Ch2.4 魔都アンダイン(3)
もう、警戒を再開するには遅すぎるくらいだけど、ケイが起きるまでくらいは気を張っておこう。
いやていうか全然起きないなこの子。
……窓から景色でも眺めて時間つぶすかぁ。
――――――
「……おはよう」 「……こんにちは、いやもうこんばんはだな。よく、眠れた?」 「うん。快眠最高」
結局夕方過ぎまで寝ていたケイ。いやいくら何でも寝過ぎだろ。
彼女が寝ている間に窓からこの都市の景色を見ていてわかったことだが、はっきりいって見るからに団地だ、ここ。やけにネオンのような青と赤の電飾がついていて、夜の時は分かりにくかったが。複数の高いビルのようなものは全てピグモン族の居住のための建物だったのだ。
いや建物やガラス戸はしっかりしてるし電気(?)も通っているので、文化的にすごい現代に近いほど進んでいるのは分かる。しかし商業とか、エンタメが一番に幅をきかせているわけではなく、この都市のメインの存在理由は居住目的なのだ。
ピグモン族は夜行性だから、夜の状態はあのネオン街の様相になるのだろうか。
もはや名ばかりかもしれない魔都アンダイン。これからダークな事情が出てくるのかもしれないが――。
「……まずは女将さんに挨拶をしてこよう。良くしてもらったし」
一旦、女将さんから話を聞いて、マロンちゃんに言われた通り情報収集といきますか。
部屋から出て階段を下りていくと、カウンター奥で店の開店準備を始めている女将さんが見えた。
「女将さん、昨日はどうもありがとう」
「あら旅人ちゃんたち。早起きじゃないか。よく眠れたかい?」
「おかげさまで。まだ普通は寝ている時間なの?」
「そうだねぇ。夕暮れ時だから、年寄りは起きだしているんじゃないかい」
どれ、ミルクでもどうだい、サービスにしとくよ。と言ってどん、とミルクがなみなみ注がれた木のコップを差し出してくる。
「遠慮なんかするんじゃないよ? まだまだアンタらは育ち盛りだろう」
なんというか、至れる尽くせりだ。――ありがとうございます。
……っと、そうだ。情報収集っと。
「女将さん、この街で一番人が集まる場所ってどこ?」
「……そうだねえ。多分、最近だとゲームマーケットかねえ。ここ一階の酒場も人はよく集まるんだけど、今この街の流行はあそこから始まるからね。……でもぼうやたち、お金あるんかい? 買い物できないとあそこは行ってもつまらないと思うよ」
ゲームマーケット? あと酒場にお金。なんかいっきに色々と貴重な情報を聞けた気がする。
「うーん。持ち合わせはあまりないや。そっかまずは日銭を稼がないと、だね」
「ならおすすめはそこのクエスト掲示板だね。だれでもできる依頼がそろってる。まだ夜も早いし、何件か挑戦してみたらどうだい」
……この街に来てからどういうわけかゲーム攻略の導線がすごいはっきりしてる。……いやまだ最終目標の対処とこの都市の関係性とか色々と点と点が結びつかないところはたくさんある。一体全体、どういうことなんだろう。
「そっか。ありがとう! 女将さん。ちょっと見てみるよ」
まあでも、やることも他には見つからないし、少し気は緩めてそのクエストとやらを今はやってみようか。




