Ch??? アデルバードの憂鬱
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「森教授が行方不明?! ……Shit やってくれるわね」
爆発音が辺りに轟く。暴風雨のように炎や風やら岩々が吹き荒れる。
多くの兵士の阿鼻叫喚が四方から聞こえてくる。……全く、情けない。これだから素人は。
「……今はそれどころの話でもないわね。被害状況は」
「今の集中攻撃で、2-3割こちらの戦力は削られました」
「あら、そんなに。ふーん、やるわね。私たちも急いだほうがよさそうかしら」
魔法使い共の怖い所は、その柔軟な対応力。瞬時に状況を見極め、それに合った魔法を展開できること。個人主義な思想の彼らがこの大規模戦闘で、急襲したのはこちら側にもかかわらず、意外にも息を合わせて攻撃を開始した。
あちら側に優秀な司令官がいるのだろう。立て直しが早い。さきほどの攻撃で、状況は五分に戻された。
「アデルバード司令、作戦は続行しますか」
「当然よ。イレギュラーな事態が起こっているのは分かるけど、まずはやれることをやらなくちゃ」
デバイスを起動する。起動するスキルは2つ。戦闘能力向上と、予測演算。
この予測演算スキルは、テレパシーと戦闘技能向上の適正値が共にMAXでないと発動できない。テレパシーによって知覚の射程を伸ばし、戦闘技能向上によってそれを鋭敏化する。そうすることで個人差もあるがコンマ数秒先の未来を読み取れるようになるのだ。
この私が指揮する特殊精鋭部隊はそのスキルを持っているのが必須条件。まあ部隊といっても今は3人しかいないのだけど。
最後に特例として入隊させた彼も、またその父親も今この場にいない。……全く、再度人員を補充しなければいけないのか。あーやだやだ。もう仕事なんてしたくない。
「ちゃっちゃと、終わらせましょう」
ラジャー、と左右から返ってくる。
「K、この作戦が終わったら、あなたはいつも通りエルフ側のスパイとして、領地から情報を送るように。任務達成次第速やかにこの場を離れなさい」
いつものように人形のような無表情かつ綺麗な顔で、長身な彼女はうなずく。迫力のある身長のわりに、その無表情さのおかげ、覇気がまったく感じられない。……長いこと会ってなかったけど、特に変わりはなさそうね。
「H、あんたは、……まあそこいらで野垂れ死んでなさい」
ひでぇ! と情けない声で反論してくるこの男。こちらも長身で目立つ体型をしている。その分、彼の犯すミスも目立つというもの。
「全く、アンタねえ。Kからあの親子の監視の任務を引き継いだ途端に、二人とも見失うなんて。ふつうあり得る?」
有り得ないミスよ、全く。あとで一時間は説教コースね。
……さて、この指示と軽口の間に、二人共スキルの換装は終わったことでしょう。
ぶつくさと言い訳を言ってる情けない部下を横目に、作戦のターゲットを視認する。
この特殊作戦はとても単純だ。ただ、相手の司令官を直接ぶっ叩く。
ここまで戦闘に参加せず、AI即座転写と環境適応能力の防護スーツで相手の攻撃をやり過ごしながら、敵の本拠地まで近づいてきたのもそのためだ。
目標もようやく視認できた。意外にも、司令官は二人のゴブリンらしい。いろんな士族が紛れるなか、彼らが司令官なのはひとえに彼らが相当に優秀なのだろう。
次元刀を展開する。レールガンが腰に差されているのは再度確認した。部下の二人に目で合図を送り、右足に力を込める。
「――作戦開始」
勢いよく踏み出し、スーツによる力場を発生させ、体を躍動させる。その反発による一瞬の跳躍で、ターゲットの10メートル手前まで躍り出た。
視認される。ターゲットの一人が槍を一本構え、投擲する。速く、重そうな一撃だ。
その槍が、空中でその数を加速度的に増やしていく。数瞬で、槍が無数に広がり切り、雨のようにこちらに降ってきた。
予測演算で視認し、必要な分だけ切り払う。まやかしではなく、重い質量が籠った一撃一撃を切り開いていく。
司令官である私がなんでこんな真似を、と頭の片隅に思うが、消し去る。そろそろ、油断したら死にそうだ。
残り3メートル。レールガンの射程距離にはとっくに入っているが、素早く戦闘離脱したいので、音を放つ攻撃はあまりしたくない。あと一歩で次元刀が届く。
一歩、力を込めて踏み込み、次元刀を切り放つ。槍をもったゴブリンがそれを防ごうと槍を縦に構えた。
無駄なことを、と思った瞬間――次元刀が、へんぴなその槍に止められていることに気づいた。
「――っ」 慌ててバックステップを踏む。バカでかい炎が目の前に展開された。
「……これは」 多分、逃げられた。この炎のなかに突入してもいいが、待ち構えられたらおしまいだ。炎から這い出た瞬間相手のほうがこちらを早く識別できるため、アドバンテージを取られてしまう。……深追いはできないか。
一瞬の攻防。完璧な急襲であったはずだが、防がれてしまった。
「……速やかに撤退よ」 もうすぐにでも敵がこちらに殺到するであろう。目くらましと敵襲の合図を知らせるのを、この炎の一手で打たれてしまった。
まさか次元刀が防がれるとは。――中和したとでもいうのだろうか。
ということは、もしかしたらあの女神たちもこの戦闘に参加しだしたのかもしれない。疑念は尽きないが、一旦撤退だ。
「――ログアウト」
悔しいが、作戦は失敗だ。戻って戦略から組みなおさなければ。
「……そういう作戦だとかは、アキヒト君が得意だったわね」
今この場にいない少年を思い出しながら、その場を後にしたアデルバードであった。
チャプター1エピローグに書いたあとがきの一部を、自分で読んでいて読了感を損なうなと思い、こちらに移しました。
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またできれば感想文にて、この部分はわかりにくかった、この情景描写は要らなかったなど、表現が簡潔かつ明快でなかった部分を教えていただきたいです。章指定などせず、こんなときの描写だった、と簡単な説明さえいれていただければ、とても嬉しいです。
そして悪くはなかった、うまく表現できていた、面白かった、感情が揺さぶられた描写などがございましたら、そちらも簡単に付け加えていただけると、とても励みになります。
チャプター2のほうへは、その感想や評価を参考にしながら書いていきたいので、色々な意見を聞けることができれば、とても筆者にとって力になります。お時間があれば、ご考慮いただけると幸いです。




