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結界師への転生  作者: 片岡直太郎
第四章 ニザ公国編
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第九十五話  家族の敵は許すまじ

「まあ、どうしたのです!その姿は!」


リコが驚いている。三人のポーセハイを斬った後、返り血を付けたまま帝都の屋敷まで転移してきてしまった。道理でフェリスとルアラの顔が強張っているわけだ。俺はすぐに浄化の魔法をかけてキレイにする。


「すまないリコ、事情を説明している場合じゃないんだ。この女の子を頼む」


俺に抱きかかえられてぐったりと意識を失っているコンシディー公女をフェリスに渡す。リコはすぐさま自分の寝室に運ぶようフェリスとルアラに言い、一緒に離れに向かった。それを見届けた俺は、足早に研究室にいるメイの下に向かう。


「メイ、すまないが、ニザまで一緒に来てくれ」


「今からですか?」


「ああ、ちょっと緊急事態なんだ」


キッチンにいたペーリスに、もしかすると今日は帰れないかもしれないと告げて、俺とメイはニザの森に転移した。


「こ・・・これは」


斬られたポーセハイたちの死体がそのまま残っている惨状を見て、メイは絶句している。そして、結界の中に閉じ込められている40人近いポーセハイを見てギョッとした表情をする。しかし、さすがはメイだけあって、すぐに平静を取り戻した。


「メイ、すまないが、鹿神様の様子を見てくれないか」


鹿神は蹲り、苦しそうな息を吐いている。メイはその傍により、恐る恐る鹿神の体をペタペタ障っていく。


「かなり強い毒に侵されています。これだけの魔力があるのに、自分で毒を浄化できないなんて・・・」


『ムダだ。我は、己の限界を超えて毒を抱えている』


「ご主人、ユニコーンの角があるでありますー。それで解毒剤は作れぬでありますかー?」


「そうだメイ、ユニコーンの角だ。これで何とかならないか?」


無限収納から黄金色の角を取り出す。


「こ、これはナイトユニコーンの角ですね!これなら・・・。どこまで効くかどうかは分かりませんけど、やってみます!」


「すまないが、頼む」


すぐさまメイを先に屋敷に転移させる。鹿神が苦しそうだ。様子が気になるので、俺は鑑定スキルを発動させる。



ティヨス(鹿神・8412歳)LV91 猛毒

HP:3217/27887

MP: 944/11010

鑑定魔法 LV5

気配探知 LV5

魔力探知 LV5

教養   LV5

結界魔法 LV4

回避   LV5

回復魔法 LV4

分化   LV5

人化   LV4


博学才穎、聡明英知、名伯楽、一体分身


博学才穎:教養LV5

聡明英知:鑑定魔法LV5

名伯楽:気配探知LV5、魔力探知LV5、回避LV5

一体分身:分化LV5


HPが2/3近く減っている。MPもそろそろ枯渇しそうで、かなり危険な状態だ。あと数日は持ちそうではあるが、このまま放置すれば死に至ることは間違いなさそうだ。俺はダメもとで鹿神にアルティメットヒールをかける。しかし、猛毒の症状は消えない。死者すらも蘇らせるこの魔法が効かないのは理解ができない。症状の詳しいことをメイに聞いておけばよかった。


「ゴン、すまない。一旦俺はメイの様子を見に屋敷に帰る。すまないが、鹿神様とこのポーセハイどもを見張っていてくれ。結界が破られることはないと思うが、危険を感じたら転移してきてくれ」


