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第二十五話「合体! 空を舞う鋼鉄の狼」

 どうやら、炎に対して耐性があるようだ。

 それだけじゃない。

 炎自体を吸収して、それを養分にしてしまう。かなり厄介な相手だ。


「おーい! アース!!」

「え? あ、はい!!」


 流れが悪い方へ向かっている。そんな状況で、ロメリアさんが明るい声で僕の名を呼ぶ。

 まるで、友達を呼ぶかのように。


「選手交代だ! あいつは、あんたが倒してみせな!!」

「え!?」


 突然の指名。確かに、炎が効かないようだが、完全にというわけではないはず。ロメリアさんの様子からも、それがわかる。

 まさか、これはロメリアさんからの試練? もっとロボットの力を見たい? 


「ほら、何してるんだ! こーたーい!!!」


 色んなことを考えていた僕に、ロメリアさんが攻撃をひらりと回避しながら催促する。


「どういうつもりかわかんないけど……アース! あんなでかいだけの木なんてやっつけてやりましょう!!」


 ティナもロメリアさんに対して言いたいことがあるようだが、やる気は十分のようだ。

 後ろを見ると、後衛の皆さんはなにやら頑張れ! と言いたげな表情をしていた。


「わ、わかりました!!」

「おーし! あんた達! アースを全力で支援するんだ!! いいね!?」

「おっしゃあ! 兄弟! 思いっきりやってやりなぁ!」

「ロボットとやらの実力! この目に焼き付けてやるとするかね!」


 期待されている。なんだか恥ずかしいけど……今の僕なら。

 とは言っても、僕はただ指示するだけ、なんだけど。


(まあ、それが召喚士。ぐだぐだ考えてる暇があったら、行動あるのみ!)


 僕は、一歩前に出てロウガとハヤテにある指示を出す。


「ロウガ! ハヤテ! 合体だ!!」

「が、合体!?」

「な、なんじゃそりゃ?」


 刹那。

 どよめく冒険者達に見せ付けるようにロウガは走り出し、跳躍。

 そこへハヤテが近づいていく。

 

「待って、根が!」


 何かを察知したのか。デグボーが根を二体目掛けて伸ばした。


「おらぁ!」

「邪魔はさせねぇぜ!」


 しかし、ドッゴさん達が根を切り裂いてくれた。

 それにより、ハヤテはロウガの背中に連結する。鋼鉄の翼を広げ、ロウガは飛翔する。


「すげぇ! 飛んでやがるぜ!」

「くう! なんだか知らねぇが、心が熱くなるぜ!!」

「ロウガ! ハヤテ! エネルギー放出!」


 エネルギーブースターにより高速の移動を可能にしたロウガは、空からあっという間にデグボーへと接近し、エネルギー結晶から粒子を放出させる。

 

「速い……!」


 分身体達を飛び越え、本体のデグボーの周囲を旋回しながら強大なエネルギーの鉤爪で切り刻んでいく。その度に再生をするも追いついていない。

 枝は地面に落ち、葉も舞い落ちている。


「トドメだ!!」


 僕の右手の甲の紋章が輝き、ロウガとハヤテに呼応する。

 鋼鉄の翼を広げ、放出したエネルギー粒子を身に纏う。

 そのままデグボーの頭上から落下していくその姿は、翼の生えた光の狼。これが、二体による合体技〈光翼狼牙斬〉だ。


「た、倒した!」

「なんて奴だ。まったく見えなかったぜ……」


 倒されたデグボーは、巨大な魔石を残し消滅した。やっぱり、エネルギー消費が激しい。ロウガはそこまででもないけど、ハヤテはギリギリだった。

 無暗にエネルギー砲を使うのは、考え直した方が良いかもしれない。エネルギーブースターも、緊急時以外は使用しないことにしよう。

 使わなくても、ハヤテはよほどのことがない限り捉えられることはないから。


 ……なにはともあれ。


「やったわね! アース!!」

「うん」


 まだまだ色々と試行錯誤が必要だけど、無事大型の魔物を討伐することができた。前の僕からは考えられないことだ。


「よくやった! アース!!」

「ロメリアさん」


 階層主を倒し、静寂に包まれた部屋の中で、冒険者達は僕の周りに集まって来た。


「正直、この調査が終わったら戦ってみたいと思っていたが……ありゃあ、やばいな。うん! やばいぜ!!」


 がっはっはっは! とドッゴさんは豪快に笑う。


「あたしは、俄然戦いたくなったけどねぇ」


 逆に、やる気が高まっているロメリアさんは、ぺろりと自分の唇を舌で舐めながらこちらへ戻ってくるロウガとハヤテを見詰める。

 完全に、獲物を狙う獣の目である。


「ま、まあ。そういう話は、また後でということで。今は」

「わかってるよ。ドロップアイテムがなかったのは残念だけど。とりあえずは魔石は手に入った。ドッゴ! あんたに魔石を運び権利をやる!!」

「ロメリアの姉貴! 任せてくだせぇ!!」

「いや、さすがにあの大きさは一人じゃ無理なんじゃ……」

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