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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜悲劇編〜
27/112

一つの物語〜悲劇編4〜

登場人物


・リュウイチ

特務執政官、リュウイチ・ナルミ部隊隊長で"自分のため"を信念に戦う成年。戦闘時は基本、2本の剣と二丁の魔銃を使う戦闘スタイルだが、基本的に右手だけで剣を扱っている。冷静沈着で頭脳明快であり、戦場に行ってもその性格を活かし、的確な指示を出し的確な行動をとる。そのため部下や仲間達からあつい信頼を寄せられている。ミツキ達を始め、多くの女性に想いを寄せられているが、本人はそれを躱しており本人達にもその気は無い事を断言している。家族関係は兄が一人、弟と妹が一人ずついる。


・ユマリ

リュウイチ直属の一等粛正官で彼の部下兼護衛を務めている。物静かであまり多くを語らない、幼馴染のリュウイチを兄と呼んで彼を慕っているが、その想いは兄としてではなく、一人の男として彼に好意を抱いている。ミツキと同じく少々独占欲が強い。

兄のレイとジュンの事は名前で呼んでいる。彼女曰く、自分の兄はリュウイチだけとの事。

兄に似て魔法も使えるが、基本的に短刀を使い、まるでニンジャのような動きをする。


・ミツキ

幼馴染のリュウイチと同じ特務執政官でミツキ・アサギリ部隊隊長である。リュウイチに惚れており、彼の実の妹にすら嫉妬や警戒心を抱くほど彼を想っている。しっかりしてるがここぞと言う時に詰めが甘い時があり、私生活でもどこか抜けている。容姿端麗、頭脳明快、長く綺麗なポニーテイルが特徴。その容姿と優しさからヘヴンの隊員達には人気が高い、しかし当の本人はリュウイチにしか興味が無い。ちなみに妹であるサツキに劣らないくらいの怪力を有しているが、それを使う事はあまりない。


・サツキ

リュウイチの幼馴染でミツキとは3歳離れた姉妹。一等粛正官サツキ部隊の隊長。並外れた怪力の持ち主で、それが災いして被害を拡大させてしまう事がしばしばある。本人は一応気をつけて行動したいるもののなかなかそれが実らない。

姉のミツキ同様リュウイチに好意を寄せているが、時にミツキ達を応援するそぶりを見せたり、リュウイチに迫ってからかったりする事が多く、何を考えているのが分からない時がある。姉に似て顔はかなり綺麗に整っていて、サラッとした茶髪のセミロングが特徴


・カイ

リュウイチのガード兼親友であり、彼の護衛で彼の良き友でもある。リュウイチと同様剣の使い手で腕前は超一流であり、素早さに特化した戦闘スタイルである。極度の緊張症で女の事になると右往左往してしまい、言葉がたどたどしくなる。が、男女関係なく気さくな性格なので、女は勿論男にも人気がある。


・レイ

カイと同じくリュウイチのガード兼親友。いつも笑顔を崩さない明るい成年で妹にユマリ、弟にジュンがいる。魔法を得意としており、時空間魔法や上級魔法も短い詠唱で発動する事ができる所謂天才であり、本人はそれを誇示したりしない。たまにサツキと一緒になって悪ノリをしてリュウイチに叱られることがあるが、反省はしていない様子。


・キラ

リュウイチ部隊の一等粛清官であり、ユマリとサツキ達の同期。穏やかで優しい性格で、部下などにも分け隔てなく接する好青年。潜在能力が高く、単体で大物イレギュラーやギガントモンスターを粛清できるくらいの実力があるが、本人はそれを謙遜している。

モンスターよりイレギュラーの粛清を主に行っており、戦闘スタイルは魔銃を駆使して戦う。その射撃の腕前は極めて高く、狙撃も難なくこなす。

「リュウイチさん」




……?




「リュウイチさん」




う、うぅ……ぐっ!




体を動かそうとした瞬間、痛みに襲われ眉をひそめる……あぁ、そうかあの時僕は激流の中に落下したんだったな。


……


……なんで呼吸できてるんだ?ここは水中だぞ?


なにが起こってるんだ?痛みは感じるし、僕は生きてる……よな?

何気なく自分の両手を見てみると、淡い光に包まれている……なんだ、これ?

そう思っていると、光が段々弱まりやがて消えた……


ゴボッ!


光が消えた途端、息をする事が出来なくなり空気ではなく水が僕の体内に流れ込んで来た。

と、とにかく水面に出ないと今度こそ本当に溺れる!


「プハッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴボッ……ど、どこかに陸は……?」


完全に流される前になんとか陸に辿り着かないと……あれは?

激流に流されながら、前方に陸のような平地が見えてきた。


あそこなら!


僕は疲弊しながら陸に向かって泳ぎ続け、平地に手を伸ばす。


……っ!


「はあ……はあ……くそっ……僕ってこんなに体力無かったか……?」


この疲弊の仕方、少しおかしい……落下して体中を痛め、水中を漂っていたとしてもこんなに疲労するなんて……そんなに長い時間気を失っていたのか?


「……あいつらは、ミツキ達は無事なのか?早く合流しなければ……」


くっ……ダメだ、這い上がる力すら無い。意識が飛びそうだ……帰ったら絶対にたこ焼きを食べないと……な……











「……お兄ちゃん……」



……っ?



「……起きて……」



……誰だ?



ミナト……な訳ないよな、あいつ以外に僕をお兄ちゃん呼ばわりされる覚えはないぞ……


「……みんなが危ないよ……」


みんな……?


「り、りゅう……く……負けて……たまるかぁ……!」



この声は、サツキ……か?



「その脆弱なる希望……我がつゆと消してやろう……」


これは、誰だ……?



この悲鳴と呻き声は……サツキ達か……!?

誰だか分からないが……これ以上好き勝手にさせる訳には……!!


くそ!動け、動け!

こんな所で倒れてたまる……かぁ!!




「さあ、混沌の闇へ消えゆーー……」


「調子……に……」


そうだ、これ以上!!


「!?」


「調子に……乗るな!!」


僕は動かない体に喝を入れ、目一杯力を振り絞り自身を拘束していたものを振り解いた。

自由になったは良いが、その途端自分が宙に浮いていると理解し体制を立て直すべく空中で一回転し平地に着地した。

瞑っていた瞼を開けると、目の前にはサツキ達が倒れてぐったりしている。


やれやれ……


「世話のやける奴らだ」


僕は皮肉を口にしながら治癒魔法を全体に発動させた。まったく、僕もふらふらな状態なのに生意気な奴らだな


「りゅうくん!!あれ、体が動く……」


「リュウイチ様の回復魔法のおかげでしょう、相変わらず規格外なお人だ……ありがとうございます」


サツキに続きレイ達も上体を起こし始める……もう大丈夫そうだな。


「で?なんだこのバリバリに成長した女は、いくらなんでもデカすぎだろ。スタイル維持に失敗したのか?」


みんなが回復した事を確認し終え、僕は振り返り巨体の女に目を向ける。

こいつから感じるこの異様な気配……ここまで来る間に感じていた気配の正体はこいつだったのか


「分からねえが、ヤバイ奴だって事は間違い無い……リュウイチ、戦えるか?」


そんな事を考えていると、カイが僕の質問に返答した……が、何者かって事は分からないままか


「ああ、僕がやる。お前達は下がってろ」


「な、何言ってんよ!あなたまだ体調が万全じゃないでしょ?!さっきまで意識を失ってたくらいだし、それにーー」


「橋から落ちたのに……か?」


ミツキの発言を最後まで聞かず間髪入れずに僕が答えると、少々動揺したのか唖然としている。


「安心しろ、お前らに守ってもらうほど衰えていない。その証拠に、お前らを回復させてやったろ?良いから僕に任せておけ」


「おや、リュウイチ様が気絶している時に僕がーー」


「シールドを張ってた、だろ?でも実際、僕の方に攻撃は及んでいなかったんじゃないか?」


僕は再び言葉をさえぎって発言すると、レイはいつもの笑みを消して驚いていた表情をした。


「……兄さん、偶然じゃないわよね?なぜそこまで分かったの?」


…………


……あ、そう言えばそうだな


「なんでだろうな、何となく予想できたと言うか……っ!」


攻撃の気配がして咄嗟に全体シールドを張る……なんだ?どこかいつもと違う感じが……


「す、すごい……一瞬でこれほどの強力なシールドを発動させるなんて……確かに規格外だ……」


「まあ、こういう訳だから僕一人でやる。いいな?」


「りょ、了解です……」

「り、りょ〜かい……」

「了……了解……」


全員の吃っている返答を聞いて、僕は剣を抜かないまま鞘ごと抜いて構える。


「少々サイズが大きめだがお前も一応女みたいだし、なるべく傷つけないようにしないとな」


「お、おいおい、マジかよ……いくらなんでもこいつ相手に手加減しない方が良いんじゃねぇか?」


カイが不安を含んだ声を漏らす。言いたい事は分かるが、これは僕の信念の一つだからな、せっかくの御心配だがしっかり信念を貫かせてもらうぞ。


……まあ正直、疲労困憊なんだけどな……だが!


