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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第5章 弟子の魔法使いは世界を彼らと共に守り抜く(掟破りの主人公大集結編!!)。
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第90話 異世界の来訪者たち 決着編(弟子の覚悟に魔神と神は……)。

「ゼェ……ハァ……」


 魔王は光となって散って壁にデカい穴が空いた。やっぱり『封印の合体』はヤバいな。

 合体した銃の消滅なんて気にならないくらい、全身の脱力感の所為で立てなくなった。手首の剣を杖代わりに片膝立ち、倒れなかっただけマシだと思ってほしい。……あ、銃が煙ってる。大丈夫かな?


「威力が……強すぎ。魔力が……もうすっからかん」

「ハァ、ハァ……じ、刃!もう時間が……!」


 真っ青な顔のマドカが寄り添って来た。なんかやけに焦っている様子だが……ああ、そうか。


「『起死回生ラスト・オブ・リーバス』か……忘れてた」


 まだ辛うじて継続しているようだが、魔力がほぼ尽きて『融合(フュージョン)』は解除されている。杖代わりの『神ノ刃(セイバー)』はなんとか保っているが、いつ容姿が戻ってもおかしくない。


「し、師匠たちは、まだ……来ないのか?」


 そろそろデカい代償が来るぞ……。なんだか全身が冷たくなってきた。まだ意識があるのが不思議なくらいだ。もう立てる気力も残ってない。あれ? もしかして相当ピンチじゃね?


「しっかりしてください刃っ! もう少しですからっ!」

「ああそうだ……まずはメタル君へ連絡を……シュウさんの方は大丈夫か訊かないと」

「彼らが来たら魔力も気も分けて貰えますから! 今少しでも回復を優先して──っ刃!」


 大事な事なのにマドカに叫ばれた。と思ったら強引に突き飛ばされた。庇うようにマドカがおぶさって来る。

 俺たちが居た場所に暗黒の剣が何本も突き刺さっていた。……マジか。


「お前が……先に来るのかよ」

「またやってくれたねぇー。君は!」


 もう見慣れてきた仮面とドレス姿の魔神女の登場だ。心なしかちょっと疲れてる? 髪や服が若干だが、汚れている気が……。


「シュウさんの囮は失敗か。こっちに居ないからラッキーと思ったけど」

「いやいや、こうなるまでボクを止めたんだ。それだけでも大したものだよ! けど向こう側は『ヴァルキリー』しか殺す気がなかったようだけどねぇー」


 ねぇーって言われも知らんよ。『ヴァルキリー』……あの護衛の剣士の事か?


「最悪だよ。一番良いところで計画の要であるファフニールくんを殺すなんて! 君ら側にとっても同胞の筈なのにぃー!」

「いやいや、勝手に殺すなよ。確かにファフニールって言う魔王は倒したが」


 失敬だなぁと魔王が散ったデカい穴の方を指差す。確かに魔王は倒したが、守護獣でもあるシャドウは別だ。

 不思議そうに魔神が視線を移す。するとそこで散っていた光の粒子が徐々に集まっていく。


「『神獣の加護』……再生能力?」

「何の為に『神ノ刃(セイバー)』の聖属性を使ったと思ってんだ?」


 魔王の魔力は負の属性に分類する。聖属性の攻撃ならダメージと一緒に浄化が可能だ。

 それにアステルの白オーラにも聖属性と同じ効果がある。破壊力も相当であるが、わざわざ聖剣と融合させたのはこの為だ(・・・・)


『ぐー、ぐー、ぐー……』

「まぁ色々と賭けだったのは認めるけど」


 大の字で寝ている巨体の黄金龍を見ながら苦笑いする。思ったより元気そうで何よりだよ。

 そんなファフニール改めてシャドウを魔神は笑みを消した真顔で見つめて呟いた


「……意外だねぇ。君はもっと冷酷に事を進めると思ったよ」

「実際最初から邪悪な存在なら容赦しなかったな。けどアイツは色々あって魔王になった守護獣だ」


 役割はただ神の犬として世界の為に働く事。終わりなど永遠に来ない。それが当たり前だと強制的に認識させられて生きて来た。もし神獣に罪があるならそれは神の罪と同じだ。


「これでも……神の弟子なんだ。勝手に使命を……押し付けられた奴を、簡単に見捨てれるか」

「君の姿……その神の所為でそうなったんじゃないのかい?」


 そういえば元の姿のままだった。見せるのも初めてか。


「才能なしの人間に似合わない力を得た当然の代償だ。寧ろ化け物みたいな姿(・・・・・・・・)にならなくて安心してるくらいだ」


 そうだ。鬼畜魔王みたいに第二、第三形態があるわけじゃない。ただ白髪になって年老けてしばらく年齢を誤魔化す必要が出来ただけだ。……白髪だけど何年くらいで解消出来るかな?


