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黒と白の世界と  作者: 夕陽ゆき
第三章 『反転』
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第三章13 『荒事の予感』



 ——『ブリガンテ』。


 オダマキの口から放たれたその単語は、奏太にとって聞き覚えのないものだ。


「…………何だ、それ」


 疑問し、思わず漏れ出た一言。

 オダマキはそれを聞いて視線を宙に彷徨わせると、


「ブリガンテ。こいつぁ何つーかあれだ、ここと同じだ」


 随分と抽象的な説明をする。


 何やら自信ありげな表情だが、いまいちそれが伝わらずに首を傾げ、隣でため息が漏れる。

 そちらを見やれば、憂いの正体はオダマキを蔑んで見つめる葵だ。

 彼は「いいですか」と呆れ気味に切り出すと、


「ブリガンテはラインヴァントと同じ『獣人』で構成された組織です。……奏太さんはここ以外にも組織があったことはご存知でしたか?」


「ああ。前にフェルソナに聞いた。でも、HMAに滅ぼされたって」


「正しくはほとんどが、ですね。芽空さんという強力なバック、及びボク達という戦力がいたラインヴァントとは違い、他の組織はなすすべもなく壊滅させられていきました。……命を奪われた方も、少なくはありません」


 前半の発言に対し、彼が最後に述べたその言葉には深く、息が詰まるような重さがあった。


 当然のことであるが、考えてみれば葵達は奏太よりもずっと前から『獣人』として生きてきたのだ。普段の言動がどうあれ、葵を含めて皆々が黙りこくるの無理はない。

 同族——と言うべきか、同じ『獣人』が手の届かぬ、知らぬところで消されていく。そんな事実を突きつけられるなど、苦痛以外の何者でもないのだから。


 明日は自分も、あるいは隣の誰かが。

 そんな恐怖も、あったのだろう。


「————っ」


 言葉に出来ない、怒りがあった。

 それが自分の無力さを呪うものなのか、無意識のうちに誰かを重ねてしまっているのか、同情か、共感か。


 分からず、分からなくて、分からないから、俯き拳を固め正体の見えない怒りに耐える。

 奏太がここで怒りを露わにするのは場違いなのだと、名前も知らぬもの達に失礼だと、自分に言い聞かせて。


 故に奏太は気がつかない。

 奏太に向けられる視線があることを。それが決して、一つではないことを。


「何を隠そう、僕はたまたま運良く死なずに転々と各地を渡り歩いてきていてね。葵君の言う他組織の終焉をいくつも目にしてきたんだ」


 そして気がつかぬままに、奏太は顔を上げ、唐突な声の元を見つめる。


 ラインヴァントの研究者、フェルソナ。

 彼は普段のユニークな言動とは裏腹に、決して並ではない道のりを歩んできている。

 今の彼の言葉で、そう結論づけられた。


 奏太同様に記憶を失い、身を寄せる場も次々に失われる——それは酷く、無残で無慈悲な歩みだ。

 だが、彼は笑う。


「もちろん失ったものばかりではないさ。得たものもある。こうして今君達の力になれるのだから」


「————」


「さて、話を戻そうじゃないか。僕の身の上話など、君は今求めていないはずだ。語られるべきは、ブリガンテのことだ」


 フェルソナは奏太の心中を察したのか、自身の話は終わりだと首を振って見せる。

 その気遣いが、悔しくて。

 申し訳、なくて。


「……悪い、フェルソナ」


 彼から送られる温かな視線が、奏太の拳を解いていく。

 言いたいことはあった。

 気にすることも、聞きたいことも。

 だが、これ以上は奏太が感情的になっていても仕方がないのだと、無理やり言い聞かせて止める。


「なに、謝ることじゃないとも。僕は本音を言ったまでなのだから。——さあ葵君、続きを」


「……ええ、分かりました」


 最後に奏太を安堵させるように語りかけたフェルソナ。

 葵は彼から語り手を任されると、しばしの瞑目ののち、中断していた話を再開する。


「……先程壊滅させられた、と述べましたが、それはあくまで組織という集団の崩壊です。所属していた個人の全てが殺されたわけではないんですよ」


「つまり、その生き残りが集まったのが」


「はい。最初に言ったブリガンテ、という組織になります。——ただ、それは寄せ集め集団とも言えたため、組織として形を成しているかは不確定だった。フェルソナさんが全滅と称したのはそれが理由でしょう」


