135、勤勉なマリオネット
「あっ、壊れてるぞコレ!」
吸血鬼が死体の前で不意に声を上げる。
彼が手に持っているのは死体から血を採取するための専用チューブだ。買ってからそう時間は経っていないと記憶しているが、どうやら早くも使い物にならなくなってしまったらしい。
「予備のヤツないの?」
「うーん、どうだったか……レイス、ちょっと探してきてくれ」
「はぁ? 嫌だよ。なんで俺が」
「寒いからあまり動きたくない。君は寒さとか平気だろう?」
「ダンジョンのボスが情けないな、ちょっとはゾンビちゃんを見習いなよ。真冬でも裸足でノースリーブ、夜も毛布無しで寝てるよ」
「アイツはアホだから良いんだ。一緒の次元で考えるな」
「酷い言い草だなぁ。で、どうすんの?」
「チューブはまた買うとして、とりあえず今どうするかだな。恐らく、チューブの予備はもうない」
「なら仕方ないじゃん。吸血鬼らしくガブっといっちゃえよ」
「ううむ……せめて女なら良かったんだが」
吸血鬼は苦虫を噛みつぶしたような顔で地面にうずくまる死体に視線を落とす。
……俺は吸血鬼ではないし、生前人に噛り付くような趣味もなかった。それでも、そんな至って普通の俺にでもわかる。太い首、ゴツゴツした筋肉の鎧に包まれた肉体、浅黒い肌、栗のように艶々輝くスキンヘッド――吸血鬼の食指が動かないのも無理はない。
とはいえ、それとこれとは話が別だ。
「贅沢言わないでよ、貴重な食料なんだからさ」
「やむを得ないか……」
そう言いながらも、吸血鬼はなかなか冒険者の首に噛り付こうとしない。勇気が出ないのだろうか。このままではいつまでもたっても死体が片付かなさそうだ。
俺は彼の気を少しでも紛らわせるべく口を開く。
「あ、そういえば吸血鬼宛に荷物届いてたよ」
「そうかそうか。じゃあスケルトンに僕の部屋に荷物を運ぶよう頼んでおいてくれ」
「は? なに言ってんの、自分で取りにいきなよ」
「なんだよ、それくらい良いじゃないか!」
「最近ゴロゴロしすぎ。そんなんじゃ、いざって時動けないよ」
「チッ、小うるさい奴だな。あーあ、僕ももっと従順な部下が欲しいよ」
吸血鬼は冒険者の首をハンカチで念入りに拭きながらそう悪態をつくと、毒でも呷るみたいにしてその首に噛り付く。
どれほどそうしていただろう。吸血鬼は突然目を見開き、冒険者の首から口を離した。
「ど、どうしたの?」
酷く蒼白くなった吸血鬼の顔を覗き込み、俺は首を傾げる。
しかし次の瞬間、俺にも吸血鬼の酷い顔色の理由が分かった。
……起き上がったのだ。地面に転がった冒険者が、起き上がったのだ。どうして良いか分からず呆然とする中、吸血鬼は生気の抜けてしまったような表情でふらりと立ち上がる。
「ちょ、まだ生きてるよ!?」
「あ……ああっ……」
吸血鬼は頭を抱えながら唸り声を上げる。
「吸血鬼早くトドメ刺して!」
「あああっ、やってしまったぁ」
「いや、やってしまったじゃなくて!」
吸血鬼はやるべき事もやらず、この世の終わりみたいな顔をしながら意味のない喚き声を上げるばかり。
その間にも例の冒険者は俺たちに背を向け、フラフラと通路を歩いていく。
「ほらっ、逃げたよ吸血鬼! 早く追いかけないと」
「……いいや、その必要はない」
「そんな訳ないじゃん! もう良い、スケルトンたちを招集して――」
「レイス、良いんだ。その必要はないんだ。黙って見ていろ」
「はぁ?」
冒険者を仕留め損ねたことがよほどショックで、頭がおかしくなってしまったのか。
