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神と魔王の弟子は魔法使い 〜神喰いの継承者〜  作者: ルド
第5章 弟子の魔法使いは世界を彼らと共に守り抜く(掟破りの主人公大集結編!!)。
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第88話 異世界の来訪者たち 異世界の主人公編(弟子は彼らの勝利を信じる)。

 学園ダンジョン内、塔が隠されていた階層では……。


「零、今だ!」

「【異能術式(カードアンサー)】起動。纏え……【黒炎煉鎧(コクエンレンガイ)】」


 武装である黒炎の鎧を纏った零が仕掛ける。

 本来の【黒夜】では炎を生み出す事は出来ない。だが、零が過去に倒した『王』の【永久原素(エレメント)】のチカラの一部を取り込んでいる。【黒夜】の一部となった事で自然界の炎や雷、風などを組み合わせる事が可能になっていた。


【ー始炎(シエン)黒葬(コクソウ)


「ふっ!」

【……ッ!?】


 凪が放った式神たちが隙を作ったところで、黒炎を纏った槍の横薙ぎでぶっ飛ばす。

 ボロボロのローブ姿であるが、手応えは確かに感じ取っていた。寧ろ飛ばしやすかった。


「【黒炎天空(コクエンテンクウ)】」


 飛ばされた先で生み出した黒炎の浮雲。組み込まれたプログラム従いホーミング機能も付いた黒炎が魔獣に襲い掛かる。さらに──


「【黒炎大地(コクエンダイチ)】」


 真下の地上からも黒炎の渦が生まれる。こちらも黒炎を放ち魔獣を襲うが、こちらの炎は拘束に向いており何度も引きずり込もうとしていた。



「【術式融合(カードフュージョン)】起動。消し去れ──【ー終炎(シュウエン)黒炎拝火(ゾロアスター)】」



 その二つの黒炎を融合させる。零が操る最大級の黒炎である。

 巨大な暗黒の柱が誕生する。この世の存在ではないモノは一瞬で散り灰となってしまうが。流石は『王』か、飲まれて一気に灰になりそうなのを懸命に堪えて、少しずつ黒炎の柱から脱出を試みようと──



「──《《アウトだ》》。【黑鐘ノ死罪(クロガネノシザイ)】」



 黒炎の鎧の姿からいつの間にか黒色の侍のような格好に。割れた鬼の面を片側に付けて黒色の羽織りを肩に掛ける。


死神(シニガミ)黑夜叉(クロヤシャ)


