三十三冊目・選ばれる女におなりなさい・デヴィ夫人の婚活論 ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ
ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ 選ばれる女におなりなさい・デヴィ夫人の婚活論
実はこの本は私が買い求めたものではありません。夫が娘のために、本屋で見かけて買い与えたものです。彼は男兄弟で育ったせいもあり、娘を溺愛しており、私の存在は薄れています。
で、彼女に読んだ? と聞くと「まだ」 という。今どきの子らしく、活字より漫画やゲームの方がいいみたい。私は断然活字派。文字は活きて心に添って人生を潤してくれるものです。
私はめったにテレビ番組は見ないがそれでも夫人を知っている。美容院で読む雑誌でもよく登場されている。ネットニュースでもご意見番のような扱いをされている。というわけで、先に読ませてもらいました。
前半、夫人の回想録、後半、夫人の婚活論。一読して我が娘のようなネンネにはまだ早いかもと思いました。
やはり夫人は若い時からただモノではない。人生に対する心構えからして違う。最初から女王様気質だったとしか思えない。が、独自の恋愛観と婚活観をわかりやすい筆で綴っておられます。
そして読者たちは夫人のみならず夫や恋人がセレブであるのも知っている。いわば女性としての人生の成功者です。婚活中、もしくはいずれ婚活する女性にとっては、将来幸せになれるように男性の目を養うには良い本だと思います。原始時代から令和の現在でも「結婚相手によって女性の運命が変わる」 のはお約束。成功者のうんちくを読むのは有益です。
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デヴィ夫人はみなさんご存知のように、過去インドネシアの大統領夫人でもありました。現在でもなおインドネシアの名前を出している。デヴィ、が、そうですね。正真正銘のセレブで世界中の著名人、大富豪とも知己で他国語も余裕で話せる。地位と財産を持つ人は強い。加えてあの美貌、あの気の強さ。
世の中の事象に対して誰にも遠慮せず、ズバズバ言える立場の人。己にできることは、ここまでとラインを決めず、時にタレント番組で変わったことに挑戦したりで、加齢を感じさせない。どんどん世に出て好きなことをしている印象があります。
同じセレブタレントでも叶姉妹とはまた全然違う位置づけです。私はどちらのブログも時折閲覧していて、どちらも好きです。どちらも大金持ちで独立独歩。好きなことを続けている。日本にはかくも素晴らしい女性としてのお手本がいます。
ただしなろうと思っても簡単になれないものです。普通はね。彼女たちの意見や心情、ちらりちらりと見せてくれるセレブ生活にため息をつく庶民の私。
さて、夫人の波乱万丈の人生から始まり、いろいろな恋愛史も包み隠さず書いた本で一気読みできました。娘の好むゲームより何よりもこっちの方が絶対おもしろいと思います。
しかも途中から実践婚活論。こんなにあけすけで、わかりやすくて、親切な婚活本はありません。そう感じるのはそれだけ公に根拠ある婚活論を唱えることができる人は希少価値なのです。しかも夫人は誰もが認める成功者ですから。
しかし一部に既視感がある。幸せな結婚をしたければ、男性に選ばれるべし、なるほどです。すぐに、「ルールズ」 の理論だと思い出しました。ルールは「規則」 の英語読みです。
これです ⇒ ⇒
⇒ ルールズ ― 理想の男性と結婚するための三十五の法則 ……
二十年以上前にベストセラーになった本です。しかし夫人はこの本を読むどころか、ルールズの発刊の数十年以上も前に自得かつ実践されています。素晴らしい。
