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Ch2.8 魔族の正体(2)

 ()()()()()()()()()


 パシッと空中に漂うその髪の毛を手に取り、まじまじと見る。……間違いない。



「――すみません、勇者様。案内はここまでです。()()()()があるため一旦離れます」


 

 さて、別の任務とはいったいなんだったのだろうか。


「――アキ。これ見て」


 ケイがどこから見つけたのか、半分かじられた七色のネギを手に取って見せてきた。


 これは……どこかで見たような……?


「彼がコソコソ逃げながら、これを食べてた、よ。気になったから、手に取ったみたけど、これ確かエルフの集落で栽培されていたモノ、だよね」


 ――あ。ほんとだ。記憶の中にある、1つのエルフたちの農産物と形と色が完全に一致する。

 そして奇妙なことに、オゥルや他の暴徒たちは体の一部や全体が、七色に光り輝いていた。この色といい、関係がないとはとても言い切れない。


 これにてマロンの髪の毛に加えて、七色のネギまで発見してしまった。



 ……一体全体、だれがこの平和な街で間接的に犯罪ほう助、もしくは犯罪教唆をしているのだろうね。



「……っふが? なんでワシはこんなところで寝ておるのじゃ? ……なんか顔が痛い」


「――おう女神ちゃん。目が覚めたか。……ダメージもあんまり残ってなさそうだな。肉体的、というよりも精神的にびっくりしての気絶だったってわけか?」


「……ダメージぃ? このわしがぁ? フハハ! ないない! ありえん、ありえ……ん。――やっぱりちょっと顔いたい。あとせなかもなんかひりひりする」


 顔と背中をさすりながら、若干涙目になっている女神ちゃんとやら。ふはは! ざまあみろ! という感情が再燃する。……いや待て本当にどうするよ、僕。

 

「……まあ街にエネルギーを分けまくってるし、ダメージも多少は通るか。記憶も飛んでる様子だな」


 良かったな、坊主。と口パクで伝えてくるブゥさん。その一言に二重の意味が含まれているのだろう。

 ……今は作り笑いしてやり過ごそう。


 ――まあ落としどころとしては悪くはないだろうと、先ほどブゥさんは言ってくれた。


 僕自身、感情の整理など、どこから手をつければいいのかわからない状態だ。

 ……、一旦彼の言葉に倣うとしようか。


 誠実なブゥさんの意見だ。

 やはりないがしろになんて僕にはできない。したくない。


「……いたぁい。――む。そこの小娘。その手にもってる物を我によこせい。はよ、はよ」 「……えー」


 ええいもうじれったいと、手を水色に変えて伸ばす女神。その手には一瞬でつかみ取ったのか、食べかけのネギをすでに奪いとっている。まじまじと七色のネギを見るその女神の手は、徐々に元の白い肌色に戻っていく。


 ……ノビノビの実の能力者かよ。なんか色々とできるなあコイツ。その力のおかげで、のびのびと人生を送ってきたのだろうなあ。


「――ふむ。思った通り、すばらしく良質な魔力源じゃな。……しかしこんなのヒトが食したら腹をこわすですまぬぞ。おおかた、()()()()()()


 ワシにとっては良いごちそうじゃがな! と奪い取ったネギをぺろりと食べてしまう女神。

 ……オマエのモノはオレのモノ、ってか。のびのびの次はジャイアニズムか。


 ……そういえば、劇場版のアイツには良い所があった。

 だれしも、それこそ悪人にも1つや2つ良い所があるのかもしれない。


 ――いまはそれを、僕なりの落としどころにしよう、かな。

 許す、というか、ネガティブなことに集中せず、ポジティブな考えにあえて囚われよう。

 

 彼女よって生まれた悔しさや怒りは、決して忘れたくない。

 けど、それだけでは人生つまらないのかもしれない。


 そう思えば、正解なのだろうか。僕にはまだわからない。それも一生、わからないかもしれない。

 はたしてなにが正しいのだろうか。


 ……ただ一つ言えるのは、やはり過去の僕を奮起させるのに、怒りや悔しさこそが必要な感情だった。そう、それらがなければ前に進めなかった。


 ……しかしそれをずっと原動力(エンジン)とするのは違うかもしれない。



『うん。それがいいよアキくん。自分が、()()()()()()()()()()()。応援してるよ、アキくん』



 これは、イマイさんが言ってくれた言葉。僕が心の中にしまった大切な言葉が、ふいに再生される。

 

 マロンにも同じ言葉を言ってのけてしまった。……自分の言葉には責任を持ちたい。



 ……さて、僕の願い事(やりたいこと)ってなんだったかな。



 うーむ。



「――うむ! 顔のハリもこころなしがひいたわい! そこの小娘感謝するぞ。……して、オヌシがこれを配り歩いているのか」


「いいえ。そこの伸びてるブタさんだよ。……でもたぶんおおもとは、エルフたち、かな」


「……エルフ、じゃと? 妙なことを言うのお。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 ……おいおい。僕が気持ちの整理をしている間に、次々と真相が明らかになっていってる気がする。思考を切り替えるべきか。

 えーっと。そう、マロンへの疑惑が生まれているのだった。そしてなに、エルフはこの大陸に住んでいない、だって?

 

 ――では、一体あのエルフたちの正体は何だっていうんだ。

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