第24章 寝言
「安西先輩、やりました! トラ、トラ、トラ。われ、デートに成功セリです」おれは、一息ついて、先輩に報告する。
「おお、よかったな」先輩は簡単に答えてくれた。
「先輩が教えてくれたカフェすごく褒めてくれましたよ!ありがとうございます」
「どういたしまして」
「少しだけ通話してもいいですか」おれは直接、お礼をいうためにそう書き込んだ。
「おう」
「あっ、先輩。もしもし聞こえますか?」
「聞こえるぞ。よかったな」
「次のデートの約束まで取り付けました!」おれは明るい声でそういった。
「順調だな」先輩もうれしそうだ。
「それで、別れ際にですね……。沙織さんがほっぺに……してくれたんですよ」
「妄想乙」
「いやいや、本当なんですって」
「そっか。そうなんだろうな。お前のなかではな」先輩は頑なに信じてくれない。
「だから」
「達雄、寝言は寝ていえ」先輩はやさしく諭すような口調だった。
「マジなんですって」
「達雄。念のために聞くけど、沙織さんって実在しているよな? モニターのなかのひとじゃないよな? 今日、お前はゲーム機のなかの彼女と遊んで来たんじゃないよな」
「なんですか。それ? 実在しますよ」
「わかった。もうなにも言わない。お前の言うとおりだよ、きっと」
先輩が信じてくれるまで、5分間はこんな問答を続けた。
「そっか。とりあえずおめでとう」
「やっと信じてくれましたか」
「それで次のデートなんですけど、○○駅の近くでおススメありませんか」
「おまえな、少しは自分で調べろよ」
「先輩のおススメが最強なんです」
「じゃあ、駅前のイタリアンでいいんじゃねえか。URL送ってやるよ」
「ありがとうございます。愛してます、安西先輩」
「この電話番号は現在使われておりません」先輩は無機質な言葉を返してくれる。
「悪ふざけして本当にすいませんでした」
「次やったら、着信拒否にするからな」
「ハイ、スイマセンデシタ」
「絶対に反省してないだろ。くそ、リア充爆発して、転生しやがれ」
<ツーツー>先輩は通話を切ってしまった。少し舞い上がりすぎたのかもしれない。
<ブーブー>しばらくすると先輩からのメッセージが届いた。お店のURLだった。
「ありがとうございます、先輩。次のデートも楽しみです!がんばりますね」おれはちゃんとお礼のメッセージを送った。




