★★ やった♪ : 児玉かすみ
「児玉さん、大丈夫ですか?」
「うふふふ……、大丈夫よ。」
ああ、楽しい!
雪見さんと一緒に歩く鳩川駅からの道。
いつもと同じ道なのに、今日は何倍も楽しい。
だって。
雪見さんが、わたしのために、意地を張るのをやめてくれたから♪
雪見さんなら、ああ言ってくれると思ってた!
でも、実際にそうなってみると、なんだか……あまりにも嬉しくて。
だって、そうでしょう?
雪見さんがそれほどわたしを大切に思ってくれているってことなんだもの。
本人は気付いていないけど、わたしにとっては一番大きなクリスマスプレゼントだよ。
「雪見さん。大好き。」
組んでいる腕をぎゅーっと抱き締めてしまうほど。
「くくく……、ありがとうございます。やっぱり今日は飲み過ぎですね。」
そうかな……?
でも。
「雪見さんの声も大好き。」
「ぷ・・・、ありがとうございます。」
あらら、笑ってる。
もう。
せっかく褒めてあげてるのに。
でも、そんなに飲んだかな?
夕食で食前酒とワインの赤と白……と白、バーでカクテルを……あれ? 何杯飲んだっけ?
そんなにガブガブ飲むようなお店じゃないのに、覚えてないなんて……。
まあ、いいや。
今日はわたしにとっては嬉しい日なんだもの!
何か特別な贈り物をあげたい気分♪
――― 贈り物? 特別な?
そうだよね。
わたしのために決心してくれたんだもの、そういうものがあってもいいよね?
うーん、何がいいかな?
すぐにあげられるもの……。
「ねえねえ、雪見さん。何か欲しいもの、ある?」
「欲しいもの、ですか? クリスマスプレゼントなら、もう貰いましたよ。」
「違うの。特別な贈り物をしたいの。嬉しいから。」
「特別な……。」
「あ、家が欲しいとかはダメだよ。今すぐにあげられるもの。わたしが。」
「児玉さん……。」
あら?
ため息つかれちゃってる……?
「そういうのは、酔っ払ってないときに言ってください。」
……そうなの?
「わかった。じゃあ、また今度ね。」
特別な贈り物は素面じゃないとあげられないなんて、知らなかったよ……。