「お安い御用でありますー」


屋敷に帰ると、ダイニングに全員が揃っていた。


「メイは研究室か?」


「ええ、先ほど何かを抱えて離れに向かったので、そうだと思います」


「わかった」


俺はメイの下に向かおうとする。


「お待ちになって、リノス」


「どうしたんだ、リコ?」


「ニザ公国の出来事は、フェリスとルアラから聞きましたわ。大変だったことはよくわかります。ただ、一つだけ教えてくださいませ」


「何だい?」


「どうして女のポーセハイを斬ったのですか?リノスらしくないですわ」


確かに俺は魔物であれ何であれ、極力命を奪うのを避けてきた。特に女性に関しては基本的にフェミニストとして接してきた。リコをはじめとする、一緒にいてくれる女たちは、まさか俺が女の首を斬るとは思わなかったのだろう。


「あの女は、メイの両親を殺した張本人だったんだ」


「どういうことですの?」


「メイの両親が作った薬に、あの女は毒に匹敵する劇薬を混ぜた。それがために多くの子供が死に、その責任をメイの両親がとるハメになった。あの女はメイの両親だけじゃなく、沢山の子供たちを殺した。だから、斬った」


「わかりました。それを聞いて安心しました。さすがはリノスですわ。フェリス、ルアラ、これでよろしいかしら?」


「ハイ・・・リコ姉さまありがとうございます」

「ありがとうございます」


「できれば人も魔物も獣人も殺したくはない。でも、俺の家族に手を出す奴は、俺も鬼になる」


そう言い残して、足早にメイの研究室に向かった。もっと言葉を尽くして説明してやった方がよかったのかもしれない。そう思いつつ、頭を切り替える。


「メイ、どうだ?」


「明日の朝までには、何とか薬は出来そうです。どこまで効くかは分かりませんが・・・。でも、この角は素晴らしいです。ユニコーンの角は万病に効くというのは、本当のようです」


「そうか。鹿神様の毒が治癒できれば、ドワーフ王の毒も治癒できるだろう。問題はドワーフ王だ。どこまで持ってくれるか・・・。すまないがメイ、薬を頼む」


「はい、頑張ります」


再び俺は、ニザの森に戻る。辺りを見渡すと、鹿神がいない。


「この先の大木の所に、自分の結界があるそうでありますー」


「そうかわかった」


鹿神の張った結界の中に居れば、しばらく命は長らえてくれるだろう。そう考えつつ、ポーセハイたちを見る。


MPが奪われているので、全員眠っているようだ。先ほどまでとは打って変わって静寂が周囲を包んでいる。


「この機会に、こ奴らのスキルを奪うでありますかー?」


「・・・いや、今はいい。自分たちの行く先は、コイツらに決めさせてやろう」


「どういうことでありますかー?」


その質問には答えず、俺は土を掘り、斬った三人をそこに埋めて簡単な墓を作った。それが終わった頃に、リコが転移してきた。


「夕食を持ってきましたわ」


「・・・ありがとう。皆は?」


「全員休ませました。メイだけは、まだ起きていますけれど」


「・・・そうか」


俺とゴンは、リコが持ってきてくれた夕食を食べることにした。作りたてなのだろう。全ての料理が温かかった。春とはいえ、夜になるとまだ肌寒い。この温もりは本当にありがたいものだ。


「リノスが斬った女のこと、メイに話しましたわ」


「そうか。メイは何か言っていたか?」


「いえ、何も」


「ありがとうリコ。なんか俺からだと言い出しにくくてな」


「大丈夫ですわ。それにしても、これだけのポーセハイ、これからが大変ですわね」


「ああ、これからが大変だ。ポーセハイ、鹿神、ドワーフ王、そして農地の復興・・・。これらを解決していかなきゃならない。またリコに負担をかけるかもしれない。すまないな」