 武装名に相応しい死神の黒鎌を携えた零の一閃。

 必死に炎から逃れようとしていた『王』が反応できる筈もなく、最も簡単に『死ノ鎌』によって両断されるのだった。





【アァアァァアアァアーッッ!】

「“神威(カムイ)”全開!」


 襲い掛かる死の災害。降り注ぐ呪い棘をヴィットは全身を煌気で覆って耐える。

 同時に強化された脚力を活かして突撃。『死の女神』アリアが呪いの壁や薔薇が無数に存在しているが……。


【ヴィット!】

「『朱炎王の勇者(バーニング・ブレイブ)』!」


 既にコロと同化して、朱雀の武装化【陽炎鼓譟(ヨウエンコソウ)】を纏っていた。


「煌気術奥義──『滅裂(メツレツ)』!!」


 立ち塞がる大量の呪いへ煌気と太陽の炎を込めた一撃を放つ。火の鳥が幻視した気がした。

 膨れ上がった巨大な爆炎が辺りの一面に広がる呪いが焼き尽くす。


【アァァアアアアアアッ!】


 その爆炎の中からアリアが手を伸ばして襲って来る。

 ヴィットが放った爆炎に恐れなどない。呪い殺そうとその手で彼の首を捉え──


「【アリア】」

【っ──!?】


 言霊『コンタクト・ソウル』。

 ヴィットの異能【心王の絆(コンタクト)】によって魂へ直接語りかける。

 何処までホンモノに似せているか、それともホンモノそのものなのか。魂が視える彼は再び彼女を眠らせる覚悟を決めた。


「【すまない。また……さよならだ】」


 姿がルナと同化した青龍の武装化【夜月静寂(ヤゲツセイジャク)】に切り替わっていた。銀鎖も出現して彼女を縛り上げる。


「『静寂の癒し雫光(ヒーリング・レイ)』」

【ッ、アァァアアアアアア!?】


 癒しの光線。指先から放たれた淡い光の放線が呪いで蝕まれたアリアの体を浄化していく。反射的に逃れようとするが、巻き付かれている鎖がそれを許さない。


「『青龍月光(セイリュウ・ゲッコウ)』!!」


 呼び出された青龍の薙刀を彼が振るうと『水色の光龍』が顕現。

 舞うように振るわれる薙刀に従って、光の龍が硬直するアリアに突撃。浄化の光となってアリアが徐々に薄まっていく。……もう一押しだ。


【決めてヴィット!】

【終わらせてくださいヴィット!】


 祈るような二人の女神の声が響いた。



「行くぞ──『双精霊の流れ星デュアル・シューティング』ッ!!」



 左右の髪と瞳が変化した朱雀と青龍の同時武装化。『魔力封じのグレイプニル』の形状を異能と煌気で弓矢に変化。


「呪いが解けたら……また会おう」


 そこから放たれた二色の矢が混じり合い一本の矢となって、一条の流星のようにしてアリアを撃ち抜いた。






「“剣気二刀・魔天狼”」

【グゥゥゥゥ!】


 トオルが編み出した二刀流剣術が繰り出される。妖刀の力も解放しており、上半身を脱いだ鋼のような肉体には独特のタトゥーが浮き出ていた。

 狼をイメージさせる低い姿勢からの飛び掛かる。左右の刃がまるでの爪や牙のように振るわれ頑丈な鬼神の肉体を超高速の連続剣撃で削っていく。


【ウォオオオオオオオッ!!】


 苛立った鬼神の咆哮『死滅の咆哮(デス・ロア)』が放たれる。

 死属性の滅びの力がトオルの肉体を散りにしようとしたが……


「『神羅へ轟く龍雷ライトニング・ブレイカー』」


 死の咆哮はジークが振り下ろした白雷の龍剣によって防がれる。まるで鞭のように伸びた雷龍の顎門が死属性を喰らって代わりにブレスを吐いた。鞭のように振るうと龍の牙が刃となって鬼神の肉体をさらに削る。


【グ、ルルアアアアアアアッ!】


 ダメージと邪魔をされた事でさらに苛立ちの声を漏らす鬼神。

 共鳴するように全身を漆黒の死属性のオーラが飲み込んで、その姿を大量の腕を持つ阿修羅のモノへと変化させるが……


「とうとう暴走し始めたか。それじゃあ良い的だぜ?」


 居合の構えをしていたトオルが一瞬で加速した。


「特式『神速・天斬二閃』」


 二刀流の超高速居合が阿修羅の腕を数本斬り裂く。……まだ足りない。


「特式『神速・魔斬大嵐』」


 魔力を斬り裂くことに特化した剣術。彼の師匠である《無双》の魔斬術。受け継いでいたトオルは容易く魔力の塊である阿修羅を斬り裂いていく。


【オォ、オォオオオ……!?】


 中にいる鬼神が呻いている。分かりづらいが、ダメージは確実に通っていた。


「『絶対切断(ジ・エンド)』」


 フラついている阿修羅の首をジークの龍剣に乗せた原初魔法(オリジナル)が切断。

 さらに切断口へジークは片手で生み出していた魔力の球体を押し込んだ。……それを見たトオルが嫌そうに素早く距離を取った。


 ──数秒も保たず、漆黒の阿修羅が内部から爆発で肉片のように爆散した。


 対人使用厳禁の『時空決壊爆弾(クラッシュ・コア)』。

 ジークが編み出したオリジナル魔法の中でも極めて禁止レベルが高い『破壊の魔法』。


 見た目はただの光のボール。投げても風船のようにプカプカ浮いて破裂もし易い。

 だが、使用者のコントロールから解放さると数秒で爆破。何重にも積み重なっている空間破壊の魔法がその空間の全てを破壊し切る。


【ア、ガアァァ……】

「アレに耐え切るその頑丈振りには驚きしかないがな」


 剣気のオーラを纏ったトオルが突っ込む。

 両手の剣を握り締めて全身の気を刃へと集中させた。


「ドン引きだぜ」


『改式・神刀幻夢』──ミヤモト流の連続奥義の改式。


『神速・天斬』──目にも止まらない横薙ぎの一閃。


『神速・魔斬』──空気を裂くかのような振り下ろし。


『剣気二刀・無幻朧』──刹那にまで凝縮された光の一閃を連続で繰り出した。


 異常な頑丈振りを誇る鬼神の片腕を斬り落とし、胴体にも大きな斬り傷をいくつも作った。


「……決めろジーク」

「ああ」


 走法で高く飛び立つジーク。

 ちょうど鬼神の真上へ移動するようにして、何もない空間から銀色の剣を取り出した。


「『銀王の魔導煌(オーバー・ブレイブ)』!」


 ジークの全身から銀色のオーラが噴き出した。 

 その魔力はジーク・スカルス自身の本来の魔力。属性は存在しない無に近い純粋な魔力だ。



「『身体強化・超加速ブースト・スーパーアクセル』、『銀王・絶対切断(オーバー・ジ・エンド)』ッ!!」



 身体強化による最高速の鬼神への突撃。その瞬間、彼は確かに光となった。

 さらに自身の本来の魔力とオリジナル魔法を融合した最高位の斬撃を発動。


「じゃあな」


 真っ二つとなった好敵手のニセモノに背を向けて……彼は静かに告げた。


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