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黒と白の世界と  作者: 夕陽ゆき
第四章 『崩落の世界』
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第四章12 『箱庭で踊るは未だ幼き探求者たち』



 さて、今回の侵入に際して、改めてどういったものであるか述べておこう。

 まず、今回一番の目的である『施設』の可能性が最も高い、学生区地下の捜索。こちらは最低限地下についての事情を知っている者、何かあった時に対処できる者が必要になるわけだが、そもそも『施設』は喪失者と何らかの関連性がある、とされる場所だ。

 上記の条件に追加して——連れて行ったからと言って、何か特別な変化が起きるという保証はないにしても——喪失者も何名か連れて行った方が良いだろう。


 そして、それとは別に事情を知らない、あるいは立場のこともあってそれに同行できない者たち。具体的にはラインヴァントの非戦闘員たち、オダマキ、ヨーハン等々が該当するが、彼らは残ってもらう他ない。


 ——と、これらの条件をもとに侵入組・待機組を編成したわけだが、どちらであっても不確定要素はつきまとう。


 『改変者』だ。奏太たちが留守にしているのを良いことに、今回の件に関わっている者たちを消しに来る、という可能性。

 むろんないに越したことはないのだが、もしも現れたら、という時のために待機組の方は葵に任せてきた。

 こちらを邪魔しに来た場合にも、やることは同じだ。撃退し、できるのであれば事情を聞き出す。


 梨佳やオダマキを襲った理由と、その勢力の目的を。



 ……とまあ、そんなわけで。

 あとは事情を知る者を一つにまとめるのは愚策もいいところなので、シャルロッテやヨーハン、フェルソナは待機組となり、自然と侵入組も少数精鋭のものとなった。

 しかし、


「——俺が偉そうに聞くのも変な話だと思うけど、二人は戦えるのか?」


 瓦礫の転がる、果てしなく続く暗闇を、懐中電灯で照らしつつ進んでいた奏太たち。

 質問しつつ、奏太が振り返ると、


「それなり」


「みんなに比べたらまだまだだけど、前よりかはねー」


 なるほど。とても判断に困る回答である。


 ——奏太、芽空、ジャック。

 この三人で構成される侵入組は、現在考えられる限り最大の戦力ではある。が、彼女ら二人については、先の戦いでスタミナ不足が原因で戦闘不能になっている。

 聞けば、二人とも共通して経験不足が原因だというが……この一ヶ月、隠れて特訓でもしていたのだろうか。


「……本当は」


 梨佳やオダマキがいてくれれば、さらに安心のできる布陣になっていたはずなのだが。そう言いかけ、やめる。

 どうしようもないことを呟いたところで、結局現状と比べて虚しくなるだけだ。

 それに葵も言っていたではないか。


 自分たちの実力を信じているのなら、任せてください、と。


 芽空やジャックたちも、ちゃんとした覚悟を持ってここに来ているのだ。それなのに無い物ねだりをするなんて彼女らに失礼だし、奏太はちゃんと信頼を持っている。そう思って、一緒に来て欲しいと言ったのだから。