 喋っているうちにどうにか気力が戻って来た。残り時間は少ないが、これなら最後までいけるか?


「あくまで神贔屓なんだね。君は」

「お前はどうなんだ? 元神で魔神、好き放題やって世界を混乱させてる。自分勝手だと自覚はないのか?」


 終いには手下の使者を邪魔だからという理由で消した女だ。他にも色々やってる筈だし一方的に神側を責めれる立場じゃない。どっちもどっちだ。


「自分勝手だよ? そうでもしなきゃ変わらないものもある」

「歩み寄ろうとはしないのか? お前たちが止まれば神たちだって止まってくれる筈だ」

「止まれない。魔術師の彼にも言ったけどもう手遅れだよ。何もかも遅過ぎだ」


 いつも笑っている魔神が真顔で淡々と話している。普段と違い過ぎて不気味だが、これが本性だと感じた。


「他の魔神たちも同じ意見なのか? 誰も反対意見を述べようとしないのか?」

「いるかもしれないねぇ。けど無理だ。ボクら割りと若い者たちなら通じるかもだけど、一番荒れていた激戦時代を生きていた古株たちは絶対許さない。たとえその身が滅びても神たちを絶滅させる(・・・・・)


 殺すを通り越して絶滅とは……それが魔神側の真の計画というわけか。


「お前自身はどうなんだ? もう止まれないくらい憎しみで一杯なのか? 悪に堕ちた人間や神獣を見てもなんとも思わないのか?」

「……」


 静か、静かな時間が生まれた。

 それは氷のようで仮面越しでも魔神の顔色が見えた。地雷を踏んだと直感が叫んでいた。


「君は……いや」


 絞り出すように何か言いかけて……止めた。


「君みたいな矛盾の存在だけは……言われたくないな!」


 彼女の手が光った途端、上から暗黒の落雷。今度は俺がマドカを引き離すように飛ばして、装着している『神ノ刃(セイバー)』でガードした。


「この世に本当の意味での正義も悪もない! 光と闇のように表裏一体なんだよ!」

「っ……それでも俺は!」


 降り続く落雷を振り払って駆け出す。……勝ってるかどうかはもう関係ない。


「変えたいんだよ! この連鎖を!」

「矛盾の塊だからかい! 所詮、中途半端の癖に!」

「確かに俺は中途半端だが! だからこそ見えて来るものだってある!」

「ないよ何も! 何故なら見えていると思ってるそれは全部ニセモノだ!」


 残されている力で懸命に剣を振るうが、ほぼ万全な魔神に容易く流されて防がれる。当然だ。そもそも勝率が引くのに消耗率だってこっちが圧倒的にデカい。


「正しい事だってある! 少なくとも……俺が見て来たものはニセモノなんかない!」

「それを証明出来ないだろ! 神たちが生み出したこの世界で生きて玩具に成り下がった今の君には!」

「っ……なんでそんなに神を嫌うんだッ!」


 振り絞って打った拳。だけど大した力もない。簡単に受け止められたが、仮面の女に一気に顔を近付けて叫んだ。


「お前だって元は神だろう!? だったら分かってやれ! 神たちの苦悩を! 辛さを! 悲しみを! そして願いを!」

「だから変えてやるって言っているんだよっ! そこまで知ってるなら分かるだろ! 今の神たちのシステムじゃ世界はどうにもならない! ニセモノの世界! ニセモノのシステム! ニセモノの生命! もう取り返しが付かないほどのバグが全ての世界を狂わせてるんだっ!」


 長い時間を掛けて苦悩して想い、悲しんでそれでも願っているのは魔神たちも同じ。

 噛み付くように叫ぶ彼女を見て俺は……



「だったら──俺と手を組め(・・・・・・)!」

「…………は?」



 手を伸ばした。呆けた表情の彼女に向かって。


「どうしても神と組めないなら俺と組めよ! お前の言う通り俺は中途半端な存在だ! そんな奴世界中探したってなかなかお目にかかれないだろ!?」

「き、君は……何を言ってるか分かってるのかい?」

「ヤケ起こしたと思ってるか!? ああ、そうだな。そうかもしれない。けど本心を言ってるつもりだ」


 思い出してくるのは異世界の記憶。


『これほどの力を継承しても……実際やれる事はたかが知れてる。所詮神という事だ』


『もしアイツと早い段階で出会っていたら……そしたら別の可能性があったのかなーって思う時がある』


『変な話だ。同じ血を分けた兄弟なのに……アイツの存在が遠くてよく分からない時がある』


 何処か疲れて悲しそうな様子の師匠がいた。神であり忙しいのにそれでもいつも俺を見てくれていた師匠。恩人と言っても過言ではない。そんな師匠がどうして…………どうしてだよ!