「私は大丈夫ですわ。ただ、リノスの体が心配です。くれぐれも、無理しないでくださいませね。コンシディー公女の意識が戻りましたら、また参りますね」


そう言い残してリコは、再び屋敷に転移していった。


「いい奥方でありますなー」


「そうだな。ゴン、うらやましいだろ?」


「・・・うらやましいでありますなー」


それから夜が明けるまで、俺とゴンは交代でポーセハイの見張りについた。そして明け方、メイが出来上がったばかりの薬を持って転移してきた。


「ユニコーンの角が持っていた回復効能を最大限に引き出しました。まだ誰にも試していないので絶対とは言い切れませんが・・・」


「いや、いい。ダメならダメで次の手を考えればいい。ありがとうメイ、よくやってくれた」


俺に頭をなでられて、メイは恥ずかしそうに俯いている。


早速、その薬を持って鹿神がいるという大木に向かう。そして、それはすぐに見つかった。


「おかしいでありますー。何もないでありますー」


「ゴンのレベルじゃ無理だ。この大木全体が結界になっている。鹿神様、どうぞこの者たちにも見えますように、お姿をお見せください」


大木の前に、鹿神が現れる。


「鹿神様、私の妻が作りました解毒薬です。効くかどうかはわかりませんが、一度、この薬をお試しいただけませんでしょうか?妻は薬師で、腕は確かです」


『そなたは・・・なるほど。その若さで神級の薬師、しかも称号持ちとは珍しいな。よかろう。そなたの作りし薬、試させてもらうぞ』


鹿神は大きな口を開けてメイの薬を飲み込む。


『うっ、ぐっ、ぐあああああああ・・・』


「鹿神様!」


うめき声をあげて、鹿神は蹲る。かなり苦しそうだ。


「メイ・・・」


「・・・」


メイは眉間にしわを寄せてじっとその様子を見ている。鹿神はドロドロとした緑色の液体を吐き出している。その時


『ご主人様、ご主人様、どちらですか?』


俺に念話が飛んでくる


『その声はフェリスか?』


『ハイ、フェリスです。今どちらですか?』


『今は、鹿神のところだ。珍しいな、フェリスがご主人様だなんて』


『いえ、滅相もないです。恐れ入りますが、屋敷まで戻ってもらえますでしょうか?コンシディー公女が目を覚ましました』


『そうか、わかった』


「コンシディー公女が目を覚ました。俺は屋敷に帰る。すまないが、ゴンは引き続きポーセハイの監視、メイは鹿神様を見ていてくれ」


「わかったでありますー」


「お任せください」



屋敷に転移すると、コンシディー公女が無理やり起き上がろうとしていた。


「血が少ないので、まだ貧血状態ですのに、起き上がろうとするんですわ」


「コンシディー様、無理しないでいいですよ」


「バーサーム様!これは・・・お見苦しいところを・・・」


「気にしないでください。ここは俺の家です。気楽にしてください」


「私は・・・一体・・・」


「覚えてませんか?俺が駆け付けたときには、ユニコーンの角に足を貫かれていました」


「それは・・・覚えています。その後の記憶がありません。冒険者たちは・・・公国は・・・」


「冒険者たちは残念ながら全滅でした。ユニコーンは倒していますので安心してください」


「はっ!ウトニカ、ウトニカさんは・・・」


「俺が首を刎ねました」


「・・・え?」


「あと、レコルナイの首も刎ねました。その部下たちは拘束しています」


「な、なんということを・・・。あなたは・・・公国を滅ぼすつもりですか!」


ハアハアと息を切らして俺に怒りをぶつけてくる。


「コンシディー様、俺は既に腹をくくっています。あなたにも、腹をくくっていただかねばなりません。そのためには、体を元の健康体に戻す必要があります。しばらくはここで静養してください」


「腹を・・・くくる?一体何を・・・?」


「ニザ公国の復興は、私が責任を持ってやります。レコルナイとウトニカの首は、そのために刎ねたのです」


公女の眼が大きく開かれる。荒い息の中、その瞳にはかすかな殺意が宿っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] できれば人も魔物も獣人も殺したくはない。 すごく説得力がない。その日食べるために魔物殺すならわかるがおいしいくてストックするために大量虐殺してる人が何か言ってる。
[気になる点] 王女に対する説明がわざと拗らせているように見える。なぜわざと敵対させる?
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