 それに希美が味方であったならば、待機組にも助力してくれるはずだ、と。


「……そういえば」


 不安を飲み込んだところで、ぽつり、と後ろでジャックが呟く。


「『施設』に行くのはいいけど、封鎖されてるのはどうするの?」


「あれ、そーた話してなかったのー?」


 振り返らず、「あれ、そうだったかな」と首を傾げる。

 足を止め、ポケットを探って、


「はい、これ」


 話の流れと奏太の行動に対し、関連性が見出せなかったのか、一瞬固まるジャック。彼女は目を細めて手渡されたものを見つめると、


「……地図?」


「正しくは全体図だな。このアジトの」


 言いつつ、芽空が今向かっている方向を指で示してくれる。

 それを目で追うジャック。示された先を見て、「なるほど」と納得。


「でも、それ(、、)をしたら、被害がワタシたちの時の比じゃないと思う」


「その辺はあの鳥仮面に感謝、ってところかな」


「……?」


 やることは察したジャックだが、その安全を保障する理由に関してはよくわからなかったらしい。

 と言ってもそれは当然のことで、ラインヴァントに所属していた者の中でも、奏太や葵、梨佳のような一部の者しか知らない事情なのだが。


 そのまましばらく歩き、何度か角を曲がり、着いた先。待合室のような場所を抜け、広がったのは——、


「トレーニングルーム。ここならかなり暴れても(、、、、、、、)問題ないしな」


 四方が白に包まれた、見慣れた広い空間の中で。

 奏太はにっと笑いを浮かべて、そう言った。



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



 ——芽空は言っていた。


 ラインヴァントのアジトは学生区地下、つまりは『箱庭の跡』と仮称するが——を避けるように作られていると。

 開発途中で中止になってしまったということもあって、全体図を見れば、内側はやや角の目立つ円状になっている。それを円と言っていいのかはともかく、問題はその角。

 確認の段階で複数あったので、その中でもここなら大丈夫だろうと踏んだ場所。トレーニングルーム。


「地上への影響は大丈夫ってヨーハンには聞いた。けど、俺たちがいるこの地下が崩れたら、どうしようもないからな」


 奏太の言葉に、ジャックはキョロキョロと周りを見渡して、


「なるほど。アジトの他のところと比べて、確かに目立った外傷がない。これなら進路と退路が崩れることなく進める」


「そういうこと。……さすがに地下に生き埋めはごめんだしな」


「電波が飛んでこないから、助けも呼べないしねー」


 呑気に言えるような内容ではないのだが、まあともかく。


 ——以前、葵は言っていた。

 このトレーニングルームは、フェルソナが拡張、改修したことでかなり頑丈な出来になっていると。

 実際、他の部屋だったら、まず間違いなく一瞬で崩れて生き埋めになっていたであろうダメージなども、この部屋は全て吸収し切っている。

 それは『憑依』であれ『纏い』であれ変わらず、ユズカや奏太が本気で戦っていてもヒビ一つ入ることすらなかった。


 だが、しかし。

 ユズカはともかくとしても、奏太は攻撃力が主に頭部——角に集中している。かつ、先の戦いで『トランス』の極致である『昇華』を会得した。

 『パンドラの散解』後にはこの部屋に来れなかったのでわからないままだったが、もし。


 もし、『昇華』を使い、『ユニコーン』の角で攻撃をしたら————?


「ええっと、こっちの方向でいいんだよな?」


「うーん、もう少し中心に寄った方がいいかもー。あんまり端だと繋がってない場所を削っちゃうことになるし」


 芽空がジャックと地図を確認しつつ、指示。

 それを奏太が動いて調整することで、目標箇所を修正していく。

 何度かそのやりとりがあって、場所が定まると、


「よし。とりあえず、やってみるか」


「できなかったら、帰還?」


「そうなるねー。そーた、頑張ってね」


 なんとも責任重大な役割である。

 この場合フェルソナの技術にも限度があることを信じるべきか、あるいはフェルソナは立派な人物なのだと信じるべきか、果たして悩みどころではあるが、全てはやってみてからである。


 と、その前に、


「危険だから、一応二人は離れておいてくれ。破片とかが刺さったり入ったりしたらやばいし」


 これに対し二人は、


「じゃあ目つぶって後ろ向いてるねー」


「前向いてた方が、安全な気がする」


 その前に離れて欲しいのだが……という奏太の内心を察したのか、二人は離れつつ角で待機、目を瞑る。……なるほど、妥協案か。

 気遣いなのかもしれないが、緊張感があるのかないのか、よく分からない少女たちである。


 と、冗談もほどほどに、奏太は『昇華』発動のために気を高める。

 かのアザミは一瞬で『昇華』を発動させていたあたり、極めればその領域まで達せられるのかもしれない。その点、奏太もまだまだだと発動するたび思うのだが——時間にして、八秒。


