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Ch2.07 けじめ(2)

 少年A君、もといアキヒト君がなんだかあたふたし始めた。なんでだろうね。……とってもチョロイね。


 でも任務だからさ。わたし、可愛くてごめんね?

 あんまりこの子との関係性を工作しなくて済むのは楽でいい。あと少しだけ適当に会話して、切り上げよう。帰ったら、なんのアニメを見ようかな。


 しどろもどろにわたしと会話しようとしている目の前の少年は、本当にどこにでもいるような少年なのだろう。色々と経験も乏しそうだし。まあ普通の学生としては当然だよね。


 でも先ほどの動きには本当にびっくりした。

 

 状況の整理と理解、そして好機が来るまでの根気強い忍耐力と、そして瞬間の実行力。


 相手がわたしを意識して油断していたことも加味しても、なかなかの胆力だった。


 オネーサンは、キミのそういうところはキライじゃないよ。


 ……途中、なんか()()()()()()()()()も見えたような、見えてないような。報告するかどうかは迷う。私の見間違いの可能性も高い。……なら面倒くさいしいいや。


 それに戦闘能力のポテンシャルは見せてくれたから、色々とでっちあげなくてもよさそうだしさ。

 遊園地でも色々と偶発的な事件を起こして、能力を図ろうとはしてたけど。あれだけ見せてくれたなら、はた目から見ても彼個人の能力の経過を見る必要性はもうすでに出来てるよね。今日は仕事からも早く帰れるしラッキー。


 ……私が長く日本に滞在するためにも、これからよろしくね、アキヒト君。


 ――――――――――――――――――――


「……また今度、話そう。これからもよろしくね、アキヒト君」


 そういって、彼女は自分での帰路へと去っていった。


 ……まずい。あたふたしていたからか、会話の内容を全く覚えていないぞ。呆られて帰られたのかもしれない。


 これは良くない。少し頭を冷やすためにも少し寄り道しながら帰ろう。


「……ふぅ」


 さて、なにを考えていたっけな。……そうだ。今日感じた感情の事だ。


 えーっと、それは、恋心。――違う違う違う。


 確かにそれもほのかに感じたけど! なんか違う、別のポジティブな感情だったはずだ。



 ――――。





「……ああ、そうか」


 

 これは、安堵感だ。僕にもちゃんとできたっていう安堵感だ。


 良かった。こんな僕にも、なにかを成し遂げることは可能なんだって。


 期待を、裏切ってしまってごめん。ナッチョ。これからは、僕も、できる限りがんばるからさ。


 周りの人の夢を壊さないように、()()()()()()()()、そして応援できるようにがんばるからさ。



 なんて1ゲームのキャラに、届かない謝罪をする僕は変なやつなんだろう。それでもこの通過儀礼は、僕にとって必要なことだった。

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