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第四十話「ダンジョン外では」

 アース達が闇のダンジョンへ突入してから数分後。

 後からやってきた冒険者達が、瘴気に侵されている森へと到着していた。


「おいおい。瘴気ってのは、こんなにも景観を変えるのかよ」


 先頭に立っていたドッゴは、周囲の光景と過去の光景を比べて、随分と違うことに驚く。


「ドッゴ。俺達は、なるべく瘴気に触れず街へ向かおうとしている魔物を倒せば良いんだよな?」


 と、弓矢を持った男性冒険者が問いかける。


「おうよ。聖女様から護りの加護を貰ってはいるが、油断はできねぇ。俺達は、なるべくこの先に行かず、広範囲に渡って防衛をすればいいんだ」


 冒険者達の役目は、アース達が闇のダンジョンを攻略するまで防衛すること。

 護りの加護により瘴気を防げているものの油断はできない。

 

「瘴気で強化された魔物か……私に倒せるかな」


 瘴気で強化された魔物は、攻撃力も防御力も通常の時と比べ物にならない。

 杖を持った女性冒険者は、自分の魔法が効くのか不安になってしまい呟く。


「やるしかねぇんだ。ロメリアの姉貴達は、俺達より危険な地で戦ってんだからな」


 ドッゴも不安がないと言えば嘘になる。

 だが、ここで怖がっていたら、自分達よりも危険な地で戦っているアース達に申し訳ない。


「それに、覚悟決めただろ?」

「だな。それに、こういう危険な挑戦こそが冒険者の本分ってやつだ!」

「よ、よーし! 私だって……!」

「おいおい、声が震えてるぞ?」

「あ、あなただって手が震えてるじゃない!」


 これまで共に冒険者として活動してきた仲間達が震えながらも自分を鼓舞している。そんな姿を見てドッゴは、少しあった恐怖心が消えた。


「ドッゴ! 見ろ!!」

「きたか」


 槍を持った男性冒険者の声に、ドッゴは背負った大剣に手をかける。

 正面を見ると、瘴気の中からこちらへ向かってくるゴブリン達の姿が見えた。


「魔法使い! 支援魔法!」


 ドッゴの指示に魔法使い達は攻撃力と防御力を上げる支援魔法を前衛にかけた。


「おっしゃあ! かかってこいや!!」


 自分達の役目は防衛。

 瘴気には突っ込まず冒険者達は武器を構える。


「盾使い!」

「うっし!!」


 さっそく棍棒を振り下ろしてきたゴブリンの攻撃を盾持ちが防ぐ。


「おらぁ!!」


 攻撃を弾かれたゴブリンにドッゴが大剣を振り下ろす。


「なっ!?」


 しかし、傷をつけただけで倒せなかった。通常のゴブリンならば、容易に両断できていたが、瘴気により強化された魔物にはあまり効かなかったようだ。


「マジかよ。ゴブリンでこれか……」


 話には聞いていたが、いつも容易に倒せていたゴブリンを倒せなかったことにドッゴは冷や汗を掻く。


「てめぇら! 気合いを入れ直せ!!」

「今度は、属性付与を!!」

「守りは任せろ!!」


 防衛線はまだ始まったばかり。

 ドッゴ達は、アース達が必ず闇のダンジョンを攻略すると信じて、気合いを入れ直した。

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