Ch3.2 欠落《ナーフ》(1)
「……チャプター1の時良くしてあげたゴブリンがいたのよ。なぜか村から逃げてきたその子と一緒に船旅もしたわ。彼がこの能力を使って魚とかも取ったりして便利だったから、コツを教えてもらったの。その時には覚えられなかったけど、……そうね、チャプター2の途中あたりかしら。物を浮かせることができるようになったわ」
それで鍛えたらこうなったわ、と気になった事のあらましを説明してくれるエミリ。
ぱくぱくと開いた口が塞がらない。
バキバキと開いた風穴からゴーレムが瓦解していく。
そして残るは瓦礫と風がなびく音だけ。
「………………あー」
思い出した。念動力で長老を殺害した太っちょゴブリンのことか。僕も殺されそうになったから、意外と鮮明に覚えている。
彼がもし捕まらず村から脱出した場合どこにいくのか。
そりゃあ、まあ海に逃げるよなあ。
そこで偶然完成した船と一緒に海へと出ようとしているエミリの姿があったってわけ、か。
細部は分からないが、そんなところだろうか。
……。
気づけばゴーレムが再召喚されている。
思考の切り替え時だ。
「………………あー」
前二人が即座に攻略してしまったゴーレムを、さて、どう倒したものか。
考えは大分まとまってきた。
二人と違って大分時間がかかる方法だが、……なんとかはなるかもしれない。
腰から取り出したレールガンの銃口をゴーレムに向ける。
射程距離的に、……ギリギリ、か?
「……そこからじゃ届かないわよ」 所長からのありがたいアドバイス。
分かってますよ。
……本体には届かない。
でも。
発射。
「――GAAAAAAAA!」
バカでかいレールガンの音にいち早く反応するゴーレム。
予備動作なしで、疾風のような速さで両腕をこちらに向けて叩き付けてくる。
――が。
その反応の速さがあだになる。
見えないレールガンの弾が、その両腕だけを大きく後ろに弾く!
グワングワンと反響音がたちまち響いた。
弾はやはり本体には届かない。弾き飛ばされた腕も、痺れるだけで損傷はまるでない。
かったいなー。
しかし大きくのけぞらせることには成功した。
これなら――。
大きく一歩踏み込み、力場を発生させる。
――僕が本体へ近づく猶予ができる。
びゅん、と飛び出し、十数メートルの距離はつぶせた。
ぺたりと僕の両手のひらをゴーレムの本体へとくっつける。
さて。ここからは賭けだけど……。
のけぞりの姿勢から回復したゴーレムの腕が真上から降ってくる。
――ゴツン、じゃすまないげんこつだろうなあ。
それらを加速された思考が捉え、そして――。
……ゴチュン。
「………………アレ」
そして僕は賭けに負けた。




