Ch1.2 次回、長老死す
『スキル:走力向上 E を習得しました。テレパシー(受信)のスキルレベルが I から II に向上しました』
暇になったので自分のステータスを開いてみたら、通知が届いた。
なるほど、経験に応じてスキルは習得、習熟していくとはこういうことか。死に物狂いで走ったし、捕まった後も必死にコミュニケーションを取ろうとしたおかげだろう。初めて数時間でスキルレベルが上がったのは朗報だ。
エッホ、エッホとゴブリンたちが汗水たらして僕を運んでくれている。……とても快適でいい御身分のように聞こえるかもしれないが、正確には違う。とてもじゃないが丁寧な運び方をされているとは言えないからだ。
なにせ僕は手足が槍に縛られ、それに平行につるされた状態で運ばれている。例えるなら火にくべる前の獲物状態だ。モウヤメテ、僕の尊厳はとっくにゼロよ!ジャンピング土下座に続いてこんな屈辱的な状態になるとは……。ゲームでこんな経験値求めてないよ!
しかしそんな軽い思考ができるぐらいには僕の精神は安定してきたようだ。手足は多少痛いが、耐えられないほどではない。1つ不満があるとすれば運んでいるゴブリンたちの背丈の小ささのせいで、道行く草が時々顔面にこすられるくらいか。
ゴブリンたちは今自分たちの集落に向かっているようだ。ジャングルをすでに20‐30分ほどは歩いている。
『コウタイ、スルカ?』『ダイジョウブ』『イロジロサワラセロオオ』『ウルサイ』『アッチイッテロ』
色白フェチ変態ゴブリンを除いて、彼らはとても仲間思いで、コミュニケーションも達者のようだ。……あの変態はなにか呪いにでもかかっているのだろうか。
もっとコミュニケーションを取りたいと思っているが、この状態では絵も描けないし、ボディランゲージも使えない。おとなしく彼らの時折話す会話でこの島の情報を探っていくことにした。
そうして、それからしばらくしてゴブリンたちの足が止まった。森の木々が切り開かれている。集落に着いたようだ。中央に大人一人は余裕で入れるような大きな井の形で組まれている焚き火用の薪が組まれており、その周りに家屋が円状に広がっているのが見える。
道中、とくに事件はなにも起きなかった。いやむしろ起きなさすぎなようにも感じる。ゴブリンたちは野生動物やら危険生物に対して注意をなにも払っていないかのように、まるでただの散歩のようにリラックスしてこの集落まで帰ってきた。ジャングルなのだから、毒性生物や危険動物がいてもおかしくないはずなのだが。
会話の内容も取り留めのない日常会話のようなものだった。やれあの果物がおいしいだとか、たべすぎて腹の調子が悪いだとか、緊張感はかけらもなかった。
『ツイタ』『ツカレタ』『オモカッタ』『チョウロウヨンデクル』
集落の周りを見てみると辺りの木々にはいろんな種類の果物が実を結んでいる。直接集落から足を運んで台を使って何人かのゴブリンたちがその果物を収集している。
特に周りを囲う柵もないようだ。……少し平和すぎやしないか? 外敵は存在しないのだろうか。それともこのゴブリンたちがこの島の生態系において強すぎる存在なのだろうか。
『チョウロウ!』『キテキテ』『イロジロツカマエタ』
集落の入り口から少し灰色がかかった色のゴブリンが出てくる。
『フォフォ、コレマタ メズラシイ イロノヤツジャノ』
とても貫禄のある白髭を伸ばした長老ゴブリンがやってきた。
村長ゴブリン→長老へ修正