「一人で抱え込むなって散々言った癖に! 肝心なところであの人はいつも一人なんだ!」

「それがボクとどういう関係が……」

「お前も一人だろッ!」

「っ──!?」


 ガムシャラな頭突きだ。ダメージなんて初めから期待してない。

 それでも困惑した様子の魔神の瞳をこれでもかと睨み付けてやった。


「抱えてる事だって分かってる! どうせ仲間の魔神たちにだって相談してないんだろ!? このボッチが!」

「……ここは怒っていいのかな? 誰がボッチだい」

「お前だよお前! 少しは自覚しろ!」


 いい加減鬱陶(うっとお)しく感じたんだろう。払うように俺を押し返すと高く飛んだ。


「もういいよ。我慢して聞いたボクが馬鹿だったよ」

「いいから、俺と組めって言ってんだ! あといい加減名前くらい名乗れ!」

「今さらかい? これから消える奴と組む理由も名前を教える必要もない!」


 両腕を動かして魔力を両手へ集中させる。間違いなく大技が来る。


「『ブレスレット』の魔力が戻ってるのは分かってる。……使いなよ。これで最後にしてあげるから」

「この……分からず屋が!」


 どのみち俺も時間がない。多分中の奴が空気読んで保たせているが、もうタイムアップ寸前なのは事実だ。


「『擬似・究極原初魔法フェイク・ウルティムス・オリジン』、『黙示録の記した書庫アポカリプス・アーカイブ』発動。……“受け継ぐは──魔導王の世界”!」


 これで本当にラストだ。他のモード分の魔力も全て1つに。



「『原初ノ魔導王(オリジン・シルバー)』『継承された神ノ刃(イクス・セイバー)』───第四権能(フォース)究極融合ウルティムス・フュージョン』!!」


「“原初の破壊すべし力よ”、“神を滅ぼせし力よ”、“今こそ我らの悲願の為───討ち滅ぼせし宿敵に……我らの願いを一条の光にせよ”!!」


 師匠の力を呼び出した事で銀色のローブが羽織られる。髪も瞳も変化しているが、今はどうでもいい。

 特殊な詠唱を唱えている魔神の両手のひらに危険極まりない『暗黒の光』が集まっている。俺も『銀の魔導師』の力を全て『継承された神ノ刃(イクス・セイバー)』へ注ぎ込んだ。


