史郎と霧島母娘②
「おっはよぉ史郎おじさぁ~んっ!!」
「うおっとっ!? 今日も元気いっぱいだねぇ直美ちゃん」
亜紀に電話で呼ばれてお隣の家に入ったところ、バタバタと駆け寄ってきた直美に抱きつかれてしまう。
怪我をしないようにしっかりと抱き留めると、俺の腕の中で直美は満面の笑みを浮かべて全身を摺り寄せて来る。
その子供らしい無邪気な笑顔は少し前までの……俺一人で育てていた頃とは比べ物にならない、幸せに満ちたものだった。
(本当に幸せなんだろうなぁ……よかったねぇ直美ちゃん……)
俺もまたそんな直美を見ているとふつふつと胸が温かくなってきて、ついつい小さい頃のように頭を撫でてしまう。
「えへへ~、だって史郎おじさんが会いに来てくれたもぉ~ん……元気出ちゃうに決まってるじゃん……」
「そっかぁ、嬉しいなぁ……だけど俺だって二人の顔を見たいんだから来ないわけが……」
「むむぅ……そこは二人じゃなくて直美に会いに来たって言ってよぉ~」
可愛すぎる直美の言葉に素直な気持ちを口にするが、どうもその答えは不満だったようで途端に唇を尖らせてしまう直美。
そして俺の身体にもたれ掛かったまま足を持ち上げて、こちらに圧し掛かろうとしてくる。
「い、いやだから直美ちゃんにも会いたいから……ちょ、ちょっとそんなしがみ付かれたら重……っ」
「罰として直美に惚れるまで抱っこの刑……って、だから直美は重くないもんっ!! もぉぉっ!! こんな可愛い子が抱っこをせがんでるんだから喜んで抱き上げてよぉっ!!」
「うぐぐ……そ、そうは言っても……っ!?」
俺の反応を見て更にむくれてしまった直美は両手でもって俺の首を抱き寄せながら、両足を背中に回して強引に抱っこされようとしてくる。
当然もろに直美の体重が襲い掛かってきて俺は少し倒れそうになり、慌ててバランスを取ろうと踏ん張りながら直美の身体に手を回した……ところで手の平が臀部へと触れてしまう。
(うわっ!? す、すっごく柔らか……じゃ、じゃなくて年頃の女の子になんてことを……だけど大きくなったなぁ、昔は片手で支えられたのに今じゃ両手からも零れ落ちそ……ってだから考えるな俺っ!?)
「にゃぁああっ!? し、しろぉおじさんっ!? ど、どこ触ってるのぉっ!?」
「ご、ごめんっ!! 支えやすい場所だったからつい……っ」
流石にお尻を触られた直美は軽く悲鳴じみた声を上げたかと思うと、少しだけ非難めいた目を俺に向けて来る。
だからすぐに謝って背中へと手を移動させたが、直美は顔を火照らせながら俺を見てやっぱり唇を尖らせたまま……だけどどこか楽しそうに呟いた。
「も、もぉぉ……しろぉおじさんのエッチぃ……朝からラッキースケベイベント起こさないでよぉ……いきなりだと流石の直美も心の準備がぁ……ちゃんと手順を踏んでくれれば本番までノンストップでぇ……」
「ちょっとぉ、二人ともいつまで玄関先で遊んでるのぉ……早く来ないとご飯冷めちゃうわよぉ?」
「あぁんっ!! もぉ、おかーさんったらっ!! 今、いいところだったのにぃっ!!」
しかしそこで台所から亜紀が顔を出して口を挟んできて、言葉を打ち切られた直美はやっぱり子供のように亜紀へ向かって文句を言うのだった。
「あのねぇ、史郎はこの後会社に行くんだから変に時間取らせたら迷惑でしょぉ……どうせ今夜も一緒に遊ぶんだから今ぐらい少しは我慢しなさい……ごめんね史郎、うちの子がまた我儘言って……」
「い、いやこれぐらい可愛いもんだから良いんだけど……それよりいつもありがとな、俺の分まで朝食作ってくれて……」
「ふふ……気にしないで、私がしたくてしてることだから……それに史郎が一緒だと直美も喜ぶし……私も幸せだから……」
「亜紀……俺も同じ気持……」
「もぉおぉっ!! 直美を無視して見つめ合うの禁止ぃっ!! 全く油断も隙も無いんだからぁっ!!」




