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児玉さん。俺、頑張ります!  作者: 虹色
10 覚悟の冬
110/129

 ★★ 頑張らなくちゃ : 児玉かすみ


いよいよ明日だ……。


雪見さんがうちに来る。

うちの両親に、結婚の許しをもらうため。

わたしは昨日から実家に戻っている。



クリスマスのあと、雪見さんの訪問の予定を決めるために電話したら、お母さんは気楽なものだった。

“5倍” の約束が達成できていないことを話すと、簡単に言ったのだ。


『 “できた” ってことにしちゃえばいいじゃない? お父さんだって、証拠までは求めないわよ。』


それができれば、雪見さんもわたしも、最初から悩まない。

まっすぐな雪見さんは、ウソをついて結婚を許してもらおうとは、まったく考えていない。

明日はお父さんに、ひたすら頭を下げるつもりでいる。


何か作戦があるのか尋ねたら、


「作戦なんかありません。当たって砕けろです。」


と言い切った。

男らしいとは思うけど、砕けてもらっては困る。

すると、


「大丈夫です。絶対に諦めませんから。」


と。

諦めないことだけは自信があるらしい。


たしかに、雪見さんはずっと頑張ってきた。

図書室の利用者を増やすことも、ダイエットも、マラソンも。

だから、わたしも雪見さんを応援しなくちゃ。

雪見さんと一緒に頭を下げなくちゃ。


と思っているけど……、もしもお父さんが前回みたいに怒鳴ってばかりだったら、わたしもまた言い返しちゃうかも。



お父さんは、雪見さんが来ることは知っている。お母さんが先に話してくれたから。

どんな用事で来るのかも分かっているはずだけど、わたしの顔を見ても、そのことは何も言わない。

ほんとうに、どうなるのかなあ……。

お母さんは、お父さんは引っ込みがつかなくなっただけ、なんて言うけど……。


引っ込みがつかないってことは、納得する理由ができるまで引き下がらないってことじゃない?

結構、頑固なところがあるからなあ……。

よく考えると、雪見さんとお父さんって似てるのかも。



「かすみ。黒豆の味を見てちょうだい。」


「はーい。」


お母さんはご機嫌だよね。雪見さんのことを気に入ってるんだもの。

おせち料理にもこんなに力が入って……。


「和哉たちがいなくて残念ねえ。せっかく雪見さんが来るのに。」


「ホントにね……。」


そう。

兄さんたち家族が来ていれば、甥っ子たちがいる手前、お父さんだっていつまでも不機嫌な顔をしていられないと思う。

でも、今年は家族でハワイ旅行だそうだ。

めったにないことだから仕方ないけど、よりによって今年だなんて……。




は……。


くよくよ考えたって仕方ないね。

雪見さんが言うように、 “当たって砕けろ” だ!


砕けるのは困るけど、そうなったらそうなったで、次の方法を考えよう。







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