Ch3.07 ワンダーなイベント(1)
「……なんでこんな変装しか持ってないのよ! 遊園地でこんな格好、バカ丸出しじゃない!」
「すいません、すいません、え日本ってこの格好が人気だって聞いてたんですけど……」
「どこの漫画の情報よ! 周りをよく見なさい! 誰がシルクハットに黒いコートを合わせていかにも怪しいですって格好で遊園地に来てるっていうのよ!」
なんか騒いでるやつらがいる。姿は見えないけど、バカップルかな?
どこかその声に聞き覚えがあるような、無いような……。
「あー、アンタに説教してたら、もう見失っちゃったじゃない! 今日はあの子が非番だから私たちが駆り出されたっていうのに! ……エイチ、じゃなかったハンター! 先回りして次のジェットコースターの路線上に見えないピアノ線でも設置してきなさい! 私はこれを楽しんでから行くわ!」
「んな無茶な……」 「黙りなさい」 「……はいぃ。行ってきますぅ」
すごすごと長身の外国人?が列から離れていくのが見える。
……やれやれ。元気な人たちだなあ。
あんまりあんな愉快な人たちとは関わりあいにはなりたくない。
ただおかげで話題が流れた。ありがとうありがとう。どっかで聞いたような声の人。
『――突然ですが、館内アナウンスです! スリーピィワンダーワールドの入場ゲートが、ハッキングされて動かなくなってしまいました! そのハッキングを解くために、どうか皆さん、4つのキーコードのどれかをワールド内から探し出してください! ヒントや指示は皆さまの携帯にもうすぐ届くと思います! どうぞよろしくお願いします!』
突然アナウンスが響き渡る。
……アレ。もしかしてこれは……。
年に数回ほど行われると言われる、あの……?
ゲートがハッキングされたことにより一時封鎖されて、それを解くためにこの遊園地全体で謎解きをしなければいけない、という設定の突発イベント。
……ちなみに健康上の理由や一身上の都合があれば、問題なくゲートから出られるらしい。
ピロリンピロリン、と通知が館内で鳴りやまなくなる。
ヒントと指示が届いたらしい。
会場の皆が浮足立っているのがひしひしとわかる。年に数回しか起きないのだ、嬉しがるのも当然か。
……でもなあ、これねえ。……みんな分かっているのであろうか。
この夢の世界の現実ってやつを。




