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第二十二話「一時の休息」

 僕達が調査に向かった新しいダンジョン。

 調査隊に加わった冒険者達が、実力者揃いだったこともあり、現在は四階層まで死傷者なしで進んでいる。

 今は、これまでの調査報告と整理を兼ねて休憩中だ。


 ダンジョン内で休憩するには、何かと用意がいる。

 まあ、それは外でも同じなんだけど。

 まずは、場所の確保。それに周囲警戒。一晩明かすならテントを張る。今回は、数十分程度の休憩なのでテントを張らず、各自小腹を満たす程度の食事をとる。


「それじゃあ、ハヤテ。上空からの周囲警戒を頼んだよ。ロウガは、随時生体センサーをオンに」


 僕が二体に指示を出すと、ロウガはその場に留まったまま生体センサーをオンに、ハヤテは空へ飛び立った。


「いえーい!」


 ついでにティナはハヤテの背に乗っている。


「便利なもんだな、おい」

「あ、えっと」


 僕も少し休憩しようと思ったところ、冒険者ギルドで何度か会話をした冒険者が話しかけてきた。


「お、そうだった。まだ名前を言ってなかったな。俺は、ドッゴ! 中級八位の冒険者の一人だ!」

「ど、どうも」

 

 今回は酒を飲んでいないので、少し話しやすい感じ?


「まさか、お前がここまでの実力者だったとはな。正直、お前を最初に見た時は妖精を連れたただのなよなよめがねだと馬鹿にしてたぜ」

「あ、あははは……」


 本人を前にして堂々と言う人だ。けどまあ……そうだったかもしれない。召喚士になってからと言うもの、僕は剣を振るわず、前にも出ず、ティナに任せっきり。

 傍から見たら、そう思われてもしょうがないのかも。


「っと、悪い悪い。俺はどうも嘘ってのが苦手でよ。つい言いたいことをズバッ! と言っちまうんだ」

「大丈夫ですよ。えっと、豪快で良いかと」

「はっはっはっは! よく言われるぜ! まあ、ギルドで色々言っちまったが……これから同業者としてよろしくな、兄弟」

「は、はい」


 僕はドッゴさんが差し出した手を握る。大きく、ごつごつとした手だ。僕とは大違いだ。


「おー、随分と仲良くなったようだね。あんた達」


 ドッゴさんと少しだけ仲良く? なったところでロメリアさんが話しかけてくる。


「うっす! ロメリアの姉貴! お疲れさんです!!」

「おう! あんたもね、ドッゴ! んで? どう思うよ、あんた達」

「どう、とは?」


 ロメリアさんは、その場にどっかりと座り、干し肉を齧る。


「次は五階層だ。だいたいのダンジョンは五階層ずつで中型、もしくは大型の魔物が待ち構えてる」


 なるほど。次で最後か、まだ続くかということか。


「俺は、まだ続くと思うぜ。ロメリアの姉貴」

「続いてほしいっていう願望じゃないのかい?」

「そうとも言いやすね! 兄妹。お前はどう思うんだ?」


 二人の視線を受けながら僕は、少し考えてから口を開く。


「次で最後、だと思います」

「ほう? その根拠は?」


 ロメリアさんは、干し肉を食い千切り再び問いかけてくる。


「ここまで戦ってきた魔物達はかなりの強さでした。こういうダンジョンは、だいたいが少ない階層で構成されています。だから、今回のダンジョンもそうかもしれません」

「確かにね」

「まあ、ドッゴさんの言う通りかもしれませんけど」

「おいおい! そこはズバッ! と自信をもって言い切るところだぜ?」


 自信なさげな僕の背中をドッゴさんはバシバシ叩いてくる。

 めちゃくちゃ痛い……。


「こらー! ハゲー! アースに何やってんのよ!!」

「なにって、男同士のスキンシップってやつだぜ。妖精ちゃんよぉ!」

「ティナ。ぼ、僕は大丈夫だから」


 背中が痛いのは事実だけど。


「んー! よし! もう少し休憩したら、五階層に進むよ! あんた達!!」

「おっす!」

「ロメリアの姉貴! 次が階層主なら、俺の槍で貫いてやりますよ!」

「私だって! 風の魔法で切り裂いちゃうんだから!」


 今のところは順調。特にトラブルのようなものはない。とはいえ油断はできない。僕もしっかり休憩して、次に備えないと。

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