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Ch2.7 誰が宿敵か(1)

 好奇心は猫をも殺す、という言葉の意味が私にはよくわかりません。


 藪蛇と同じ理論なのだろうなとは分かるのですが、じゃあアインシュタインが殺されたかって聞くと、うーんってなります。


 過ぎた好奇心は毒という意味なのでしょうか。分をわきまえるのが大切ですよ、って言いたいのでしょうか。


 わからん。教えて偉い人。

「――ブルアアアアアァァアアアア!!!」


 咆哮が聞こえると同時に、僕の背中に背負っていた槍が輝きだした。慌てて手に取ると、槍の穂先が放電し、七色に輝いている。


 それに妙に軽い。しかし全体として軽くはなっておらず、穂先から離れるほど重さをましており、つまり持ち手のほうはいまだにずっしりしている。


「――近くで魔法が使われている、のか?」 こんなことはこの街で初めてだ。


「――ッ! 女神ちゃんのことを話し出した途端にこれか!」


 槍から目を話し、ブゥさんのほうへと目を向ける。彼はなぜか人がいるような街並みの景色ではなく、なぜかななめ上方向の空中を見ている。――まさか。


 視線を追うと、空中に一人の片眼鏡をかけてローブを着飾っているピグモン族の男性が浮いているではないか。体が七色に輝いており、時折スパークが両手から放たれている。


『クヒヒハハ! クフフ! これは素晴らしい。まるで我らが女神さまのようになったかのような全能感! これが魔法を行使するという感覚か!』


 男性は酔いしれているのか、高笑いを続けている。

 そこでブゥが一歩踏み出し、彼の耳へと響く程度に声を張り上げた。


「……やっぱりてめえが黒幕か。オゥル!」



『――むむ? ……おやおやぁ! そこにいるのは警備長ではないですか! ご無沙汰しておりますねえ』


 スゥさんはお元気でいらっしゃいますか? などどおだやかな世間話を続けるかのように会話を続けるオゥル氏。しかし反面その両手のスパークは範囲と威力を徐々に増すかのように、勢いが激しくなっていく。

 

「――ああ。おまえさんのおかげで今や足腰も弱ってきちまった。しかしまだアイツはギルド長として変わらず他の人を支えている」


 てめえと違ってアイツには信念があるんだよ、と挑発するかのように返答するブゥさん。


『信念、ねえ。ただの平和ボケだと思いますがね。どれ、ならば彼女のもとへ行って、今度こそ完全に生命を断ってしまいましょうか』

 


「――させると、思うのか」 静かに怒り、いきり立つブゥ。



「そりゃあまあ。前回とは状況が違うので」


 おもむろに指をはじき、こちらに人差し指を突き出すオゥル。


 ――っ、まさかあの放電ここまで届くのか!

 指が一瞬光ったと思えば、放電が一直線に飛んで――!


 ドン、と隣で銃声のようなものが聞こえた。


 気づけば放たれた放電が空中で霧散している。



「――魔法への対処法その1」


 隣で砲身が大きく短いバレル銃かなにかを、いつのまにか装備しているブゥさん。



自分(てめえ)の魔法をぶつけろ、だ。結局魔法は想像の産物。イメージの強いほうが勝つ」


 ハードボイルド師匠こと警備長のブゥさん。まさかのガンマンスタイルである。

 

 対処法その2:視覚外へ逃げる。魔法はイメージによって大気中の成分から変換されて生み出されるため、基本的には想像できない、というか見えない場所まで範囲が届かない場合は多い。

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