 確認するように一瞬、葵の視線がフェルソナへ向くが、彼は葵の推測に対して肩をすくめるのみ。

 肯定も否定もせず、ということは彼なりに何らかの趣向や考えがあったのかもしれないが、口を挟まない以上さして重要なことではないはずだ。

 そう結論づけ、思考をただ一点ブリガンテに集中させる。


 ラインヴァントと同じ『獣人』の組織ブリガンテ。

 事実を整理して考えてみると、確かに葵の言った寄せ集め集団という言葉がしっくり来る。

 が、


「……ブリガンテはどっちだ?」


「そーた、何の話ー?」


「いや、ごめん。ふざけてるわけじゃなくて。……えっと、そうだな。さっき葵は寄せ集め集団って言ってたけどさ、これって二種類あるだろ」


 そう、一言で寄せ集めと言ってもなにも単一種のことを指すだけではない。

 つまりは、


「強いか弱いか、っていう二択だ。生き残りの中に凄腕のやつがいるか、いないか。それ次第で状況もまた変わって来るだろうし。だから改めて聞くけど……ブリガンテはどっちだ?」


 そう葵に問いかけ、答えを待つ。

 仮に前者であった場合には、このタイミングで集まるくらいだ、仮に戦闘があってもおかしくはない。

 自ら望むわけではないが、もし免れないのであれば——戦うまで。その結末として、幸せを望むのは揺るがないものの。


 静かな、しかしじんわりと熱くなっていく熱が体の内に灯るのを感じ、奏太は深く息を吐く。

 覚悟。そう呼ぶべきものを固め、事実を受け止めるために。


 そうして求めた答えは——、


「こっからはオッレが話す番だな」


 別のところからあった。


 オダマキだ。彼は茶金の髪をかきあげ、記憶を一つ一つ辿っていくように目を細めたかと思えば、


「……いや、りょ、りょう何とかつった方がかっけーか?」


「領分な。かっけーかどうかはあーしどうでもいいから、さっさと話進めろっての」


 彼の普段通りの——悪く言えば空気の読めない発言に、苛立つかのようなため息を吐く梨佳。

 彼女の気持ちも分からなくはないのだが、ひとまず口には出さないでおく。


 それには純粋に早く話を進めたい、というのもあるが、彼女の様子にあてられたオダマキが瞳の色を鋭く尖らせたことも関係していた。

 彼の内にある想いが関係してのことか、否か。

 いずれにしても、停滞していたこの会談はようやくその針を進める。


「——半年だ。半年、オッレはこの都内……いや、この大陸中を見て回ってきた。『獣人』に生き残りがいるかどうかの確認でな」


「大陸中……」


「おぉ、そうだ。今でこそ『ノア計画』とかいう、訳分かんねー計画で人が都内に集められてっけど、外に『獣人』がいねぇとは限んねえからな」


 彼の言う通り、確かに『ノア計画』の関係上、大陸の人々の多くが都内に集まってきている。

 ましてや、計画までの期限は刻々と迫っているのだ。いくら『獣人』といえども都内に集まる以外に自身の未来を作る方法はない。


「とまぁ、んな感じでオッレは『獣人』を見てきたが……まともに活動してんのはブリガンテくらいだったぜ。『獣人』っぽいのはたまにいたけどな」


「っぽい、ってことは……ラインヴァントみたいに、目的はあくまで平和に暮らす人たち、だよな」


「なるべく荒事は起こさない、っていうのが方針だしねー。HMAの目もあるから、危なくなるのは避けたいしー」


「けど、ブリガンテは違う。そうだな?」


「あぁ。あいつらみてーなクソ野郎どもには、ここみてーなところは生温ぃだろうよ」


 つまりは過激派、と見るのが良いのだろう。

 奏太が先にした質問、強いのか弱いのか。

 単純でありながら脅威の確認であるその質問は、この時点でほとんど答えが判明したようなもので、


「ブリガンテの目的はこの街のてっぺんを取ることだ」


「お姉さんがそれに補足してやると、ブリガンテは藤咲華を倒して支配構造を変える、ってとこだな。……奏太。それがどういう意味か、分かるか?」