夫人の本を通読してルールズの書いていることも結局正解だったと感じました。ルールズは男性に誘われても「すぐにデートに応じないこと」 で話題になったかと思いますが、夫人はとにかく「会うと楽しいと思わせる事」 を強調しています。一国の大統領のみならず、大富豪、貴族などのハイスペックの男性から選ばれる女性とはどういうものか……惜しげもなく書かれたその奥義はすべて納得いくものです。出会いを求める女性に対しても有益でしょう。しかも一貫して男性に阿ろとは書いていない。「選ばれる立場になれ」 とある。カッコいいですね。
まず、人に出会うのを億劫がってはいけません。これも納得ですね。当たり前といえば当たり前ですが夫人がいうと説得力が増す。
以下は私のことを書きます。すでに既婚ですが、仮に未婚であったとしても当時は母の呪縛があったので、夫人の言う実践は無理だろう。当時購入したルールズも役に立たなかった……それに美貌でない立場から言わせてもらうとこの本たちの書いている通りに実践して、庶民からセレブに這い上がれるのは、
① 感じのよい美人で、
② 自己肯定感が強く、
③ 周囲に気配りができる人 に限ると思います。
夫人は幼少時からこの子はかわいい、と言われ尽くしていたと思います。道行く人にかわいい、きれいと振り向かれる経験は必ずしているはず。容姿には自信があったはず。同じ貧乏人出身といえども、容姿の点ではスタート地点からもう有利だったとは断言できます。
私は容姿に関しては良い思い出はなく、逆に不細工と言われた経験ならある。知人に美女がいて、彼女といると周囲の男性がどんなに笑顔で親切であるかも知っている……美しさは女性が持てる武器の一つ。外見の良さ、見栄えで待遇が決まる。周囲の環境によっては己を知る賢い美女はますます幸せになれる。
美人なうえにどの人に対しても愛想よく接し、居心地の良さも提供したらそりゃ、男性は集まってくる。その中から地位と財産ある男性も選び放題でしょう。
私なぞ自己肯定感がなかった。この本が容姿の良さが有利ですなど一言も触れてないのは、全部書くと一部の読者を傷つけるという配慮もあったのではないかな……考えすぎかな……。
でもまあ、この本を読んで自己肯定感に関して私はずいぶん損をしていたなあと改めて思いました。私は人さまに恋愛歴など語れません。夫人は自他ともに成功者だと認知されるのでこういう本が書ける。そして読ませていただける。私は夫人の華々しい恋愛を読んで、まるで小説のようだなあとため息をつくだけです。
夫人だってかわいいけれど貧しかった。プラス負けず嫌いの性格、勉強好きを生かして進学より就職を選ぶ。あえて就職を選んだとありますが、ブスだったら高級クラブのホステスにまず就職できません。生まれつきの美貌を武器に。それだけでもう恵まれたスタート地点だと思います。毎晩ハイスペックの男性を相手に社交力を磨く。結果としてインドネシアの大統領に望まれて嫁ぐ。一国の大統領夫人として外遊もする。成功者ですよ。
でもそれで終わりでないのはご承知の通り。政治的な混乱で国を追われたりして苦労はされた。ちゃんとそれも本に書いてあります。華やかな人生に見える大統領夫人も一歩間違えたら投獄もあったのだと初めて知りました。
美しさと賢明さ、そして女性らしい気遣いを重ねたうえで今の夫人がある。女性としての成功はこれ以上はないでしょう。重ねて書きますがテレビ番組で垣間見る彼女は時には高慢、傲慢にも見えます。でもはっきりと意見が言えるのは過去と現在の自分に自信があるからです。悔いがないことの表れです。夫人と私では住む世界そのものが違いますが、年を経てもなお輝いておられるのは尊敬に値します。
この本はとてもよかった。彼女のような生き方は彼女のような美しさとそれを輝かせる努力、かつ攻めの性格がなければ無理。
私だって娘にはお金のことで苦労はさせたくない。しかし専業主婦でいたいがための、夫頼みという他力本願な生き方はやめてほしい。私の実母がそうだったので。
娘はしっかりと自我を持って人生の伴侶、伴走者を見つけ幸せに過ごしてほしい。この本は最初から最後までしっかり読むように言っておきます。
それでは終わります。