「大丈夫だ、負ける気はない……と言うか、負けるなんて思いもしてないからな!!」


さあ……


行くぞ!!


再び相手の攻撃の気配を感じ、すぐさま飛んで回避する。案の定上級レベルの魔法を放って来た。


……こいつ、まさか


「まただ!詠唱も無しに上級魔法を発動させた……リュウイチ、気をつけろよ!!」


違う、詠唱無しで発動させてるんじゃないこれは……

僕は間合いを詰め、とりあえず片腕を使えなくさせるために鞘と体を駆使して敵の腕をねじ曲げようとした。


「小賢しい……」


……やはり僕の動きを悟っているようだな


敵は僕の動きを察知し、巨体に似合わない俊敏力で回避した。僕は体制を立て直し防御を固める。


っ!

防御はできたが少々力を緩め過ぎたようで、後方に飛ばされた。なるほど、さすがに威力があるな。


「りゅうくん!!大丈夫!?」


飛ばされた直後すぐに宙返りをして着地すると、サツキが心配そうに声をかけて来た。

僕は軽く振り向いて頷いて見せると、ほっと胸をなでおろした。

その瞬間、敵が攻撃する気配を感じた……これは


「冥府に送ってやろう……」


やはり広範囲魔法か……!

敵は大きな腕を振りかざし魔法を発動させた。


「なっ!?まずい、皆さん集まって下さい!僕がシールドを!」


「その必要はない」


僕はそう言いながら、相手が発動させる瞬間を狙ってかざしていた腕をねじ曲げ、発動をキャンセルさせた。


「は、速い……僕が出る幕は無さそうですね……」


「悪いな、見せ場を潰してしまったようだ」


僕は巨大な腕を捻りながらレイに返答すると、軽いため息をついて普段の温厚な笑みを浮かべた。


しかし、やはり間違いない。こいつは僕だけでなくあいつら全員の動きを先読みしている。そして予め詠唱させておき、僕達が行動を起こす直前に発動させている。


「……ふふ、やはり気づいていたか」


腕をねじ曲げられながら、巨体女は不気味に笑う。

……そしてもう一つ


「お前、僕達の思考を読めて何を考えてるかが分かるみたいだな」


「嘘……?そんな事ができるの!?」


ミツキが驚愕しながら僕の発言を聞き返すように声を震わせている。そうだな、それが普通の反応だ。


「じゃ、じゃあ!最初に俺たちが戦闘不能にさせられたのは、俺たちの行動を全部分かっていたからって事か!?」


「た、確かにそれだと合点が行く……僕の目の前にミラーを発動させたのは、僕の撃つタイミングが分かっていたからあんな芸当ができたのか!」


二人とも、正解だ。


「見えるぞ……お前たちの恐怖心が」


……


「そうだ……その怯えた瞳と心に渦巻く恐怖……我はなんども味わってきた!」


……ん?


「お前達のその目つき……その(まなこ)で我を見るな!!」


チッ!

そう巨体女が叫ぶと、拘束していた腕で僕を払いのけ超級魔法を発動させようとしている。


僕はすかさずあいつらに向かって高出力のシールドを発動させ、僕自身にもバリアーを張った。


「全てを贄とし、我の糧とする!!」


もの凄い威力だな、でもこっちも負けてないぞ!

さらにシールドの出力上げ、攻撃を相殺させる!


「っ!兄さん!!」


背後からユマリの声がしたが僕は振り返らずに答える


「大丈夫だ!ユマリ、絶対そこを動くなよ!シールドから出たらあの世行き……いや、こいつに生命力を吸収される!先遣隊達みたいにな!」


……自分で言っておきながら疑問を感じた。なぜ僕は先遣隊達がこいつに吸収されたと分かったんだ?


「せ、先遣隊……!?リュウイチ、どうしてそれが分かるの!?」


ミツキの疑問は最もだ、なぜ僕は分かった?

それだけじゃない……こいつの……ユリナの名前も分かる。


僕はそんな戸惑いを感じつつ、エネルギーの相殺に力を入れた。


絶対こいつらを死なせない!

そして……"お前たち"も消させない!


