「分かったわ」
「はあああああ!!!」
サツキは怒号の様な声を上げながら、ガラドに攻撃を開始した。その表情は憎悪に満ちている……きっと私もそうだと思う。
「あの時の女共か、前とは違って余裕を感じないな。何か嫌な事でもあったのかな?」
こいつ!
「お前に……お前に何が分かるっ!!」
「あたしたちの気持ちがお前みたいな奴らに分かるものか!!」
私とサツキはある意味連携のとれた攻撃を放つ、リュウイチを殺した奴の仲間なんかに、とやかく言われたくなんかない!
「落ち着きなさい二人とも!憎しみだけで戦ってはこいつらと変わりないわ」
「あたしはこいつらと同じなんかじゃない!信念をもって戦ってるんだから!!こいつらを……イレギュラーを皆殺しにするために!!」
サツキの怒りが頂点に達したのか、先程より大きな叫び声をあげながら、制止したユマリに怒鳴り散らした。私も一瞬あの子と同じ気持ちに至ったけど、その姿と言葉を聞いてなんとか自我を保てた。
「信念なんて言葉で片付けないで、そんなのただの言い訳だわ。それは兄さんの様な信念なんかじゃない!」
キッとユマリを睨みつけるサツキだが、ユマリはいつもの様に落ち着いた表情で論している。
……違うわね、いつもより真面目な表情をしている。彼女の声も心の底から出ているような声色だ。
「……」
攻撃をしながらレッカは私たちの様子を見ながら戦っている、これ程のイレギュラー相手にそんな余裕があるなんて、やっぱりこの人は強いんだ……きっと心の方も。
私達3人も一応攻撃は続けている。でもその一撃にはレッカみたいに力が入っていないかもしれない、少なくとも私はそうだから
「お喋りをしながら戦うとは……私をなめているのか!!」
くっ!!
ガラドの一撃をガードして私たちは後方へ吹き飛ばされ、受身をとる。ダメよ……今は戦いに集中しなくちゃ!
でも……だけど……!!
「くっ!!……兄さんなら言うはずよ、本来の目的を忘れるな、と……私たちは違うでしょう?兄さんの敵討ち"だけ"が目的じゃない、イレギュラーを粛正して、みんなでのんびり暮らす事が私たちの夢のはず。それを忘れたら、兄さんに叱られてしまうわ」
っ……リュウイチ……
『僕の夢?強いていうなら、のんびりできる日々を過ごしていたい。だから面倒事を起こすな』
彼はずっと前に私たちにそう話してくれた事がある。まだほんの子どもだった頃に。リュウイチ、あなたの夢を私たちが叶えてあげたい!
「……サツキ、子どもの頃リュウイチとお互いの夢について話した事があったでしょう?それを思い出して」
「夢?」
私がそう言うと、ハッとしたような顔をすると、やがて唇を噛みしめながら瞳に涙が薄らと浮かんできた。そうよ、彼は敵討ちだけに固執する事なんて望んでいない。彼の……私たちの夢を叶えることを望むはず。
「ミツキ、思い出してくれてありがとう。サツキ、兄さんのおもいを受け継げるのは私たちの役目なんだから、しっかりしなさい」
「3人とも仲直りは済んだか?そろそろ本腰を入れて奴を倒すぞ」
「そ、そんなこと言われなくても分かってるよ!……ごめんね、ユマリん……みぃ姉も、ありがと」
「ええ……さあ、行くわよ!」
私の掛け声と同時に4人で一斉に攻撃を仕掛ける、ガラドはそれを真正面から受けるつもりなのか逃げようとする素振りすら見せない。
「来い!女ども!!」
「相手は余裕のようね、でも私たちの連携なら……!」
「うん!負けたりなんかしない!!でやぁ!!」
サツキの攻撃がガラドに向かって放たれた、しかしそれを大きな斧で防ぎ、間髪入れずユマリとレッカと私が順に斬りかかる。
ガラドはそれらをなんとか凌ぎ、反撃の態勢に入った。
でもそんな事はさせない!
「なに!?」
連続して私たちはガラドに攻撃をしかけ続ける。
そう、確かにこいつの怪力と攻撃は強力だけど、それさえやらせなければどうと言うことはないもの!
ガキン!ガキン!
ガキン!ガキン!
「はあああああ!」
「ふっ!!」
「でやぁぁぁ!!」
「くらいなさい!アサギリ流!滅光月閃!!」
ブン!!
ザク!!
「ぐおっ!!馬鹿な……!?」
やった!!一撃入った!!
私のスキをついた攻撃が通った。確かに手応えがあったから、結構深手のはず。
「くっ……クソが!こんな女どもにこの私が!!」
「ミツキ、皆!大丈夫か?!」
カイたちもギガントモンスターを退治したみたいね、カイたちが心配しながら駆けつけてきた。
私は3人に頷いて見せ、一安心させる。
「面倒なモンスターを召喚しやがって……さあ、最後はお前1人だ、覚悟するんだな!」
「……チッ女ども相手に油断してしまったようだ。だが忘れるなよ!貴様らは必ずこの私が始末してやる!必ずだ!それまで覚えておけ!!」
そう吐き捨てると同時に時空間転移を使ってガラドは姿を消した。
「……はぁ!はあ、はあ、はあ……どうやらひいたみたいね……ふぅ……」
緊張の糸が切れ、私はその場で膝をついた。サツキも同様にその場に座り込み肩で息をしている。ユマリとレッカは……相変わらず涼しい顔をしている、まったく、どんな体力してんのよ。あの2人は……
「さっきまで感じられてた敵の気配をまったく感じない、どうやら本当に退いたみたいね。いつまでもここにいても仕方ないわ、町に戻ってベースに連絡をしましょう」
「そうね、そしてここをどうするかマスターたちと話し合わないと、データと資料はある程度持ち帰って、マスターに預けた方がいいわね」
「だな、んじゃ、帰るか!」
「……りゅうくん」
……
「サツキ、行きましょう」
「……うん!」
私の呼び掛けにいつもの元気な返事を返してきた、こんな元気の良いサツキらしさを体感したのはいつぶりかしら?少しは重荷を断ち切れたって事なんだろう、よかったわ……
リュウイチ、私も頑張るね。皆とあなたの夢のために……!!