 体が自然と溶け込むような感覚が訪れ、湧き上がる獣の力。奏太の片割れ(、、、)が呼びかけに応え、全てが一体化していく。

 人と獣、どちらでもある存在——人の極致へ。


「————ふっ」


 空気を確かめるように浅く、息を払う。


 毎度のことながら、落ち着くような落ち着かないような、とても曖昧な感覚だ。まるで、自分が空間そのものを掌握しているような。


 しかし、それなら。

 掌握できるというのならちょうどいい。


 現出した『ユニコーン』の角を確かめるように、軽く頭を振って。

 目の前の白壁を改めて確認。自分は何をすべきか、過程を頭の中でもう一度唱えて————地を蹴った。

 助走はほんの二歩、けれどそれだけで体は爆発的なエネルギーを得て、突き出しとともに射出される。

 やや低めに姿勢を屈め、そのまま衝突が起き、



 ——ずん、と角越しに感じるめり込んだような感触。確信する。

 これなら、いけると。


「ぅ、おおおおおおおおおお!!!」


 角を壁に突き刺したまま力を振り絞って移動。半円を描いていく。


 ……わかっていたが、さすがに痛い。削れた破片に硬い壁、角と全身が悲鳴を上げ、今にもその行動を止めそうになっているが、それでも気合いで描き切る。

 そして最後に思い切り角を引っこ抜き、後方へ下がる。が、間髪入れずに全速で壁へ突っ込んで、今度は大きく、一歩の跳躍。

 先ほど角で削った半円の真ん中に、左の蹴りをたたき込んだ。


 そして————。


「……よしっ!」


 思わず、ガッツポーズ。

 計画通りと言うべきか、思ったよりもかなりきつい仕事だったと言うべきか。

 どうしようもないくらいの力技で、提案したこの前の自分を殴ってやりたいくらいだが、なんとか。


 どうやら地下、地上ともに大きな揺れなどはなく、部屋の外にもこれといった被害の気配はない。さすがフェルソナである。


 感謝をするのは、全てが終わったその後で、だが。

 奏太は振り返ると、未だ目をつぶっていた二人に呼びかけ、指を指す。


「行こう、二人とも。——箱庭計画の、跡地へ」


 今しがた奏太が貫通させたばかりの、『箱庭の跡』へ続く道を。



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



 ツルツルと磨かれた暗緑の床に、所々塗装の剥がれた白い天井と壁。

 時々部屋を覗いてみると、何か書類を挟んでいたらしいボードや、日数の経過のせいだろう、黄ばんだシーツに穴の空いたベッド。枯れた花は既に限られた命も、鮮やかさも、その原型も。とうに消え去っていて。

 しかし封鎖されている、という割には電気は生きているようで、白と黄色の入り混じった光が施設内を照らす。


 ここ(、、)へ来る途中、通った入り口もそうだが、イメージとしては病院に近いだろうか。都内ではあまり見られないし、奏太も数えるほどしか行ったことがないので、必ずしも一致しているとは限らないが。


「……なあ」


 ふと、立ち止まる。


 少女たちはそれぞれ、芽空は何か貴重な技術がありそうとでも言うように、目を輝かせて施設内を眺め。ジャックは無関心なのか目的以外見えていないのかはわからないが、無言で歩いていた。

 彼女らが奏太の方へ振り返ると、


「ここって『施設』……なのか? なんか、ただの病院みたいだけど」


 警報などが鳴っていないあたり、どうなっているのかはわからないが、それはそれとして。

 奏太は思い出す。


 アジトに開けた穴からしばらく暗闇を進み、出た先。

 そこに広がっていたのは、地上と錯覚するような光景だった。

 と言ってもそれは、建物が森のように連なっていたり、かといってそこかしこから動物の声が聞こえてくるというわけではない。


 平らに整備された、アスファルトの道。いくつか既に完成していた建物もあり、電気や水道の管理施設はもちろん、住居もいくつか。

 しかしそれよりも、地上に近い、というより地上で生活している者ならば、誰しもが日常的に見ているもの。

 

 ——太陽だ。


 ただし、自然のものではなく、人工的な。

 ものの経緯としては、『ノア計画』で地上が海へ沈んだ後、当然だが太陽の光は水底まで届かない。そうなると植物はもちろん、人々の生活にも深い影響が出て、絶滅の可能性もあり得てくる。

 ならば、ということで開発されたのが人工太陽。海の底で人々を照らす、太陽の代わりとなってくれるものなんだよー……とのこと。

 誰に聞いたか、という質問には、芽空からと答えておく。


 HMAの技術が『施設』から持ち出されたものではないか、という話も持ち上がっていたため、これがこんな場所に置かれていること自体はさほど不思議ではないのかもしれない。

 箱庭計画でも使われる予定だったそうだし。


 しかし引っかかるのは、そんな現代技術の結晶があるというのに、思っていたよりも期待外れというか——何もなさ過ぎるのだ(、、、、、、、、、)


