コラム 迷宮のルールまとめ
亜里亜「ここでは天塩創一氏の遺した迷宮、そこで行われている戦いについて概要をまとめますわ」
プルートゥ「私もお手伝いいたしましょう」
亜里亜「もー全部わかるぞーって方は先に進むんですのよ」
1 迷宮とは?
亜里亜「ホワイトボード型端末、ダイダロスから潜ることのできる拡張世界、いわゆるVR空間に構築された迷宮ですわ。迷宮のどこかにはゴールプレートがあり、そこにあるパスワードを打ち込めば演算力が手に入りますわ」
1-2 ダイダロスとは?
プルートゥ「天塩創一氏が開発に関わったホワイトボード型の端末です。これ自体もコンピューターを内蔵してますが、主に世界中のマイニングマシンにアクセスして演算力を行使します」
亜里亜「独自のミリ波通信規格を持ってたり、高出力電波で衛星にアクセスできたりとタフな仕様ですわ、軍事用の電磁波兵器でも持ち出さない限り活動は止められませんわ」
2 演算力とは?
プルートゥ「天塩創一氏が世界中のマイニングコンピューターに密かに仕掛けたトロイの木馬、それによって利用できる計算能力のことを指します。その規模は一般的なサーバーマシン400万台ぶん、本来は数値化できるのですが、なぜか皆さま何台ぶん、と呼びますね。トロイの木馬とかマイニングコンピューターが分からない方は検索しましょう」
亜里亜「わりと突き放すタイプ……」
2-1 演算力でできること
プルートゥ「迷宮に挑む人々を走破者と呼びます。走破者は演算力を用いて、迷宮内に何でも出すことができます。しかし高度な機械、薬剤や爆発物、エンジンつきの乗り物などは演算力をかなり消費します」
亜里亜「道具を出すにはすべての部品の正確な寸法と、駆動機序の理解が必要ですわ。私のようにバイクやヘリを出すのは神業ですのよ」
2-2 肉体の補修
プルートゥ「何でも出せるということは、つまりタンパク質やアミノ酸すら出せるということです、これによって走破者は自分の肉体すらも出し、ケガを補修することができます」
亜里亜「致命傷から立ち直るような瞬時の補修も可能ですわ。しかしこれはとんでもなく演算力を使う荒業。そのため高位の走破者だけが使うようですわね」
プルートゥ「これを用いれば即死級のダメージでも踏みとどまることができます。きあいのタスキみたいなものです」
亜里亜「なんでそんなん知ってますの」
2-3 走破者の個性
プルートゥ「原則として何でも出せるとはいえ、走破者はそれぞれ自分の得意を持っています。乗り物を出す者、薬品を出す者などですね、迷宮の攻略の仕方にも個性がありますよ」
亜里亜「イカロ様などはサポートに徹していますけれど、これも走破者の形と言えますわ」
3 迷宮のクリア報酬
亜里亜「迷宮を一つクリアするたびに100台から500台相当の演算力が手に入りますわ。多少の増減はあるようですけど」
プルートゥ「利用できるのはマイニングマシンですので、仮想通貨を融通できたりするようです。その額は一台あたりおよそ13万円、400万台となれば5200億円となりますが、実際は利用できる演算力の方がずっと有用です」
亜里亜「というか迷宮いくつあるんですの……?」
3-2 演算力の保持
亜里亜「演算力は走破者が新たに演算力を手に入れない場合、30日から40日ですべて失われますわ。経験則ですけど、おおよそ35日までは大丈夫なようですわね」
プルートゥ「天塩創一氏はルールを明文化していないので、手探りな部分も多いようです。天塩氏は亡くなられているため、すべてを知る方は……」
3-3 迷宮における基本ルール
亜里亜「迷宮には基本的にルールはありませんわ。走ってプレートを手に入れるためなら何をしてもいい、しかし、ログアウトにまつわるルールがいくつかありますわ」
「迷宮がクリアされる前にログアウトする」
「迷宮内で死亡する(強制ログアウト)」
亜里亜「これらの場合、おおよそ24時間、ふたたびログインすることはできませんわ」
プルートゥ「迷宮をクリアするか、誰かがクリアした場合は、ログアウトしてもすぐに再ログインできるようですね。迷宮は別のものに変わります」
3-4 リタイヤについて
亜里亜「リタイヤは宣言さえすれば、それがどんなに小さい声でも成立しますわ。リタイヤした方はタイミングにもよりますけど演算力の奪い合いと無縁になり、観戦モードに移れますわ」
