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児玉さん。俺、頑張ります!  作者: 虹色
10 覚悟の冬
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寒いけど、幸せ。


……寒い。


部屋が明るくなってきてる?

朝なのか……?



寒いな。


やっぱり、床にバスタオルを敷いたくらいじゃ仕方ないか。

布団も夏用だったから、重ねても……っていうか、ちゃんと掛けてないや。

体が半分以上はみ出してる。

これじゃあ、寒いのは当たり前だ。右手が冷たくなってるよ。


もう起きる時間?

児玉さんは ――― ?



?!


ベッドにいない?!

しかも、ベッドの上が妙にすっきりして……。



焦って起き上がった俺の目に入ったのは、ベッドからずり落ちた掛け布団だった。


……いや、落ちたんじゃない。

たぶん、下ろしたんだ。

俺が掛けていた布団の上に、きちんと被さっているってことは。


つまり、児玉さんだ。

俺のために掛けてくれたのか?

じゃあ、本人は……いるのか、この中に……?



布団の端を持ち上げてみると、裸足の足があった。

俺のすぐ横。

もしかして、俺は蹴り出されたのか……?


布団越しなら触ってもいいだろうと、児玉さんの体のありそうなあたりを軽く叩いてみると、ほぼ中央に児玉さんがいることが分かった。

叩かれて目が覚めたのか、もぞもぞと布団が動き、二つの手が出て来て、児玉さんが顔を出した。

眩しそうにパチパチとまばたきをして、隣に座っている俺を見る。


「おはよう。」


照れくささと、いたずら心の混じった笑顔。


「おはようございます。」


いつから隣にいたんだろう?


「あのね、雪見さん、寒そうだったから。」


何も尋ねていないのに、言い訳ですか?


「そうでしたか。ありがとうございます。」


今の方が、たぶんもっと寒いですけど。


「ええと、もう起きる時間?」


起きたくないです。


「昨日とおとといは早起きしたから、今日はもう少しゆっくりしようかと。」


「そう? じゃあ、わたし、朝ご飯の仕度を……。」


「児玉さんと一緒に、です。」


児玉さんを湯たんぽ代わりにして温まるんですから。


「うわ。雪見さん、手が冷たいよ。よっぽど寝相が悪いんだね。」


それは俺じゃありませんよ……。









第十章「覚悟の冬」はここまでです。

次から第十一章「春に向かって走れ!」に入ります。最終章です。

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