 やや抽象的な物言いのオダマキの言葉を、厳しい表情の梨佳がより明確に述べる。


 つまりは強者。

 反逆者となって牙を剥き、HMAが支配するこの世界を壊してしまおうというのだ。

 残虐さを、強さを歴史と身体が知っているのに刃向かうのは単に無謀、と一言で片付けて良いものではない。


 絶対的な強さと自信。

 それがブリガンテという組織にはあるということだろう。


 そして決して簡単に想像出来るような容易いものではない、が、もし仮にHMAが、藤咲華がやられるとすればどうなるか。

 ブリガンテが支配するようになれば、この街はどうなるか。

 それは、


「『獣人』と人の立場が入れ替わる……か? 今まで抑止力になっていたHMAがいなくなれば、『獣人』が好きなように動けるし、怯える必要も無くなる。けど」


「そ。今度は人が怯えるようになるし、もっと言えば——」


 あるかもしれない、などと思うだけで、明確な形として現出していなかった恐怖。

 それが現れるだけでは済まないだろく。

 何かを望むことも、願うことも忘れ。ただひたすらに毎日を呪うように生きる。

 つまり、つまりそれは、


「——蓮が望んだ幸せも、叶えられなくなる」


「————っ!」


 階級、統制、管理、粛清……ディストピアと呼ばれる社会が出来ても何ら不思議ではない。

 人に人としての権利が与えられず、幸せになることすら出来なくて。

 誰かが誰かを救うことすら許されず、思うがままにされて。


「……ざけんな」


「そーた?」


 隣からの呼びかけに、素直に応じられない自分がいるのが分かった。

 煮えたぎるような感情が奥底から湧いてきて、呼応するように体に力がこもる。

 『怒り』。それが奏太の中で目覚め、机上を強く叩かせた。


「ふざけんなよっ! そんなの、許してたまるかよ!」


「そーた、落ち着いて」


「華だって気に食わないけど、そんなのあったって良いわけないんだよ。『獣人』が支配する? おかしいだろ、その代わりに人が幸せになれないなんて!」


 衝動的な感情が、半年で得たはずの抑えすらも忘れて立ち昇る。

 ぽっかりと空けられた穴を通って、際限なく。


「俺は知ってんだよ。ただのクラスメイトに手を差し伸べてくれる子を。自分が危険な立場なことを知ってんのに、約束してくれる子を! ……なのに、そんなのって!!」


「————そーた!」


 透明感のある、涼やかな声。

 それが部屋中に響いた瞬間、奏太は言葉を失った。


 奏太はその声を知っている。だけど、知らない。

 その少女が声を荒げる瞬間を、奏太は知らないのだ。


「ぇ、あ……」


「そーた。落ち着いた?」


 ゆるゆると顔を動かし、声の主芽空を見つめる。


 彼女は奏太の言動に怒りを露わにし、呆れ嘆いて——否。

 彼女はにこりと、ただ微笑んでいた。

 そして、慈愛ばかりを含んだその笑みは、奏太に平静を戻させるには充分で————、


「……ごめん。つい感情的になった」


「ありがとう、だよ。そーた。私もたくさん色々してもらってるしねー」


 情けない話だ。

 芽空の隣に立って彼女を支えると、自分がそう言ったのに。

 まだまだ蓮のように上手くは出来ない。そんなことを、改めて理解させられた。

 ——いや、あるいは。


「ありがとう、芽空」


「どういたしましてー」


 あるいは、並び立つという言葉がどういうものなのか。

 それを今になって初めて、奏太は知ったのかもしれない。この身を、持って。



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



「それで、目的は分かったけど」


 芽空の言葉で落ち着きを取り戻したことで、奏太はこの問題にどう向き合うべきかを考えていた。

 もちろん、ブリガンテが——『獣人』がこの街を支配するなど、奏太は絶対に許せないし、阻止しなければならない。それは奏太が藤咲華に対しどんな感情を抱いていたとで、何も変わらない。


