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Ch1.6 目覚めるとそこは(1)

すみません、遅れました。明日も遅れる可能性がありますので、ご了承ください。

 目覚めるとそこは、僕の部屋だった。チュンチュンと小鳥が鳴いている。朝だ。


 朝? ええ? 僕の部屋ぁ? ゴブリン島は?


『やあやあ! おはようアキくん、昨日ぶりだね! ゲームは楽しかったかい?』


 ニコニコ笑顔のまぶしいイマイさんがひょこっと僕を覗き込んでいる。ということは、ここはやはり現実なのか。

 

 え? じゃあ僕はあの後おっ()んで、そのままVR機器を外さず寝てしまったということか?


 それともすべては夢オチ? VRゲームなんて開発されてなかったの?


「???!」


『ハテナハテナハテナびっくりまーく? そんな記号(こと)を実際に口に出す人は、なかなかいないよ』


 アハハ、とイマイさんは笑ってくれる。やはり現実っぽいぞ……。


 頭がまだボーっとしてる僕は、おもむろにイマイさんへと手を伸ばす。そうするとイマイさんは、()()()()()()()僕の手からは遠ざかる。


『おっとっと。ダメだよアキヒトくん。ボクという神秘にキミは触れてはいけないのさ』


 忘れたのかい? と、1メートル離れたところでイマイさんは、僕のその行動に対してウィンクを返した。


 そう。イマイさんには触れられない、というルールが昔から暗黙の了解でもあった。もしまだ夢のなかであるなら、都合よく触れられるかなと手を伸ばしてみたが、ダメだった。


「……おはよう。イマイさん。ごめん、寝ぼけてたみたい」


 先ほどのゴブリン島での狂騒から、嘘みたいに平和な日常に戻ってきたのだ。



 ――――――――――


「カケルはどうだった? IFワールド」


「なんとか生き残ったぜ」


「すごいなあ。僕なんて一日目でダウンしたよ」


「あー、そうなんか。でもオレも一日目が一番きつかったぞ。……そうそう、ゴブリンの村長みたいなやつがいきなり攻撃されそうになってさあ。なんとかその攻撃を防いだら、気に入られて。そっから――」


 僕たち学生は今、いつものように登校中である。もっぱら話題はIFワールドでの体験。

 どうもカケルの話を聞く限り、僕たちのゲーム体験は多少似通っているようだ。経緯はどうあれ、やはり集落まで連れてかれ、そこで事件が起きる。しかしカケルはその殺人事件を未然に防いだらしい。


「え? ちょっとまって。どうやってアレを防いだの?」


 話の途中で失礼だが、カケルの言葉をさえぎる。思い出せるのは、音速を超えたかのようなスピードで飛び掛かってきたこんぼう。視認できなかったので具体的な速度なんてわからないが、トンデモない早さだった。あの攻撃をどうやって防いだんだ?


「ああ、あれはほら。アキヒトの親父さんが教えてくれた技を使って、()()()()()()()()()()


 アレだよ、アレ。斬撃飛ばすやつ、と簡単に物を言っているが、空中から飛来するこん棒にあの奥義をぶち当てるだなんて、とんでもないコトをやってのけたっていうのか。僕はその奥義を発動すらできなかったのに。すげえなコイツ、ドン引きだよ。

 

「それはまた、なんちゅう離れ業を」


「あー。まあ運がよかっただけだろ。たまたまその攻撃が事前に見えて、都合よくそのスキル(戦闘技能向上)を持ってただけだからな」


 そう、カケルはスキルで反応速度が上昇しているのだ。もともと彼のAGIはDランクで、そしてスキルの恩恵も受けているから、それこそプロ中のプロ、オリンピック選手もしくは漫画の主人公並みの反応速度を手に入れているのかもしれない。


 AGIに関しては、Cランク相当になっているのだろうか。僕とのゲーム体験の違いにも頷ける。くやしいが、うらやましい。くっそぅ、やっぱりスキル選択をミスったか? いまさらながら後悔の念が再発してくる。


 そしてそんなこんなで話していたら、学校に着いた。挨拶を交わしてそれぞれの席へ。


 ――――――――――



「エミリはどうだった? IFワールド」


「どうもこうもないわ。最悪よ。期待して蓋を開けたらエルフ(イケメン)じゃなくてゴブリンしかいなかったのよ? あんなのパッケージ詐欺だわ!」


 クラス合間の休みにてエミリに話しかける。彼女はむすっとした様子で不満を打ち明けてくれた。


「わたし島を出て、新天地を目指すことにしたの。次のチャプターなんて待ってらんない。それで最初の7日間は船造りのための資材集めに没頭したわ」


 カリスマスキルのおかげで、ゴブリンも何人か手伝ってくれるしね、とエミリも持てるスキルを生かしてやりたいようにゲームをしているようだ。


「あれ、言葉通じなくても効果あるの?」


「そりゃあ、あるわよ。なかったら文句つけて裁判ものよ。……まあ、完全に従うというよりかは、こちらの考えてるイメージをゴブリンがくみ取ってくれてる、って感じね。強制力なんてほとんどないわ」


 なるほどあの温厚なゴブリンたちなら、なにか困っている人がいるなら、少なくとも何人かは助けてくれるだろう。


 彼らの言葉を話せてかつスキルレベルが上がったら、話は違うのだろうけど、それでもまだまだゴブリン相手には有用よ、とエミリはスキル使用感の感想を締めくくった。


「二人とも、やりたいようにやってるなあ……」


 はぁ、とため息が出る。僕は二人と違って最初からやり直しかぁ。

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