そう思った途端、ユリナの攻撃が弱まった……


「……どういう事だ?」


攻撃が完全に止み、ユリナは僕に質問をして来た。


「なんだ、やっぱり普通に話せんだな……ユリナ」


後方にいるサツキ達が驚愕しているのを背中で感じながら、僕は真っ直ぐユリナを見つめ返す。


「どうして僕がお前の名前が分かったのかは定かではないが……少なくても、今のお前とは戦う必要性を感じない」


「な、何言ってるのよ!それにユリナって……どう言う事なの?リュウイチ!」


"悪いなみぃ姉、上手く説明できそうにない。"


「っ!?な、何?今の声……リュウイチ?」


「あ、あたしにも聞こえた……ふ、普通に声を出してる……訳じゃないんだよね……?」


……なるほど、サツキ達にも聞こえてるのか


「頭の中から?いや、心の中に直接リュウイチ様の声が聞こえてくる……一体何故こんな……」


「答えよ、リュウイチ・ナルミ……我を消さないとはどういう意味だ!」


"失礼、ちょいと今の事態を考察していたんだ"


「どういう意味も何も、そのまま言葉の通りだぞ。今のお前は消すに値しない、少なくても僕はそう思う」


「……」


「僕の言葉が嘘じゃないと、お前が一番分かってるんじゃないのか?僕の心理が見えるんだろ?」


僕がそう言うとユリナの動きが完全に止まった。敵意すら感じない……さっきまで怯えたように敵意を剥き出しにしていたのに……


"ほお……大人しくなれば、なかなか可愛いんだな"


「!!????」


「ちょっとぉ!!あたしタチにも聞こえてるんですけどぉぉ!?」


ちょいと失言がすぎたか、サツキが嫉妬を剥き出しにして怒鳴ってきた。


「くだらない世迷言を……」


「まあ、そう怒るな。とりあえず、お前がそんな姿になってしまった理由を知りたい。屋敷の中を探索させてもらうぞ」


僕は尚も睨みつけてくるユリナに向かって、ちょっとした提案を投げかけてみた。


「ここの屋敷を?危険じゃないかしら?キョウコ達がまだ居るかもしれないし……」


「いや、ミソラ達の気配は完全に消えてる。恐らく"誰か"が別の離れた場所に転移させたんだろう」


"そんな事まで分かるの?"


"ああ、分かるんだ"


「////っ!!ちょ、ちょっと!勝手に人の心の中を覗かないでよ!!」


「はいはい……」


みぃ姉は顔を真っ赤にしながら軽く怒鳴ってきた。

なるほど、一人に意識を絞れば相手の心理が読めるのか。あまり多用はしない方が良さそうだな、プライベートとデリカシーを守らないと、ただのブ男になってしまいそうだ。


……しかし何故こんな能力が急に発動したんだ?

それについても、多分この館を探索すれば分かるかもしれないな。


「そういう事だ、お前達の屋敷をちょいと探索させてもらうが、いいな?」


「……好きにせよ。真実を知って尚、我を消さずにいられるか楽しみだ」


フン、そう来なきゃな


ユリナはそう言うと、徐々に半透明になって行き、ゆっくり姿を消した。


……



さあ、謎解きの時間……だ……な


「リュウイチ!?」

「兄さん!!」


……やれやれ、一気に脱力してしまった……僕は立っている事ができなくなり、その場でしゃがみこんでしまった。くそ……無様だな


そんな情けない僕の姿を見たミツキとユマリがすぐさま駆け寄って来た。


「大丈夫??今回復するから……!」


「兄さん、どこか怪我してない?あいつに襲われたんでしょ?なんか変なものとか感じない?頭痛とかはもう大丈夫なの?」


「りゅう〜〜きゅ〜〜ん!!会いたかったよぉ!!すっごく心細かったんだからぁぁ!!」


「お、おいサツキ抱きついてくるな……て言うか何が"りゅうきゅん"だ!ユマリも、大丈夫だから少し落ち着け……心配かけたみいだな、ありが……礼は言わないぞ」


僕がそう言い終えると、サツキとミツキとユマリが短く軽く笑い出した。


……フン


……それにしても流石に疲れたな、この疲労感もまた普通のものではないようだ……身体中に重りを付けて、世界中を全力疾走で何百週もしたような疲労だ……


「リュウイチ、大丈夫か?まだ立てそうにないか?」


カイも心配した顔つきで近づいてきた。


「確実に大丈夫……とは言い切れないな結構疲れたよ……」


「そうか……なぁ、リュウイチ」


あん?


