エピローグ 対策会議
――そして数分後。
ハルトが目覚めてすぐ、勇者と〈聖教会〉の対策会議が急遽始まった。
「で、だ……二週間後に来るであろう、勇者他多数(予想)についてだ」
「勇者他多数というのは、どういうことかしら?」
すっかり平静を取り戻したクロエがハルトに疑問をぶつける。
「〈聖教会〉の奴等は思考が一貫してるんだ。〝魔族は嫌い、必ず抹殺する〟ってな。いくら勇者が強くても、自分達の手で魔族を排除したいと考える。となれば……」
「自ずと総力戦になる……か。ふむ、解かりやすくて良い」
「まあ、偉い神官となると自分の手を汚さず部下に……ってのも有り得るけどな」
「それで仮に撃退できたとしてさ、クロエの風評はどうなるよ。こっちは魔族、またクソみたいな噂でも流されたら面倒だぜ?」
ハルトの説明に納得したガリウスと違い、別の問題を指摘するネモ。
それに関しては、ハルトに秘策アリだった。
「クク、心配するなネモ。俺に妙案がある。ついては、ネモとリリカの力を借りたい――」
邪悪な笑みを浮かべたハルトは、その概要を皆に説明する。
「フフフ、なぁ~るほど。そいつぁは良いな」
「この策が上手くいけば、大勢の人間を味方に付けられる上、奴等を晒し者にできるやも知れぬ」
「うん。それすっごく良いね! 皆の注目を集められるし、ボクは賛成だよ!」
ハルトの案には全員好感触で、特に重要な役割を担うネモに至ってはハルトのように悪人面を浮かべていた。
「ま、問題があるとすれば、資金だな。〈魔界TV〉からの援助金もあるにはあるが、アレを大量にばら撒くとなるとかなり厳しいぜ」
「ネモ、今回は採算度外視よ。宝物庫に貯め込んだ財貨、遠慮なく全放出よっ!」
「応ともさ! 皆も何か入り用なら、遠慮なく言ってくれよな!」
迷宮の主の許可が下り、対策案が現実味を帯びてきた。
その後も防衛の段取りや勇者の対策、期日までの過ごし方などを皆で話し合い、対策会議はその後程なくして終了した。
更に二日が経ち、怪我を負った作業員達は何事もなかったかのように全快。しかし、壊された迷宮はやはりすぐには復旧できず、元通りとなるまで五日も要した。
そして残る七日間も迷宮の改造や戦う準備であっという間に過ぎていき――
勇者襲来当日。
エンタメ迷宮の命運を懸けた戦いの火蓋が、いま切られようとしていた。
次はようやく最終章です。間を空けず、このまま突っ切ります。
でないとカクヨムコンに出す作品に集中できない!
一日一投を継続、同時刻投下します!