俺は本気でそう考えていたが、どうやらそれは間違いだったようだ。
俺たちが追わずとも、冒険者は戻ってきた。その手に吸血鬼宛の小包を持って。
「ど、どういう事? なんで冒険者がこんな」
「……眷属だ、眷属にしてしまった」
吸血鬼はどこか壊れたような薄笑いを浮かべながら呟くように続ける。
「吸血鬼が吸血により仲間を増やすことは知っているだろう」
「もちろん知ってるけど……えっ、じゃあこの人吸血鬼ってこと?」
「半分正解、半分間違いだ。吸血鬼が人間を眷属にするにはいくつかの条件が必要だ。まず相手の息があるうちに器具等を用いず直接吸血すること、そしてこの人間を眷属にするという強い意志があること」
吸血鬼は大きく息をつきながら、改めて虚ろな目をした冒険者に視線をやる。
「今回、僕はこいつの息の根が止まっていないことに気付かないまま、そして従順な部下が欲しいというフワッとした気持ちを抱いて吸血を行ってしまった……その結果がコレだ。知能は無い、言葉も発しない、ゾンビにすらなりきれていない出来損ないの操り人形だ」
「え……ど、どうすんのこの人」
吸血鬼は唇に手をやり、しばらくの沈黙の後重い口を開いた。
「そうだな――」
*********
「ねぇ吸血鬼」
「うん?」
「それでいいと思ってるの?」
俺は吸血鬼を見下ろしながら思わずため息を吐く。
上着を脱ぎ、ソファに寝転がったまま最新号のカタログを読むその姿はまさに怠惰そのもの。
そんな吸血鬼の傍らには血液の入ったボトルとグラスを持った例の冒険者が控えている。
吸血鬼は怪訝な顔をカタログの陰から覗かせ、不満そうに口を開く。
「なんだ、なにか問題があるのか?」
「ダンジョンボスとしても人としても問題だよ」
「ふっ……僕が人だったのはもう随分昔の話だ」
「そういうことを言ってるんじゃなくて……」
「良いじゃないか別に。こいつはもう意識も自我も残っていないただの肉人形だ」
「吸血鬼は気付いてないかもしれないけど、ひっどい絵面だよ。ゴロゴロする成人男性、顎で使われる中年男性……この世の地獄だね」
「本当にうるさい幽霊だな。仕方ないだろう、この出来損ないは僕のエネルギーを使って動いている。そのせいで体が怠くて仕方ないんだ」
「だったらさ、いっその事解放してあげたらいいじゃん」
「はぁ? 君は僕の下ぼ……じゃなくて眷属を殺せと言うのか?」
「いや、だってもう死んでるんでしょ?」
「死んでるのは僕らだって同じじゃないか。創造者として、無責任にこいつを殺すことはできない」
「良いように言うなぁ。そもそも意識や自我が残ってないって言ったのは吸血鬼じゃ――」
俺の文句を止めたのは吸血鬼の声ではなく、スケルトンたちの慌ただしい足音であった。
彼らはいつものように紙へ書き殴った文字で俺たちに冒険者の襲来を告げる。冒険者が来てしまった以上、こんなことをしている場合ではない。
「ほら、早く持ち場に行かないと」
ソファに横たわったままの吸血鬼を俺はそう急かすが、吸血鬼はなかなかソファから起き上がろうとしない。
「あー……この体で戦闘は結構キツイな」
「馬鹿なこと言ってないで、早く待機しててよ」
「ああ……分かった分かった。心配しなくて大丈夫だ。だから君は早くスケルトンたちの元へ向かえ」
「そんな事言うんだったらもう少し心配させないような振る舞いをしてよね……」
俺の言葉が届いたのか、届いていないのか。
吸血鬼は腹の上に読みかけのカタログを置いたままヒラヒラと俺に手を振って返事をするのだった。