「お前が無事で本当に良かったし、ありがたいと思っている。俺たちを助けてくれて本当にありがとよ!」


ふふ……


「ああ、お前たちこそ無事で良かった」


「りゅうくん、や〜さ〜し〜い〜♪」


「遺体運びする手間が省けたからな」


「むぅ!!このツンデレッ!!」


ムカ……

相変わらずやかましい奴だ、でも今は相手にしない方が良いだろう、無駄な体力は使いたくないしな。


「とりあえず屋敷まで戻ってリュウイチ隊長が休める場所までお連れした後、今後の事について話し合いをしませんか?」


「そうですね、無事全員と合流する事ができましたし、先ずリュウイチ様の回復を優先致しましょう……リュウイチ様、僕が肩をお貸します。お立ちになれますか?」


キラとレイの提案に全員が賛同しレイが僕に手を差し伸べて来たので、やむおえず僕は大人しくその手を握りレイに支えて貰いながら、ふらふらと立ち上がる。

本来なら自力で立ち上がって歩いているところだが……悔しい事に強がる気力さえ残っていなかった。


僕が歩こうとした時、ユマリが近づいて来ると、レイとは反対側の方に回り込むと僕の肩を支えて来た。


「……兄さん、私も支えてあげる」


そう言うと、ユマリの手に力が入りその意思の強さを感じた。表情ではいつもと変わらず、ほとんど無表情に近いものだが、行動と言葉の微妙な強弱でこいつの気持ちがなんとなく僕に伝わってくる。


「やれやれ、お前達とは結構長い事過ごして来たけど、兄妹揃って肩を借りるなんて事は考えもしてなかったよ」


「あら、私はいつも想像してたわよ?」


「おや、奇遇ですね僕もーー」


「もっとも、私の想像じゃレイはいないけれど。むしろ考えた事もないわ」


「え……ユマリ、それは少々酷くありませんか?これでも僕はあなたの兄なんですよ?まして二人共リュウイチ様をガードする者同士ではありませんか」


「残念だけど、私はあなたを兄だと思ってすらいないわ、私の兄兼恋人は兄さんだけだもの」


「それは傷つきますねぇ、僕を兄か肉親と思っていないという言葉ですか?」


「そうよ、男とすら思っていないわ」


「なんと!常日頃からリュウイチ様とユマリの仲を応援しているのにその言い方はあまりにも残酷ではありませんか?」


「あなたが勝手にしているだけでしょ?頼んだ覚えなんてないのだけれど」


「あなたには兄の優しさというものを感じないのですか?」


「感じるわよ?レイではなく兄さんの優しさをね」


「リュウイチ様の優しさなら僕の方が"一番"近く感じていますよなんせ僕は彼のガードで毎日のように共にミッションをこなしていますからね」


「足を引っ張っているだけでしょ?私の方が兄さんの役に立っているわ」


「負け惜しみですね、まあ仕方ありませんよあなたは所詮1階級"下"の護衛役ですからぁ」


「……何が言いたいのかしら?」


「つまり、僕の方がリュウイチ様と近いしい間柄という事です」


「不愉快だわ、階級なんて関係無く私の方が兄さんに近しい存在よ」


「僕です」

「私よ」


「いい加減僕を挟んで兄妹喧嘩するのは止めろ!やかましい!!」

サツキ

「帰って来ましたぁ!一つの物語小話劇場ぉ!!そしてぇ!!我らが婚約者、りゅうく〜ん!!♪」


リュウイチ

「誰が婚約者だ!」


サツキ

「りゅうくんだよ♪」


リュウイチ

「そういう意味じゃない!まったく……疲れてるんだから余計な体力使わせるな」


サツキ

「もぉ、相変わらずツンデレなんだからぁ♪」


リュウイチ

「こんのガキがぁ……!」


サツキ

「いやぁん!りゅうきゅんったら、照れちゃって可っ愛い!♪」


リュウイチ

「その呼び方止めろ!次回、一つの物語〜悲劇編5〜次からは探索と謎解きパートか……え、あいつも登場するだと?はぁ、違う意味で疲れそうだ……」


サツキ

「わぁ、久しぶり!え?あたしじゃなくてりゅうくんの方が良いって?や〜だ〜!人気者は辛いね、りゅうきゅ〜ん♪」


リュウイチ

「なんか、悪意に感じてきた……」



次回掲載日4月25日予定

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