「俺の名は──龍崎刃だ! もし本当に最後なら最後くらい名乗れ!」

「知ったことか! ボクは魔神だ! それ以上でもそれ以下でもない!」


 結局こうなるしかないのか。名前くらい知りたかったが……。

 二人の最大級の大技が解放された。



「『|究極・継承された神ノウルティムス・イクス・セイバー』ッッ!!!!」


「『悪邪極・破滅ノ魔堕デヴィル・カタストロフィ』ッッ!!!!」



 俺が振り放った特大の銀色の斬撃と魔神が解放した暗黒の光の塊が激突した。









 ……だが、


「……は?」


 その瞬間、悪寒と共に全身から死の予感を感じ取った。


「……消滅する? 俺たちが?」


神理と虚夢の世界(ヴィジョン)』が勝手に発動した。

 刹那、俺の瞳に映ったのは灰のように消える自身と巻き込まれるマドカ。そして消し去るこの塔が見え──



【早クオレヲ解放シロッ! 差モナイト死ヌゾ!】

「っ!? ──お前!」



 同じ『絶望の未来(ヴィジョン)』が見えたのか。

 珍しく焦った様子で強引に割り込もうとして来たが……。


「邪魔するな! こいつは俺がやる!」

【ヌ!? 馬鹿カ貴様ハ!? コノチカラガ何ナノカ分カランノカッ!】


 徐々にこちらの斬撃が潰されて暗黒の光がこちらに来る。ゆっくりだけど逃げ切れる気が全くしない。


【アレハ魔神共ノ負ソノモノダ! 神共ヲ否定シタイ、世界ヲ作リ変エタイト願ウ、馬鹿共ノ願望ノ塊ダ!】


 圧倒的な負の力というわけか。通りで師匠の力でも押し返せれない。中途半端で神の力じゃない『魔導王』の状態じゃ無理があったか。


「けどな。だからって退けないしお前に任せるつもりもない」

【ッ……貴様デハ無理ダ! 消エテシマウゾッ!】


 その時は……その時だ。もうこっちも意地なんだよ。まだ子どもなんですよ、俺は。


ヴィジョン(ソノ眼)デ確定シテシマッタ未来ハ、今ノ貴様デハ簡単ニハ覆セン! 抗ウダケ無駄ダゾ!?】

「あ、やっぱそういう能力なのかこの眼って?」


 師匠の冗談かと思ったけど。最後になってヤバい事実が発覚した気がする。


【イイカラ、オレ二喰ワセロ! イヤ今コソ、アイツヲ喰イ尽クス時ダッ!】

「……やっぱり前も喰ったなお前」


 おかしいと思った。ヤケに体や封印の調子が良くなってると思ったらお前が勝手に喰った所為かよ。


「約束が違うぞ! 許可なく生き物を、特に魔神や魔王を喰うなって言った筈だ!」

【負ケソウニナッテル貴様ガ悪イッ! グダグダスルナ、サッサト身体ヲ貸セェッ!】


 これ以上待てるかと話を切り上げたソイツが身体の支配権を奪いに来る。俺が死んだら、困……るか、ら……完全、に……本、気……だ。


「お、お前……!」

【喰ワセロ! 喰ワセロ! 喰ワセロ!】


 意識……持って……か、れ……。


【身体ヲ貸セッ! オレ二喰ワセロッ!】


 ま、た……アイ、ツ……出て……来……。


【喰ワセロ! 喰ワセロ! 喰ワセロ! アノ魔神ヲ……喰ワセロォォォォッ!!】


 や、め、ろ……く、う……な……!







『調子に乗り過ぎだぞ? ───【Belze(・・・・・)】』

【──!】


 どこか、声がした。


【オマエは!】

『偶には断食でもしてろ』

【───】


 次の瞬間、あんなに煩く身体全体まで侵食していたヤツの気配が消えた。


『ギャンギャン喚くな。黙って消えてろ』


 いや、潰された。


 すぐに頭に浮かばなかったが、誰かやったのか気付いた。


『……意地を通すなら最後までやってみせろ。最もオレ様はお前に絆される事はないが』


 俺の眼を通して誰かが入って来たんだ。


『精々足掻いて見せろ。アイツの意志を受け継ぐならこんなところで折れるな。……気張れよ? ジン』


 そして静かに彼は俺の意識から消えた。



 刹那、俺の中で何かの壁が砕けた。



「うぉおおおおおおおおおおおッ!」

「なっ! まだ足掻くとは……!」


 魔神が放つ暗黒の光はもう目の前。俺の銀色の斬撃は完全に負けている。

 だが知るかよ。勝ち負けが確定していようが退いてたまるか。


「避けないと消えるんだよ!? それも分からないくらい馬鹿なのかい!?」

「それでも……それでも俺は!」


 逃げてたまるか。ここまでお膳立てされて……勝負から逃げられるかッ!


「貫きたいんだよッ! 俺はぁああああああああッ!」

「ッだったら……その下らない信念を貫いたまま死んで行けェェェェェッ!」


 暗黒の光に押し潰される。けどいい。……ただ一つ詫びる事が


「悪いなマドカ。最後まで巻き込んでよ……でも俺はどうしても!」

「単に詰めが甘いだけだ。お前はな」

「……えっ!?」

 

 声を聞いてどうしてと思ったが、よく考えたらこの時を待っていたんだ。

 魔神やアレの所為で頭が一杯だったが、遅過ぎるヒーローがやっと来てくれた。


師匠(・・)っ!」

「そのままだ! 行くぞ!」

「ッ……はい!」


 もう気合いで堪えるくらいしか出来ない。

 そんな俺の傍に立ったジーク師匠が光の先にいる魔神を捉えた。


「終わりにしようか、仮面の魔神」

「来ると思ったよ! 魔導神!」


 肩に手を置かれる。途端、物凄い魔力が俺を伝って『神ノ刃(セイバー)』の方へ集中していく。え、あの……師匠? そういえば黒髪だったのに銀髪に戻ってる?


