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【完結】魔王様リバイブ! ~美少女魔王と始めるエンタメ迷宮運営ライフ~  作者: お芋ぷりん
第4章 復讐するは追放者にあり!

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エピローグ 悪意の脈動

ちょっと元々の情報を整理して(?)、第2章との整合性を取ってたら遅れた……ッ

 




「――〈残虐の魔王〉は未だ姿を現さず、か」


 厳然とした声が、薄暗い室内に反響する。


 円卓の一席でキツく手を組む老人だ。漂う空気がひれ伏すような厳粛さを持ち合わせ、赤の法帽と純白の法衣をあたかも己の一部が如く身に纏っている。


 一人の例外を除き、この場には年老いた男――より正確には、大司教以上の者しか在席していない。もっとも、それより高位の聖職者は()()を除いて枢機卿()だけだが。


 そんな彼等が集まる理由はただ一つ。


 定例集会を行うこと――議題は(もっぱ)ら〝神託関連〟であった。


「アラン殿、神託に間違いなどありませぬ。ただ今は、まだ時期ではないというだけで……」

「分かっている。だが、以前の神託から半年余り…………長い目で見れない間抜けな民たちが、疑いを持ち始めている」


 ――遠からん未来、遥か昔日(せきじつ)に暴威をふるいし魔王、再び目覚めん。


 オネスティ王が城下で読み上げた神託は復活の時期が曖昧だった。


 魔王の恐ろしさを書いた御伽噺は、〈オネスティ王国〉に強く根付いている。不安に駆られた民が騒ぎ出すのも無理はなかった。


「神託に間違いはない。が、〈聖教会〉の威厳と信頼に傷が付くことだけは、避けなくてはならない。そこで――件の迷宮に出入りしている男。これを利用する」


 アラン枢機卿が邪悪にせせら笑うと、向かいに座る大司教の男が納得とばかりに顎へ手を当てる。


「〈祭魔山(フェストゥーム)〉の迷宮は魔族が運営しているとの噂でしたな。もっとも、あそこは確か――」

「そう、魔王封印の地だ」


 向かいの男の言葉を継ぎ足すように、アランは断言する。


「あの迷宮は神託とほぼ同時期に頭角を現してきた。これは偶然ではなかろうて」

「だとしても、断言するには(いささ)か早計なのでは? 単に魔族を騙っている可能性もある」

「無論、調査済みだ。部下の報告によれば、迷宮内で強い魔の気配を感じたらしい。そして件の冒険者ハルトは魔の気配を漂わせるばかりか、長期にわたって迷宮に潜っているときた。ククク……」

「では、その者はっ……」

「もしや、魔の者と結託を……っ」


 大司教達の息を飲む音が、冷えた空間でやたら大きく木霊した。


 それは失望か、あるいは歓喜か。


 いずれにせよ変わりはない。濁り切った瞳では、善悪の違いなど見定められないのだから。


「同時期、部下に流させた魔王の噂がすぐに鎮静化されたのも偶然ではないだろう」

「……つまり、魔王の復活をその冒険者が画策していて、障害と()()る噂を払拭した……?」


 小さく頷くアラン。


「魔王を封じた迷宮、そこへ頻繫に出入りする人間。これほど都合のいい状況はあるまい。だが、国王は慎重派だからな。念を入れて、関係性を確かめたという事実を作るのだ。我等が希望――魔王を封印した異世界勇者の()()()()でな」


 アランの思惑を聴き、周囲の大司教たちがくつくつと笑う。


「……クク、成程。件の迷宮を泳がせていたのはその為でしたか。神の【恩恵(ギフト)】を有する()の者達ならば、たとえ魔族でも(かな)いますまい」

「たとえ無関係だったとしても、民の信じたい真実()をでっち上げればいい。それだけで、国王は魔族の征伐(せいばつ)に向かわせることだろう――我等〈聖教会〉をっ」


 この場に、アランに反論する者はいなかった。もとより〈聖教会〉は魔族を忌み嫌う者たちの組織ゆえに。


「ではもし、冒険者ハルトが魔族の仲間だとすれば……?」


 その意思決定に異を唱える訳ではないが、アランの向かいにいた大司教の一人が最終確認とばかりに声を上げる。


「ふ、愚問だな。全ては神の御心のまま。ですな? カインズ教皇――」


 その場にいた者達の視線が、上座へ集中する。


 そこに座す、男の格好は少々特異だった。


 中肉中背。純白の法帽に老いたような髪。金十字の刺繍をあしらった法衣。


 ――そこまでは、いい。


 問題は顔だ。


 薄い布で覆われていて、素顔が上手く判別できない。だがその場の誰も、秘密を隠すベールを剥がそうとはしない。


 たとえ、肌が若者のように瑞々しくとも。


 たとえ、声色が二十代のような若々しさでも。


 たとえ――アラン達の幼少期から、姿()()()()()()()()()()


 誰も疑問に思わない。


 それが〝当然〟だと妄信しているからこそ。


「……ァ」


 青白い唇から息遣いが漏れる。


「…………魔王ニ与スル、モ、ノ……スベテ背キョウシャ。かノ者ハ、必ズ闇ニ……じゴクへ――」


 熱を感じさせない、震える声音。


 憎悪の程を伝播させる、想いの重さ。


 〈聖教会〉教皇カインズ。その表情は依然として見えない。されど、(しん)の熱を奪うが如きその言霊に、アラン達は大きく身震いした――





これにて4章終了! 追加エピソードほっとんど入れなかったので、新人賞版と大差ないボリュームだった筈……!


次の5章は、遂に魔王クロエの秘密に迫ります。

というか、大半がそれ! 終章の情報補完がメインなので!


次回の投稿は【11/15】!

カクヨムコンに備えてのインプットやプロット作りをしたいっ!

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