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【完結】魔王様リバイブ! ~美少女魔王と始めるエンタメ迷宮運営ライフ~  作者: お芋ぷりん
第5章 闇に葬られた真実

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第4話 クロエの過去-王子との出会い-

一人称継ぞっく。

※序盤で、イジメを彷彿とさせる表現が出てきます。無理な方はそこだけサラッと読み飛ばすか、ブラウザバックをすることを推奨します。

 




 私は名実ともに魔王となった。


 今まで受けてきた為政者としての教育と付いて来てくれた文官のおかげで、幸いにも国の統治にほとんど支障は出なかった。


 あるとすれば、父の派閥が起こした内乱くらいのもの。彼等を軒並みひっ捕らえ、更生を促し、それでも駄目なら牢に入れた。


 そうして国内の問題が解決し、私が居なくとも国が回るようになり始めた頃――


 覚悟を決めていた私は単身、人間界に赴いた。


 父が蹂躙し、奪い、壊した国の王のもとへ赴き、父の罪を心から詫びた。


 当然赦される筈もない。


 彼等にとっては私も魔族。元凶たる魔王の娘には違いなかったのだから。


 私は諦めずに城外で頭を下げ続けた。その最中、遺族からあらゆる制裁を受けた。罵詈雑言(ばりぞうごん)は当たり前、憂さ晴らしの暴力、時には集団リンチまで。冬の寒空の下、冷や水を掛けられたこともあった。


 それでも私は、仕返しはせず報復を受け入れた。


 それだけのことを、私の父はしでかしたのだから。


 制裁と雪が止まない毎日が続いたある日。制裁だけが、唐突に終わりを告げた。霞む目で見上げると、煌びやかな服を着崩した若い男が私の前に躍り出ていた。


 彼は憤りを露わにして、周りの人間を叱り付けた。大の大人でさえも、彼には逆らえない様子だった。


 意識が朦朧とする中、彼は私に深々と頭を下げてきた。


『すまない! ウチの国民が酷い仕打ちした。アンタの気持ちと覚悟はよぉく分かったよ』

『……どう、して、庇うの……? 私の父は、あなた達人間にっ……決して、許されないことを』

『アンタが一人でも人間を殺したのか? 違うんだろ、目を見れば分かる。アンタの目は温もりがあるってな。悪人を数々見てきた、この王族アイを信用してくれ』


 その言葉は、凍てつき今にも壊れそうだった心にスッと入ってきた。


 言い様のない温もりが、全身の熱を取り戻していく。


『意味が、分からない……私には赦される資格なんて――』

『だぁ~! なんでそんな頑ななの? アンタの気持ちは充分伝わったって! さ、城に行くぞ!』


 言うが早いか、彼は私を抱き上げた。


 羞恥心よりも、「何故?」という気持ちが強かった。


『まずは傷の手当、いや食事が先が……って、おい大丈夫か!? しっかりしろ!!』


 私は彼の腕の中で意識を失った。


 それが〈オネスティ王国〉第一王子――ハルクリスとの出会いだった。


 後日、目を覚ました私はオネスティ王の恩赦によって生かされる事が決まっていた


 無論、条件があった。


 一つは王国発展の手伝い、もう一つは魔族との架け橋となること。恩赦が与えられたのも、私が処刑されなかったのも、全てはハルクリスが父であるオネスティ王に働きかけていたおかげだった。


 それからというもの、ハルクリスは恩赦を口実に私を王国の至る所に連れ回した。


『クロ! 一緒に飯食おうぜ!』

『なぁ! 魔物退治やらね!?』

『迷宮行こうぜ迷宮! 魔族の力を見せてくれよ!』


 自由奔放で衆目を気にしない性格。〝王族らしさの欠片もない子供(ガキ)〟――それがハルクリスに対する印象だった。付け加えるとするなら、〝人生を全力で楽しむ男〟といったところか。


 しばらく王国を見て回って気付いたことがある。


 人間界には娯楽が圧倒的に足りていなかった。試しに、魔界でポピュラーな娯楽〝漫画〟の存在をハルクリスに教えてみると、光の速さで食いつかれた。


『自分をモチーフにした漫画が見た――ゴホンッ、娯楽を増やしたい!!』


 彼に恩があった私は魔界の漫画家に頼んで、一つの作品を創ってもらった。


 そして完成したのが『魔装戦士ヘルブランド』。当時の魔界で人気を博した。


『――エンタメ迷宮をつくろう』

『ハル……遂に頭がおかしくなったのね。可哀想に』


 ある日、また突拍子もないことを言い出したハルの頭を、私は優しく撫でてやった。


『やめぃ!? 人間と魔族が仲良くできるように、共通の娯楽を~って思っただけじゃ!! んで、思い付いたのが迷宮事業だ。戦える人間と魔族で競い合う遊びでな。片方が財宝の守護者、もう一方がそれを求める勇者って感じ。殺しは一切なし、勝者は豪華景品だ!』

『……面白そうではあるけど、迷宮って閉鎖的でしょ? 一般人はどう楽しむのよ?』

『そこは魔界の技術でなんとか! こう、目の前の光景を遠くに映し出す感じで!』

『ハルってば、肝心な所でいつも丸投げなのよね。ま、良いわ。心当たりもあるし――』


 私は魔界で様々な商材を扱う〈ボロモウケ商会〉を頼った。丁度その頃新人だったネモとも、この機会に友人に。リバイブ契約は念の為にと半ば強引に契約させられた訳だけど。


 迷宮の場所は当時〝商いの中心〟と呼ばれた街の近隣〈祝祭(フェスティバル)の山(・マウンテン)〉。ルールは私とハルで考え、観客も楽しめるモニター周りの魔導具は〈ボロモウケ商会〉、参加者は主に種族間の違いを気にしない者をそれぞれ選定した。


 そして、更に五年の準備期間を経て――「勇者と守護者の知略が織り成すエンターテイメント」というハル考案の謳い文句と共に、エンタメ迷宮が遂にお披露目となった。


『……今更だけど。これ、私も出るの? それも魔王として』

『やるからには俺達も楽しまなきゃな。ちなみに俺は勇者ね。あ、そうだ! 時々、役割交代しようぜ! 勇者が魔王やるって、中々乙だと思うんだよなぁ~』

『その時は派手にぶっ飛ばしてあげる。勇者にやられたマヌケな魔王としてね』

『なにおぅ! なら俺は、魔王の罠に引っ掛かったマヌケな勇者にしてやるっ!』


 人間と魔族。諍いがなかった訳じゃない。けど、衝突する度に全力でぶつかり対話を重ねることで、徐々にお互いを認めていける関係へと変化していった。


 迷宮事業が順調に五年も続く中、私達の関係も少し変わった。


 悪友――ガリウス曰く、全力で馬鹿をやる間柄らしい。


 その説明はストンと腑に落ちた。


 不思議なことに。


 それほど、ハルと過ごした時間は本当に楽しかった。


 そう、思っていたのに――


次の回想終了~


次話、20時以降ぅ。

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