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第六十三話「炎の獣」

「その、姿は?」

「驚いたかい? 獣の亜人は、こうして獣化することができるんだ」


 噂では聞いたことはあったけど、まさかこうして目の当たりにすると想像していたよりも迫力がある。

 獣化じゅうか

 ロメリアさんのような獣の亜人は、本来獣の一部しか体についていない。しかし、獣化することで、より獣へと近づく。

 露出していた肌からは、赤い毛がこれでもかというほど生えており、顔つきも人から獣へ。

 

 獣化したことで、身体能力は格段に向上しているはずだ。

 こちらも強くなったといえ、油断は禁物だ。


「さあ、ここからが本番だよ。あたしの全力……受けな!!」


 ん? そういえば、赤炎がどこにも見当たらない。

 

「考え事かい?」


 その強靭な脚力で、ロメリアさんは一気に距離を詰めた。

 そして、振り上げた右腕からは赤き刃が生成されていた。咄嗟だったが、反応できた僕は右腕で防御したが……。


「まだまだ!」


 赤き刃がぐんっと伸びた。

 

「……なるほど」


 そのまま僕を壁まで吹き飛ばしたロメリアさんは、次の行動へと移る。

 両手に纏われた炎の手。

 そこから伸びる爪は、鋭き刃の如し。


「はあっ!」

「あははは! これでも傷一つつかないなんてね!!」


 真正面から、その攻撃を防いで見せた僕は、元気に笑うロメリアさんに喋りかける。


「まさか武器と一体化するなんて」

「あんただって、妖精と一体化してるじゃないか」


 若干カマをかけてみた感じだったが、ロメリアさんは普通に答えてくれた。彼女の赤炎は魔剣。普通の武器じゃないことはわかっていたけど、まさか一体化するとは。

 獣化したことで、戦闘方法も変えたということか。


「それもそう―――ですね!!」

「うおっ!?」


 僕はロメリアさんの攻撃を防ぎながら、地面を強く踏む。

 もちろんただ踏んだだけじゃない。

 そこからエネルギーが放出し、衝撃波となってロメリアさんの体を浮かせた。


「空中なら!」


 いくらロメリアさんでも空中では容易には動けないはずだ。

 僕は、隙を与えまいと右拳にエネルギーを纏わせ振るう。


「んなろ!!」


 が、やはり甘くはなかった。

 攻撃をただ受けるのではなく、炎の手で僕の拳を叩き、体を捻った。


「おらぁ!!!」


 そして、体の回転を利用し、そのままかかと落としを僕の頭に叩き込んだ。


「おいおい。硬すぎるだろ?」

「それが自慢ですから」


 ……さて、そろそろか。

 

「ロメリアさん。ここからは」

「胸の結晶が……!」


 野生の勘というやつか。なにかを感じたロメリアさんは、焦った様子で右の手の炎を燃え上がらせた。


「もう一段階強くなりますよ」

「〈炎狼拳〉!!!」


 迫りくる炎の拳。

 本来当たればただでは済まない強力な一撃だろう。だが、それは届かない。

 

「〈フル・ブースト〉」


 体から溢れ出たエネルギーにより阻まれ、弾けた。

 体中から溢れ出る力。

 ずっと、ずっと練りこんでいたエネルギーを解放。胸や腕、足などにはめ込まれたエネルギー結晶から止めどなくエネルギーが放出されている。


「いざ、決着の時!」

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