********
「……マジ?」
俺はその光景に思わず目を見張る。
宝物庫前で冒険者たちを待ち受けていたのは、血に塗れた鎧を脱ぎ、美しい燕尾服を纏ったあの冒険者――いや、吸血鬼の眷属だったのだ。
彼は当たり前のように、まるでダンジョンボスのような堂々とした立ち振る舞いで冒険者を迎え撃つ。冒険者の方も彼をダンジョンボスであると信じて疑っていないようだ。何の躊躇いもなく武器を構えて吸血鬼の眷属へと立ち向かっていく。
しかも驚くべきことに、吸血鬼の眷属は割と――いや、かなりの強さであった。もちろん吸血鬼ほどではないのだろうが、少なくとも生前の彼よりは強いに違いない。今の彼には痛覚というものがないのだろう。冒険者からの攻撃をモロに受けても、怯むことはおろか怯える素振りすら見せないのである。
そして激戦の末、吸血鬼の眷属はボロボロになりながらも冒険者に勝利した。
……ダンジョンボスでもなければ、ついさっきまで魔物ですらなかった者が、冒険者に勝ってしまったのである。
「おー、上手くいったじゃないか」
すべてが終わり、ダンジョンに静けさが戻った後で、本物のダンジョンボスがようやく姿を現した。
ふらりふらりとおぼつかない、しかしどこか軽い足取りで吸血鬼はこちらへと向かってくる。その顔色はいつも以上に優れないが、それに反し表情は明るい。
俺は彼に向かって、低い声で問いかける。
「……吸血鬼、これはどういうつもり?」
「いやぁ、眷属というのも悪くないな。正直ここまで役に立つとは思わなかった」
「俺は吸血鬼がここまで怠慢だとは思わなかったよ」
「そう言うな。ちゃーんと仕事はこなしただろう」
吸血鬼はそう言いながら自らの眷属の肩を叩く。
まるで彼の手柄は自分の手柄だとでも言いたげな表情だ。
しかしまぁ、確かに彼の仕事ぶりには目を見張るものがあった。彼の優秀さは認めざるを得ない事実である。
その事はそう時間がかからないうちにダンジョン中に知れ渡る事となった。
『ありがとうおじさん』
スケルトンが持てば脱臼は免れないような大荷物を抱えた吸血鬼の眷属に、スケルトンたちは感謝の言葉を惜しげもなく送る。
この短期間で彼はスケルトンたちの信頼を勝ち取ったらしい。
嫌な顔一つしない彼の働きっぷりには目を見張るものがある。
だが驚くべきはこれだけではない。
「オジサン、オジサン! アレ出シテよ!」
どこからともなく現れたゾンビちゃんが、ぺたぺたという可愛らしい足音と共に眷属へと走り寄っていく。
すると眷属は小さく頷き、燕尾服のポケットから手のひらサイズの小さなネズミを取り出す。恐らくダンジョンを走り回るネズミとは種類の違うものだ。この冒険者のペットなのだろうか。ネズミは慣れた様子で冒険者の手のひらの上で鼻をひくつかせると、ぴょこぴょこと眷属の体を駆けまわり始めた。よくしつけられた芸達者なネズミだ。
猫のそれのように次々繰り出されるゾンビちゃんの攻撃を、ネズミは踊るようにヒラヒラとかわす。
「ゾンビちゃんが懐いている……」
これにはさすがの俺も驚いた。
勤勉な働きぶりでスケルトンの信頼を勝ち取るまでは俺の想像の範囲内であるが、ゾンビちゃんにまで認めさせるとは。
冒険者を撃破したことといい、まさに八面六臂の大活躍である。
「……それに比べて、こっちは酷いなぁ」
目の前で恥ずかしげもなくソファに横たわる吸血鬼を見下ろしながら、俺は一際大きなため息を吐く。
吸血鬼は俺の事なんか見えていないかのようにカタログを読みながらごろごろするばかりだ。