 故に奏太の中では迷う間も無く答えは決まっている。

 むしろ悩むべきは他のところにあって、


「こうして今話し合ってるってことは、みんなはそれを止めたいって思ってもいいんだよな?」


 ぐるりと皆々の顔を見渡し、答えを確認していく。


 奏太の独りよがりな考えなのか、そうでないのか。そんなこと、そもそも聞くまでもないことなのだと分かったのは、直後だ。


「————」


 誰一人首を横に振ることなく、奏太に向けた視線のみで無言の肯定をする。

 葵や梨佳、彼らはもちろん希美も。誰一人欠けることなく賛同していた。


「……そうか。良かった、本当に」


 故にこそ、安堵の息を吐いて事態に臨めるというものだ。

 緩んでしまった頰を叩いて引き締めつつ、


「構成やあいつらの行動は分かってるのか?」


 事を構えるというのであれば、まず忘れてはならない確認事項だ。

 ブリガンテがどのようなメンバーで構成されているのか、近日中の行動パターンは。

 はっきり言って現実味がないことこの上ないが、だからと言って悠長なことを言っていても仕方ない。情報を持って制す、ただそれだけだ。


「悪ぃが、行動パターンに関しちゃ何とも言えねーな。けど、あいつらのアジトは突き止めてきたぜ」


「やるようになったなー、オダマキ。お姉さんが褒めてやろう、半撫でだけ」


「よせよアネキ。それほどのことじゃねーよ」


 行動指針が明確化されたせいか、自慢げに朗報を口にするオダマキへの梨佳の当たりは、先までと違い柔らかい。

 けらけらと笑い、彼を褒めるその姿は、この会議の進行中初めてのものだ。

 半撫でといいつつ、何度か髪の毛をポンポンと優しく叩いているあたり、素直な気持ちで彼に接しているのだろう。たとえひと時でも、本題を忘れるかのように。


 そんな彼女らの姿に奏太は胸がぽかぽかとしてきて、共感を隣の葵に求める。


「なんていうか、本当姉みたいだな。なあ葵————」


「…………っ」


 しかし、今の彼に共感など得られることはない。

 いや、より明確に言うのなら。


「……構成は、どうなっているんです?」


「————」


 そんな余裕は、今の彼にはない。

 俯き、堪えるように言った葵に奏太は言葉を失う。

 代わりに出たのは疑問だ。

 ただひたすらに続く『なぜ』。


 あの時の梨佳の表情がブリガンテのことなのは間違いない。

 だとしたら、どうして今このタイミングで彼が酷く辛そうな表情をしているのか。

 爪が抉ったのだろう、強く握られた拳からは血が溢れていて。


「アジトは判明している。それならば、構成はどうなっているんです」


 重ねて、葵は問う。

 奏太の疑問など気づくこともなく、ただ睨むようにオダマキを見つめて。


「——てめぇも分かってんだろ? リーダーは変わんねーよ」


 口調の荒さとは裏腹に、答えるオダマキの目に敵意はない。

 だが、彼は葵の瞳に宿る何かを知っているのだろう。目を細め、じっと見つめ返していた。


「じゃあ、半年前に、姉さんや、梨佳さんが、闘った人と、同じ」


「そのようだ。僕としては、彼のような相手との衝突は避けたいところだけれど……何せ君達の身に多大な危険が降りかかってしまうからね」


「でも衝突は避けられないんだよねー」


 他の者もまた、奏太の知らない事情を口々に言う。


 分からない。空白の歴史が目の前にある。

 聞きたい。その気持ちはないわけではない。気にならないわけがない。


 ——だが、今それを聞くのはダメだと直感が奏太に告げていた。

 葵の態度を見たからなのか、あるいは経験則に基づくものなのかは……分からない。


 しかしそれでもと、何とか従い、深く息を吐く。

 分からない何かに耐え、ひとまずは話を円滑に進めるために。


「あぁ、三日月は知らねーんだったな。ブリガンテのリーダー、その名前は————」



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



 それからの話し合いは塞きとめるもの一つなく、順調に進んだと言ってもいい。

 オダマキが知り得てきた情報の開示、それが終えると、


「——っとまぁ、オッレが調べられたのはこんなもんだ。アジトの場所に構成……あぁ?」


「どうしたオダマキ?」


 唐突に彼は怪訝な声を上げる。

 顎元に触れ、何か納得がいかないと言うような疑問の表情。

 見えない何かを威嚇するように宙を睨みつけ——、


「いや、何つーかよ。出てきそうで出て来ねぇっつーか……あ、悪ぃ。思い出したわ」


 ハッとなってオダマキは懐を探り始めた。

 途中、様々なものが出てきて、彼の意外な一面が見れたのはともかくとして、彼の求めていたブツはようやくその姿を現わす。


「これは…………?」


「おぉ、それがよ。ブリガンテの偵察に行ったらちょうど仲間に引き入れられてたんだよ。多分今のメンバーに入ってやがるだろーな」


 彼がひらりと机上に出したのは一枚の写真だ。

 まさか、このご時世に印刷された写真というアナログチックなものが見れるとは思わなかったが、重要なのはそこではない。


「…………あれ?」


「どうしたのー、そーた」


 それぞれが写真を覗き込み、特に珍しいものもないと関心を失う中、奏太だけが引っ掛かりを覚える。

 胸の内、いや記憶の中にそれはある。


「でも、いつだ? 俺はいつ……」


 ややぼやけた写真に写っているのは、何てことのない——と一言で言ってしまうには奇抜な見た目の男達だ。


 前髪をゴムで縛ったデコ男に、金髪赤メッシュ男、顔中ピアス男。

 何てことのない、と言うよりは関わりたくないと言ったほうがいいかもしれない。

 そんな柄の悪い連中が懇願している姿。


「すっげー必死だろ、こいつら。このナリで情けねぇ。男なら根性見せろってんだ」


「まあ何か理由が……必死?」


 やはり奏太は知っている。

 細かな顔つきは見えないが、彼らが必死な様を知っている。


 あの時も、同じ感想を抱いた。


「…………あいつらだ」


「あぁん?」


「あいつらだよ。えっと……俺と同じ高校のやつだ!」


 ——そう、写真に写っていたのは。


「前に、不正してた奴らで」


 奏太が学校に通っていた頃、スポーツテストで不正を働き、ハクアに検査をされた者たち。

 明確な顔つきや名前など覚えていないし、はっきり言ってどうでもいい。


 だが、彼らは、


「…………どうして『獣人』と一緒にいるんだよ」


 れっきとした人間。

 間違えるはずもないその事実が、写真との矛盾を引き起こしていた。

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