プルートゥ「迷宮にいる全員がリタイヤしてログアウトした場合、迷宮が差し替えられます。初心者の方はクリアしやすい迷宮が出るまでリタイヤを続けるのもいいでしょう。
しかしクリアされる前にログアウトした場合、やはり24時間はログインできません」
亜里亜「理想としては、他の走破者に差し替えてもらった方がお得ですわね」
4 対人戦
プルートゥ「対人戦は大きく演算力を増やせる反面、リスクも大きい賭けです、簡単にまとめましょう」
4-1 対人戦の開始
亜里亜「迷宮は何らかの基準を持って常に走破者たちを見ています。二人以上の走破者がフェアな状態で競いあったと判定された場合、先にゴールプレートを手にした側が勝者と判定されますわ」
プルートゥ「この基準は迷宮ごとに違うため判然としません。とりあえずは同時にログインする、あるいは同時にスタート地点を離れれば成立、とお考えください」
4-2 勝利者の特権
プルートゥ「ゴールプレートを手にした走破者は二つの魔法を使えます」
「全ての走破者をゴール地点に呼びよせる」
「勝負が成立したプレイヤーから演算力を奪う」
プルートゥ「この二つです。演算力の奪取には時間がかかるため、セオリーとしては演算力を奪ってから呼ぶか、そもそも呼ばないのがいいでしょう」
亜里亜「他のプレイヤーを呼べるって仕様は何なのでしょうね、お祝いでも言ってほしいのかしら?」
4-3 移動する演算力の計算
プルートゥ「最初に述べますがこれも経験則です、高位の走破者では対人戦が発生しにくいので、正確に計算されたこともあまりありません。おおよそですが」
「所持している半分」
「迷宮で使用した分」
プルートゥ「この二つのうち、「多い方」が適用されます、例示します」
・100の演算力を所有する走破者が、迷宮で80の演算力を使用して負けた。
→ 奪われるのは80
・100の演算力を所有する走破者が、20しか使用せずに負けた。
→ 奪われるのは所有分の半分で50
亜里亜「つまり、迷宮でほとんど演算力を使わなければ、何回負けてもそうそうゼロにはなりませんわね」
プルートゥ「なのですが……そこで次項を参照ください」
4-4 演算力を失うと
プルートゥ「演算力を失ったプレイヤーは現実世界で襲われることがあります。おおよそ、一万台相当の演算力を持たない者は自分の身を守れないと言われてますね」
亜里亜「でも迷宮で手に入る演算力は数百でしょう? 一万台は大変ですわ」
プルートゥ「数百しか持たないような走破者はまず狙われません。割に合わないですし、襲った側も他の走破者からの心象が悪くなるからです。私は念のため、初心者が襲われないように牽制したりもしています」
4-5 対人戦の裏技
プルートゥ「仕様の穴をついた裏技は常に検討されています。かつては他のダイダロスを遠隔でハックする電子戦が行われていましたが、これは天塩氏によるアップデートで不可能になりました」
亜里亜「他には……迷宮のゴールを長時間防衛し続けて、他の走破者にクリアさせない、という作戦ですわね」
プルートゥ「決まれば確かに他の走破者を一掃できますが、そう簡単ではないでしょう、拡張世界では何でも出せますからね」
亜里亜「格好いい作戦とも言えませんわね。寿司対決で町のマグロを買い占めたどっかの寿司屋みたい」
プルートゥ「あれ普通に数千万かかりますね、しかも海苔まで」
亜里亜「だからなんで知ってますの?」
5 オリンピア
プルートゥ「オリンピアという組織について少しだけ触れておきます。かつて存在した12人の高位の走破者たちであり、演算力はその12人ですべて保有しておりました」
亜里亜「でも仲違いしたのですわよね?」
プルートゥ「そうです、リーダーの方針についていけずに分裂したようです。何人かは内乱の際に演算力をすべて奪われ、何人かは個別の走破者として活動を続けています」
亜里亜「みなさんギリシャ神話から名前をつけてるようですけど」
プルートゥ「アポロなどは本名です。他にはいわゆるハンドルネームもいるようですね。私のプルートゥというのは正確には偽名ですが、もう本名として親しんでます」
亜里亜「リーダーから、「今日から君の名前アフロディーテね」とか言われたらどうしますの?」
プルートゥ「ええもちろん喜ん……無理です」
亜里亜「一瞬乗ろうとしたけど限界だったんですわね……」
(おしまい)




