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皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした  作者: 葉柚


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「レイ。やっと見つけたよ。どうして私から隠れるのかな?」


「誰っ!?」


『・・・っ!!』


男の人に後ろから声をかけられる。


この声、どこかで聞いたような気がする。


思い出したくない記憶の中で聞いたような気がする。


すぐ側にいるユキ様が声なき悲鳴を上げる。


そっと、後ろを振り返るとそこには、ナーオット殿下がいた。


「・・・っ!!?」


反射的に逃げようとして身体を反転させると、パシッと右手の手首を掴まれた。


ユキ様もオロオロとしている。


『ユキ様!お願いだから大人しくしていてください。決して元の姿に戻らないで。私に何かあったらどうか私の子をよろしくお願いいたします。』


『!?レイチェルっ!そんなことできないわ!レイチェルも助けるわ。』


『ありがとうございます。でもユキ様まで危険な目にあわせるわけにはいきません。それに、ユキ様が今、元の姿に戻っても何も解決いたしません。』


『それはっ!?わかってるけど!でもっ!!』


『ユキ様。どうか、わかってください。今は大人しくしていてください。ナーオット殿下に気づかれないように。』


『・・・わかったわ。』


今、ユキ様が姿を見せたところで何も変わらないだろう。


それどころか悪化する可能性もある。


それならば、ユキ様には猫の姿のままでいた方が安全だし、これからの活路が開けるだろう。


ユキ様も何もできない歯痒さで黒く長い尻尾をぶんぶんと振り回しているが、私の言葉にしぶしぶながらも頷いてくれた。


『ありがとう。ユキ様。』


「手を・・・放していただけますか?」


「手を放したら君は逃げるだろう?」


意を決してナーオット殿下にお願いをする。


「この国では初めてあった人の手を握っても許されるのですか?私は、知らない人に手を掴まれて不愉快です。手を放していただけますか?」


「おっと・・・。レイは随分勇ましくなったな。この私に歯向かうだなんて。」


『こいつっ・・・!!』


『ユキ様っ!やめてっ!!』


ユキ様がナーオット殿下をその鋭い爪で攻撃しようと態勢を低くしたので、慌てて止める。


「私は貴方を存じ上げませんが?」


冷静を装ってナーオット殿下に告げる。


これだけ騒いでいるのに、街の人は見向きもしない。


まるで、私たちだけ切り取られてしまったようだ。


すぐ脇を歩いて行く人もいるが、こちらには一切目を向けない。


「そんなはずはないだろう?私にはすぐに君だとわかったよ、レイ。死んだからと言って私から逃げられるとでも?いいや、君は私からは逃げられない運命なのさ。」


「・・・人違いではありませんか?」


「私がレイを見間違うはずもない。君はレイだよ。忘れているのだとしたならば、この私が思い出させてあげようか?」


ナーオット殿下はそう言って不敵に笑った。


その笑は狂気に彩られている。


『レイチェル!!早くっ!!早く転移をして!』


『駄目よ!今、転移したらナーオット殿下まで一緒に転移してきてしまうわ!』


ユキ様が危険を察知して転移するように告げてくるが、今、この状況で転移などできるはずもない。


ナーオット殿下が手を放してくれないと転移することができない。


手を放してくれないまま転移をしてしまえば、ナーオット殿下も一緒に転移することになるからだ。


「結構ですわ。私は帰ります。」


「いいや。放さない。やっと隠されていた君を見つけたんだからね。」


「私は貴方など知りませんと何度も言っておりますっ!手を放してください。」


「君がハズラットーン大帝国の皇太子の婚約者になっていることにはすぐに気づいたんだよ。だけど、なかなか皇太子の守りが強くてね。君に手を出すことはできなかったんだ。でも、こうして私のいる場所に君の方から来てくれたんだ。私が君の手を放すとでも?」


「私はレイチェル様ではありません!」


どうして。


私は今、ライラの身体の中に入っているというのに。


どうして、私がレイチェルだとナーオット殿下にはバレているのだろうか。


もしかして、はったり・・・?


「君の見た目は随分と変わったけれどね。私は君の存在が手にとるようにわかるんだ。若干、君には不純物が紛れ込んでいるようだね。だから、私に逆らおうとするんだね。悪い子だね。」


「貴方の言っていることがわからないわ。」


がっちりと腕どころか腰に手を回されてしまい。


身動きを取ることができない。


このまま私はどうなってしまうのだろうか。


一瞬の隙をついて転移することはできないだろうか。


でも、そのためにはユキ様も一緒でなければならない。


「わからなくて、結構だよ。さあ、一緒に私の城に行こうではないか。」


か弱い女性の力ではナーオット殿下の鍛えられた力には敵わない。


私はそのままナーオット殿下に無理やり連れ去られるしかなかった。


ユキ様が物陰に隠れながらこっそりと後を追いかけてくる。


どうかユキ様がナーオット殿下に見つからないようにと祈りながら私はナーオット殿下について行く他なかった。





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