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皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした  作者: 葉柚


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カキンッ。


暖かな温もりに包まれたかと思うと、頭上で金属音が響いた。


「私の邪魔をするのか?」


ナーオット殿下の怒りに満ちた声が聞こえてくる。


「レイチェルは私が命に代えても守る。」


「・・・エドワード様。」


頭上から優しい声が聞こえてきた。


ずっと会いたいと願っていたエドワード様だった。


女神様が最期に幻を見させてくれたのだろうか。


「忌々しい奴め。ライラに切り付けられた時に死ねばよかったものを。生き永らえてきたことを後悔させてやろう。」


ナーオット殿下が忌々しそうにエドワード様に向かって告げる。


その内容に思わず目を見開いてしまった。


だって。


どういうことだろうか。


ライラがエドワードを切り付けたとは・・・。


「ライラさんが・・・?」


「ライラが・・・?」


マコト様もユキ様も困惑気味の表情を浮かべ戸惑っている。


エドワード様も同じだ。


ナーオット殿下を睨みつけてはいるが、一瞬だけその瞳に迷いを生じさせた。


「・・・どういうことなの。」


「私は私の血液を飲ませた者を短時間なら操ることができる。ライラには血液を飲ませていた。そうして、ターゲットを始末した際には口を封じるために自死するように操ったのだ。」


「なっ!?」


「そんなっ!!」


ナーオット殿下の発言に私たちは驚きを隠せない。


まさか、ナーオット殿下が人を操れるだなんて。


もしかして、エドワード様のお父上であるハズラットーン大帝国の皇帝も操られていたりするのだろうか。


「ライラに切り付けられて邪魔なエドワードが死んだと思ったが、瀕死の状態だっただけのようだったな。最期まで見届けてやればよかった。ああ、そうだ。愛しいものに殺されるというのはどうかな?」


歪んだ笑みを浮かべるナーオット殿下。


私は、唇を噛み締めすぎて唇の端から血が流れ出てきた。


悔しい。


ライラが瀕死になったのも、このナーオット殿下の所為だったなんて。


本当だったらライラは生きていられたはずなのに。


「あれは、ライラだったのか・・・。」


エドワード様がポツリと呟いた。


その表情は私からは伺い知れなかった。


ピッとナーオット殿下は自身の指先を傷つける。


すると開いた傷口からポタリと血が流れ出た。


それの指先をあろうことか私に向けてくる。


「さあ。私の血を舐めるのだ。レイ、私の言うことが聞けるだろう?」


「そんなことできるわけないわっ!」


「今までのレイだったら従ったはずだ。ほら。」


「キサマッ!」


近寄ってくるナーオット殿下から庇うようにエドワード様が私の前に躍り出る。


私はエドワード様の背に隠されるように守られることになった。


「まったく邪魔なやつだ。でも、ただ殺すだけでは勿体ない。こんなにも私の邪魔をしてくれたんだからな。その償いくらいはしてもらうぞ。」


「ぐっ。」


エドワード様がけん制するが、ナーオット殿下は構わずエドワード様を殴り飛ばした。


よろめくエドワード様はそれでも私から離れなかった。


「もっと強くなければダメか。加減が難しいなぁ。」


「ぐぁっ・・・。」


そう言ってもう一発エドワード様に殴りかかるナーオット殿下。


「エドワード様っ!!」


今度はナーオット殿下の力に負けて、エドワード様が大勢を崩してその場に倒れこんでしまった。


エドワード様が心配でエドワード様のそばに座り込もうとする私を、ナーオット殿下の力強い腕が邪魔をする。


「おっと。レイはこっちに来るんだ。いいね。ちゃんとに言うことを聞けばすぐにエドワードは殺さないよ。」


「は、放してっ!!」


「れ、レイチェルを放しなさいっ!」


「・・・エドワード様。」


ナーオット殿下に腕を引っ張られる。


強く引っ張られたため鈍い痛みを手の付け根に感じる。


「いたっ・・・。」


「はははっ。レイチェルはこれで私のものだ。ふふふっ。はははっ。」


「・・・っ。」


血がまだポタポタと垂れているナーオット殿下の指先が私の口に無理やり含まされる。


口の中に広がる鉄の錆びた匂い。


これを飲んでしまったらナーオット殿下に操られてしまう。


飲まないように気を引き締める。


「飲めっ!」


ナーオット殿下に鼻と口を押えられる。


鼻を抑えられてしまえば息ができなくなってしまい、自然に口が酸素を求めて息を吸い込もうともがきだす。


「レイチェルっ!!」


ユキ様の治癒魔法で復活したエドワード様が私目掛けて駆け出す。


「ぐっ・・・ゲホッ。・・・ダメっ。来ちゃダメ。」


耐え切れずにナーオット殿下の血を飲み込んでしまった私は、エドワード様にこちらに来ないように告げるが、それでもなおエドワード様はこちらに向かってきた。


そうして、ナーオット殿下の腕から私を奪い取る。


「おっと。」


ナーオット殿下は今度は反撃をしなかった。


そのまま素直に私をエドワード様に渡した。


「レイチェル・・・。」


「エドワード様・・・。」


ナーオット殿下から急いで距離をとる私たち。


ナーオット殿下は不敵にほほえんでいた。


「レイ。目の前の男を・・・殺せ。」


ナーオット殿下の無情な声が辺りに響き渡る。





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