 住居や他の施設に行ってみたものの、まだ何も手をつけられていないのか、あるいは全て持ち出された後なのか、これと言って目立ったものはなく。

 だから中心に位置していた、あからさまに怪しい——周りには品種改良された、伸びない芝生が生やされている——病院風のこの建物に来たわけだが。



「ここは生活の跡が残ってるし、他の建物と明らかに違うことは確かだと思うよー」


 また一つ、適当な部屋に入って中を探ってみるも、『施設』どころかこの場所についてわかるような書類は一つも見つからず。

 芽空がボードを落としてため息を吐きつつ、外へ出て行くので、奏太たちも後に続く。


「でも、思ってたのと違うっていうのは、私もそーたに同感かな。あまりに静かすぎて、忘れられた街みたいな印象を受けるしねー」


「……忘れられた街、か」


 窓の外を見てみる。

 人工太陽は芝生を始め、この地下全体を光で照らしているが、それは慣れ親しんだ光景のようで、どこかずれたもの。

 生命の気配を感じさせない、寂しくて冷たい光だ。


 地上の太陽と同じく気温は上昇しているので、あくまで感覚的な話ではあるが。


「…………ワタシたちも、ここに記憶を置き去りにしてきたのかな」


「ひょっとすると、そうかもな。まだ断定できない部分はあるけどさ」


 そんな言葉を返して、ふと、思う。


 もしここが『施設』だったとして。

 喪失の手がかりがあって、さらにもしも、奏太の記憶が取り戻せるのなら。

 その時奏太は、記憶を取り戻すことを望むのだろうか、と。

 答えはどうなのだろう。


 今の奏太なら、多分、



「————あ」


 前を歩いていた芽空が、ぴたりと足を止める。

 彼女の視線の方向、電気が切れかかっているのか、チカ、チカと点滅を繰り返す廊下の先。

 赤いランプの灯った、エレベーターと思しき沈黙した扉が見える。


 やや早足になりつつ、そちらに三人が向かうと、


「エレベーター……と」


「階段かー」


「どっちにするの?」


 ジャックの問いに、奏太と芽空は顔を合わせる。


 こんな珍しい場所だし、エレベーターを使ってみるのも手じゃないだろうか、という奏太の視線。

 確かに私もそれには頷きたいけど、一応封鎖されてたわけだから、安全のことを考えて階段にしようよ、という芽空の視線。


 無言のやりとりが視線によって行われ、その間二人をきょとんと見つめるジャック。


 しばらくして、奏太がため息を吐くと、


「……横の階段、使うか」


 結局安全性を考え、階段を使うこととなった。



*** *** *** *** *** *** *** *** ***



 階段の前にあった案内によれば、どうやらここは、全三階層からなる大きな施設らしい。

 だというのに面倒な構造をしているようで、階段がそれぞれの階の端にあり——つまり、地下一階へ降りても、その階の反対端まで行かなければ地下二階まで行けない。これはエレベーターも同様のようだ。


 それからやはりというべきか電波は届かず、ジャックも奏太も、それぞれネットへの接続を試みてみたが、結果は言わずもがな。

 まあそれでも、と一応つけてはいるが、恐らくそれはこの先でも同様のことだろう。連絡が取れないのがやや心配なところではあるものの、致し方あるまい。


「そもそもこの先で連絡が取る余裕があるか、っていうのが心配なところでもあるしな……」


 奏太は少女たちを先導するように、前を歩く。

 一階——と言って良いのかはともかく、上はまだ太陽光などもあって明るい建物という印象を受けたが、地下一階はまるで別世界だ。


 明かりと言える明かりは、数十メートルごとに天井に設置された、小さく灯る緑の光のみ。

 時々何かを示すマークだろうか、壁に設置された、赤く点滅しているものも見られたが、芽空に確認してもわからないと首を振られた。

 おまけに、上階なら鍵の開いている部屋ばかりだったというのに、この階はほとんどが締め切られており、無理やり開けたり既に開いていたところも、部屋の中は散乱状態。


 それらによって、まさしく深夜の病院を思わせる不気味な雰囲気が地下一階からは漂っていた。

 ゆえに奏太が先導し、後に続くようにジャックが服の裾を掴み、その後ろを芽空が平気な顔で歩いているという状況である。


「芽空ってこういう場所平気なのか?」


「そーだねー、もう慣れちゃったかな。そーたは?」


「平気だよ。……多分」


 最後の呟きは聞こえなかったはずだ。そういうことにしておこう。


 ——なぜならそもそも、奏太が感じている恐れは、今ジャックが真顔で震えながら感じているそれとは、大きく異なるのだから。


 経験による直感、とでも言うべきか。

 奏太の脳が、全身が、あるいは片割れ(、、、)が、今までとは違う何かを感じている。敵意の類とも違う、粘っこく、肌を刺すような感覚を。



 ————そしてその奏太の直感は、決して間違いではなかった。


 さらにしばらく歩き、三人はT字に別れた道の前で立ち止まった。


「また案内。右が管理室、左が階段。それなら」


「まあ管理室に用はないから、左だな。芽空もそれでいいよな?」


 くるりと、振り返る。

 頷きか、あるいは不満からくるどっちとも取れない反応か、はたまた首を振るか。奏太が直前に思い浮かんだのはその辺りだが——実際に彼女が見せた表情は、どれとも違う。


 芽空は眉を寄せて、


「……二人とも、何言ってるの?」


「え?」


 何言ってるの、ってそれは。

 管理室へ行くのが当たり前だろう、とかそんな意味だろうか。

 彼女は怪しんだまま、


「ジャック。もう一回、案内読んでくれる?」


「ん。右が管理室、左が階段」


 ジャックの回答の後、こちらに視線が向く。奏太も同じくそうだ、と頷くと、目からウロコが落ちたように目を見開く芽空。


「……やっぱりそうだ」


「やっぱりって、何が?」


 彼女は冷や汗を流しながら、瞬き。一度考えをまとめるように視線を外してから、


「そーた、気づいてないの? 二人が見えてる(、、、、、、、)ものと(、、、)私が見えてるものが(、、、、、、、、、)違う」


 「つまり」、と次いで、


「————案内が逆に見えてるんだよ、私たち」



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