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第四十四話「魔界ゴーレム戦(3)」

お待たせしました。続きです!

 魔界のゴーレム達と戦うべく一番危険な中央へと突き進んだロメリアとロウガは、少しばかり苦戦していた

。普通のゴーレムならば、容易に倒せるものの魔界という異世界からやってきたゴーレム達は思っていた以上に硬かった。


「らっ!」


 真っ向から振り下ろした刃は中型ゴーレムの右腕に弾かれる。

 そこへ追撃とばかりに左腕がロメリアを襲った。


「おっと!」


 体を捻り回避しつつ、回転を利用した一撃を左腕に叩き込んだ。


「かったっ!?」


 しかし、それでも斬れない。

 両手に走る衝撃。

 握力が削られ、赤炎を手放しそうになるもなんとか留まる。


「うお!?」


 一瞬の隙。

 それを見逃さんと中型ゴーレムは、自分の腕を分解し飛ばしてきた。


「このっ!!」


 なんとか赤炎を盾にし防御するも、衝撃は殺し切れない。体に走る痛みに堪えながら、ロメリアは受け身をとる。


「ふう……魔界の魔物ってのは中々骨があるねぇ」


 なんとか最小限のダメージに抑えられた。

 ちらっと視線を横に向けると、共に戦っているロウガが、小型ゴーレムを倒すことに専念していた。先ほどまで、自分と同じく小型ゴーレムを倒しつつ、中型ゴーレムと戦っていた。

 それが、今ではまるで優先順位を変更したかのような行動をとっている。


(アースの話では、ある程度は自分の意思で動くってことだったが……どうやら、あたしはこっちを全力でやるべきみたいだね)


 ロメリアは、ぐっと赤炎を握る手に力を入れ直し、刃に炎を纏わせる。

 

(普通に戦ってたんじゃ、あいつは斬れない)


 攻撃を回避しながら、ロメリアは思考する。


(なら、どうする)


 ここまで戦ってロメリアはそれを理解した。

 

(決まってるじゃないか。考えるまでもない!)


 そう。考えるまでもなかった。

 

「斬れるぐらいの力を出すまで!!」


 ゴリ押しだ。


「〈重烈刃〉!!」


 武器の重量と切れ味を倍加させる。〈重烈刃〉は、強力な武器強化魔法だが、使い勝手が悪い。武器が重くなるということは、それだけで動きが鈍る。

 よほどの怪力出ない限り、進んで使う者はいない。


「そらよ!!」


 だが、ロメリアは動きが鈍ることなく軽快な動きで攻撃を回避し、そのまま赤炎を振り下ろして、右腕を両断した。


「まだまだぁ!」


 力任せに、横薙ぎに振るう。


「〈ソニック・スラッシュ〉!!」


 真空の刃を飛ばし、背後に居た小型ゴーレムを何体も巻き込み、中型ゴーレムの体を切り裂いた。


「ふう。こんなものか」


 これでようやく先に進める。そう思った矢先、中型ゴーレムの斬られた体が元通りになっていく。


「ありゃ? そういえば、ゴーレムって魔力核を破壊しないとダメだったか」


 体が元通りになったということは、先ほどの一撃で魔力核は破壊できなかったということ。そして、ロメリアが知るゴーレムと比べて、明らかに再生速度が速い。

 これではいくら斬っても再生されてしまう。


「つっても、魔力感知苦手なんだよなぁ」


 ロメリアはどちらかといえば肉体派。

 魔力は主に身体能力を上げたり、武器などに属性を付与する程度。魔力感知という技術よりも、どちらかといえば獣としての勘や嗅覚の方。

 どうしたものかと、頬を掻いているとロウガが隣に並んだ。


「ロウガ?」


 そして、無言で自分の左胸をとんとんと人差し指で叩く。

 最初は、なんだ? と首を傾げたが。


「あ、なるほどね。あんがと」


 その意図を察したロメリアが礼を言うとロウガが、再び残った小型ゴーレム達を倒しにいく。


「うーん。やっぱかっこいいねぇ、あいつ」


 今度こそ決める。

 ロメリアは、再び赤炎を構え中型ゴーレムを睨む。


「ほんじゃ、受けてみな。ロメリアさんの一撃を!」


 溢れ出す闘気。

 宿る魔力。

 ロメリアが掲げた赤炎の刀身は二倍も長くなる。


「〈赤羅せきら〉」


 振り下ろされる赤き一刀。

 防御されるも意味なし。

 交差した両腕をも切り裂き、中型ゴーレムの魔力核を破壊した。バラバラに崩れ落ちていく岩を見詰めながら、ロメリアはにっと笑みを浮かべる。


「ま、こんなもんだね!」

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