「あのさぁ、吸血鬼もあの人を見習いなよ」
「ああ、僕の眷属はうまくやっているのか? ならそれは僕の手柄だ」
「……ほんと、良いように言うなぁ」
「当然だろう、ヤツはただのマリオネット。動かしているのはこの僕だ」
「なるほどねぇ。だとすると、吸血鬼もなかなか粋なことをするよね」
「粋なこと?」
吸血鬼はそう言うと、ようやくカタログの陰から顔を覗かせて俺の方を向いた。
「スケルトンたちの手伝いしたり、ゾンビちゃんと遊んであげたりさ。あんな心遣いが吸血鬼にできたなんて驚きだよ」
「アイツ最近どこかへ行っていると思っていたら、そんな事していたのか? 全く、僕の世話もせず何をしているんだ」
「えっ……それって……」
俺は腕を組み、しばし考える。
もしかしたらあの眷属、ただのマリオネットではないのかもしれない。
*******
『またゴロゴロしているのかこのクズ』
『ここにいたのか穀潰し』
ソファに寝転がる吸血鬼に、スケルトンたちは次々辛辣な言葉を浴びせかけていく。
これにはさすがの吸血鬼も顔を引き攣らせた。
「な、なんだよ。酷い言い草じゃないか。カルシウム足りてないんじゃないのか」
吸血鬼の微妙な返事に、スケルトンたちの視線はどんどん冷たくなっていく。
さらに追い打ちをかけるように、吸血鬼の背後から冷たい言葉が飛んだ。
「アッ、ゴクツブシだぁ」
そう言いながら吸血鬼の顔を覗き込むのは、にやにやした意地の悪い笑みを浮かべたゾンビちゃんである。
「お前もか! 一体何なんだ、寄ってたかって。僕に何の用だ」
『貴様に用はない』
「用がアルノはオジサンだよ!」
ゾンビちゃんはそう言うと吸血鬼の側に控えていた眷属の元へと走りより、甘えるようにその燕尾服の裾を引っ張る。
「ネェネェ、またネズミ出シテよ!」
スケルトンたちとゾンビちゃんに囲まれる眷属を見て、吸血鬼は苦々しい表情を浮かべながら吐き捨てるように言う。
「ふん、僕のマリオネットは大人気のようだな。創造主として鼻が高いよ」
「あのさぁ吸血鬼、そのことなんだけど……この人、もしかして自我があるんじゃないの?」
「ん? どういうことだ?」
「自我のないマリオネットは一挙手一投足を主が操る必要があるよね。でもこの人は――もちろん吸血鬼の命令に背くようなことはしてないと思うけど、それでもある程度は自分で考えて行動しているように思える」
吸血鬼は腕を組んでしばし考えるようなそぶりを見せた挙句、ゆっくりと口を開いた。
「……正直言うと、僕も眷属を作ったのは初めてだからその辺りは良く分からない。しかしそう言われたらそうかもな。だがそんな事はどうでも良い。どのみちアレはもうダメだ」
「そ、それは」
『どういう事!?』
吸血鬼たちはあっという間にスケルトンたちに包囲され、その言葉の真意を詰問される。
すると吸血鬼はなんの躊躇いもなく、非情なほどにあっさりと彼の眷属の現状を口にした。
「ヤツが小奇麗なのは燕尾服から出ている部分だけだ。所詮は出来損ないの死にぞこない。アンデッドと呼ぶのもおこがましいただの死体だ。できた傷も治せない、腐敗だって進んでいく。僕の力でなんとか形を保ってはいるが、それももう限界だ」
吸血鬼の言葉に呆然とするスケルトン。
しかしゾンビちゃんにはその言葉の意味が分からなかったのだろう。
「ナンデ? ナンデ治ラナイの? ナンデ?」
ゾンビちゃんはキョトンとした表情でそう呟きながら、縋るように眷属の手を握る。しかしゾンビちゃんの手が眷属の手に触れた瞬間、彼の指が砂の像のようにボロボロと崩れた。