「大人しく退けば見逃そうと思ったが……ここまでだな」

「分身でしかない君に勝算があると? この前だって……っ!?」


 分身の師匠じゃ魔神は倒せない。それは間違いないが……どうしてだ?


「き、君……ま、まさか」

「ん? どうした?」


 魔力を受け取っているっていうか流している俺もギョッとした。

 マジかと師匠の魔力で止まった光の塊からつい師匠の顔を見上げてしまったが…………マジじゃん。


オリジナル(・・・・・)なのか!? 正気か君は!?」

「分身を使えば簡単に転移が出来るが、確かに無謀だったな。此処でなかったら」


 やはり本物の師匠だったか。この世界への影響がデカ過ぎるから無理だと言っていたが。師匠は俺の肩に乗せているのとは別の手を広げて周りを見ていた。え、ダンジョンですか?


「このダンジョンは世界同士の境界すら突破出来る強固な作りだ。加えてお前は弟子のジンを通してオレの魔力を奪っただろう? 外側への影響を受け難いように塔の魔力を利用するのはそれほど難しくなかったぞ?」

「ふ、ふざけた真似を……貴様っ!」


 いつの間にか塔自体も掌握していたのか。つまりこの空間限定で活動可能って事か。

 徐々に『神ノ刃(セイバー)』が変化してデカくなっていく。本体は白金色だったが、白銀に染まって……うわおー。


「不可能だと思ったか? オレは『魔導神』だぞ。神の一角を引き継いでいる。力に溺れて弱さに怯えたお前らとは違う(・・・・・・・)

「っ──黙れぇッ!」


 俺以上に特大の地雷を踏み抜きやがった。

 魔神は憤怒の魔力を光の塊に注いでいる。それが影響して、止めていた塊が少しずつ押し始めたが……もう負ける気はしなかった。


「力に溺れたのは貴様らもだろうっ! 何が神の一角だッ! 番人にでもなったつもりかッ!? いつから貴様らが世界の支配者になったァァァッ!?」


 両手からさらに暗黒の魔力を注ぎ続けるが、『神ノ刃(セイバー)』を握っている俺だから分かる。


「かつてはそうだった。だが、今は違う」


 師匠の方がずっとヤバい。注がれていた暗黒の光の方が揺れ出して白銀の刃の先端が触れた瞬間……霧のように消滅した。


【──ッッ!?!?】


 流石の魔神もこれには怒りを忘れて口をパクパクと開けている。……俺はただ姿勢を固定しているだけだが、初めて持っている聖剣が怖く見えた。


「自分たちの運命に立ち向かおうとしないお前らじゃ、オレどころか敵である筈のお前らに理解し歩み寄ろうとしている弟子にだって勝てない」


『|銀王極・継承された神ノオーバー・イクス・セイバー』の刃が一気に膨れ上がって伸びていく。


「お前たちの敗因はオレの弟子を侮った事だ。お前たちはコイツよりも劣る。全世界で最も心が弱い臆病者たちだ」

「ッ──な、何が弟子だッ!! そんな奴にボクたちの何が分かるッッーー!!」


 怒りのままに高度な暗黒の障壁を展開させる魔神だが、伸びていく白銀の刃は止まらず障壁と魔神の肉体をあっさり貫いた。


【ギャァァアアアアアアアアアアアアッッ!?】


 声にならない絶叫を上げる魔神は自身の魔力によって暴発を起こした。

 神の魔力が浴び過ぎた影響で『鬼殺し(オニゴロシ)』みたいな効果が発生したのかもしれないが……


「……」


 怪しげな漆黒の爆発と大きな煙を見ながら思い出した。

 学生時代の師匠が『常識知らずの常識破壊者』で短い学生生活の間にとんでもないレベルの『問題児』として日々恐れられていた事を。


 同級生のトオルさんたちを飲み会の時に愚痴っていた。……トラウマもあったのかな。偶に泣いてた。

 細くで……『時間切れ』の制限は刃の中のモノが懸命に伸ばしていました。

 長くてすみません。気付いたらこうなりました。

 かなり走り抜きました。誤字とか意味不な文章があるかと思いますが、ご了承ください。


 次回あたりでこの章も終わりとなります。……やっとだ!

 そろそろ地に足ついたヤツを見つけたいです。どうしても長続きしない。飽きが早い作者で本当にすみません!

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