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第五十四話「今後の話」

 街に戻った僕達は、闇のダンジョンによる脅威はなくなったことを大々的に報告した。

 それにより、どんよりとした空気は一気になくなった。

 僕達は、街の人達からとても感謝された。


 正直に言うと、街をあげての感謝なんてされたことがないから、とてもこそばゆかった。今は、闇のダンジョン攻略を祝した祭を開催するための準備が大急ぎで行われている。

 街中の住民が参加しているので、結構早く開催されるだろう。


「いやぁ、なんだかいい気分ね。街を挙げての祭だなんて」


 今まで見たことがないほどにっこにこなティナを見て、僕はくすっと笑みを浮かべる。


「でも、闇のダンジョンは世界中に出現してるんだよね」


 雰囲気を壊したくはないけど、事実だ。

 僕達が攻略したのは、その内のひとつに過ぎない。それに、魔王をどうにかしないと闇のダンジョンは完全になくなったとは言えない。


「そうですね。だからこそ、私達が居るんです」


 と、シャルは空を見上げる。


「そういえば、あいつらは今なにしてるの?」


 ティナが言うあいつらとは、チャール達のことだろう。


「……もう旅立ったそうです」

「はあ? 聖女を置いて?」


 そう。チャール達は、もう旅立った。

 冒険者達の手助けをしてくれたことにお礼を言おうと彼らが泊っている宿へ向かったのだけど……すでにチェックアウトをし、旅立っていた。

 一応、置き手紙があり、シャルのことも書かれていた。


「良いんです。私の使命は、闇を祓うこと。そのために勇者パーティーに加わった。ですが、なにも勇者パーティーだけが闇を祓う存在ではない。それに、私はアースさんがいないのなら、あのパーティーから自ら抜けるつもりでした」

「え、あ、うん。そう、なんだ」

「はい」

「それでいいの? 聖女として」

「お父様も承知のことですので」


 その言葉、その笑顔から本心だということはわかる。なんていうか、時々シャルの笑顔には圧を感じることがある。


「それに、私が居なくとも加護によって彼らは瘴気から護られていますから」

「というか、あんた。アースが闇のダンジョン攻略の旅を続ける前提で言ってるけど」

「え? 続けないのですか?」


 可愛らしく小首を傾げる。

 僕は、少し困ったように笑みを浮かべながら答える。


「続けるよ。僕がどこまでやれるかわからないけど。今回のことでちょっとは自信がついたから。それに」


 手の甲の紋章を見詰める。

 

「この力は、そのためにあるって思うんだ」


 偶然、かもしれない。最初はそう思っていたけど、今は違う。

 この力。

 ロボットは、世界を救うためにある力だって思っている。


「そういえば、アース。手の甲のそれ、なんだか変わったわよね」

「ん? あぁ、うん」


 ティナとシャルが、僕の手の甲の紋章を見詰める。

 今までは、歯車のようなものが刻まれているだけだったけど……今は。

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