眷属の表情は少しも変わらなかったが、ゾンビちゃんは違った。どうしてこんなことになっているのか理解できない、とでも言いたげな表情でゾンビちゃんは首を傾げる。
「ア……レ?」
「いよいよ、ってとこだな。あまり触らない方がいいぞ。こいつを少しでも長生きさせたいならな」
「……なら、自由にしてあげなよ」
「は?」
怪訝な表情で首を傾げる吸血鬼に、俺はもう一度言う。
「最期にさ、自由にしてあげなよ。マリオネットじゃなくて、人間として。いや、もう人間じゃないんだろうけど……せめて少しでも人間らしく。彼の働きに敬意を表して」
すると吸血鬼は少し考えた挙句、面倒くさそうにため息を吐いた。
「そうか、分かった。もう好きにしろ。あとはお前の好きなように生きろ。その体で何ができるのかは知らないし……そもそも、もう死んでるけどな」
……これで主の許可は取った。
残された時間は少ないが、これで彼は自由の身だ。
彼は冒険者として、命を賭けてこのダンジョンに入ったのだ。賭けに負けて命を落とすのは仕方がない事である。
とはいえ、傀儡として最期を迎えるのはあまりに可哀想だ。彼にまだわずかでも意識が残っているのならなおの事。
「さぁ、もうあなたは自由だ。好きなことをすると良いよ。最期に太陽の光を見たい? なにか言い残したいことがある?」
眷属――いや、「冒険者」は俺の言葉には答えず、まず燕尾服のポケットからネズミを取り出して地面に置いた。ネズミはしばらく不安そうにあたりを見回し、そして冒険者の足元をちょろちょろしていたが、やがて何かを悟ったのだろうか。ネズミは冒険者の元を離れ、部屋を出て行ってしまった。
それを見届けると、次に冒険者はゆっくりとした足取りで吸血鬼へと近付いていった。そして彼はなんの躊躇いもなく吸血鬼の懐に飛び込む。
「がっ……」
瞬間、短い悲鳴と共に吸血鬼の白いシャツに赤い染みが広がった。
染みの中心――彼の左胸には、飾り気のない武骨な短剣が深々と刺さっている。
「いつの間にッ……用意周到なヤツ……!」
吸血鬼は苦しそうに悪態をつきながら地面へ膝をつく。
主のダメージは眷属に伝わる、という事か。それとも単に時間が来たのだろうか。冒険者はまるで糸の切れたマリオネットのように受け身も取らず地面へと崩れ落ちる。その衝撃により、彼の体は砂でできた像のように崩れてしまった。
赤黒い灰と化した冒険者にこの部屋にいる全員の視線が集まる。ごくごく短い間ではあったが、ダンジョンの仲間として活躍した冒険者の本当の意味での死を多くのアンデッドたちは悼んでいるように見えた。
そんな中、吸血鬼は冒険者の遺灰を見下ろしながら歪な薄笑いを浮かべる。
「……そんなになっても、最期の最期まで『冒険者』ってわけか。立派なものだな」
吸血鬼は血を吐きながらも、自分の胸に深々刺さった短剣を抜き取る。
幸運にもと言うべきか、残念ながらと言うべきか……どうやら彼の最期の一撃は吸血鬼の息の根を止めるには至らなかったようだ。
彼が自分を殺した相手に復讐したいという理由で吸血鬼を刺したのなら、残念ながら彼の最期の望みは叶えられなかったことになる。
しかし自分を操る者を殺し、マリオネットではなく人間として死にたかったのだとすれば、彼の最後の望みは見事叶えられたことになるだろう。
さて、どういう理由で彼がこのような行動をとったのか。
……死人に口なし、もはや俺たちに話を聞く術はなかった。




