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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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 高位貴族の多くは自分の家でいくつかの爵位を抱え、それを分けたりして一族で領地を上手に運営していくことが多いです。


 勿論どこの貴族がどれほど爵位を抱えているかなんてことは表向き明かされておりません。

 当然ですが王家は把握していますよ!


 何せ爵位は数が決められておりますので、男爵位・準男爵位であっても名前だけの爵位としてきちんと登録し、数を常に把握しているのです。

 これは爵位の売買などで偽物が横行することを恐れてのことですね。


 とはいえ一般庶民にはそんなこと関係ないので、どこぞの貴族が~……って話題になっちゃうわけですが……その調査において本物かどうかで罪がまたどう変化するかって問題なだけです。


(ってそれはどうでもよくて)


 いやどうでも良くはないんですけども。大事な話ですからね!


 まあ、つまり何かと言うと、ピジョット家は侯爵という高めの地位にあって珍しく〝他の爵位を所持していない貴族〟なのです。

 それには理由があって、過去には持っていたけれど子だくさんが何代も続いて一人二人は貴族でいられても他はみんな平民になったから……と言われていますね。

 実際のところは本人たちに聞かないとわかりませんが。


 で、家族の大半が平民になっても家族付き合いは続くので気安さが混じり、それが家風となり、高位貴族でありながら下位貴族や平民に近い振る舞いが多い……それがピジョット家なのです!!


 立ち居振る舞いは確かに高位貴族のそれなのに、言動が庶民的なんですよね……。

 スカーレットもそうでしたが、私と同期の、彼女の姉もそうでしたもの。


 まあだからこそみんな家を出て自活するのに平民になっても馴染みやすいのかもしれません。

 スカーレットみたいに貴族としての矜持が! っていう方が珍しいって話ですから。


「本日お越しいただきましたのは、スカーレットの今後についてお話ししておくためです」


「こ、今後……ですか」


「はい」


 緊張した面持ちのピジョット夫妻。

 ここ一年でスカーレットがめきめき成長したとはいえ、逆に言えば去年までは心配の種だったわけですから……もう大丈夫とホッとしたところでまさか!? とでも思っているのかもしれません。


 まあ上司と面談なんて言われたらそういう心配もしちゃうものですよね!

 わかります、わかりますとも。


 でも大丈夫だから!

 もっと娘さんを信じてあげていただきたいものです。


「先程も申し上げましたが、スカーレットはとても優秀です。今では王女殿下の傍付きとしてじゅうぶんに実力があると思いますし、もう一段職務内容を難しいものに変えても良いと思っているほどです」


「ほ、本当ですか……!?」


「うちのスカーレットが……!?」


「ふふん、ワタクシだってやる時はやるんですのよ!」


 いやあそこでツンと顔を逸らして自慢げにしちゃうところはまだまだですけどね……。

 とはいえ成長したことは事実ですから!


「普段はこのような面談は行わないのですが、今回はご両親のお話を伺いたいところがありまして」


「……なんでしょうか」


「ピジョット家はこれまで、多くのお子様たちが働きに出たことかと思います」


 スカーレットだって七女で、長男以外は確かもうみんな働きに出ていたはずです。

 その職業は多岐に亘るようですが……まあ、それは置いておいて。


「今、スカーレットに対して縁談をお考えでしょうか」


「えっ!?」


 私の問いに一番驚いたのはスカーレットでした。


 ええ、ちょっとプライベートに踏み込みすぎって思われたかもしれませんが……違いますよ?

 どこの誰と結婚しますか、いつ結婚しますか、妊活予定は……とかそういう話じゃないです。


「スカーレットにはいずれ王女宮筆頭、あるいは他の役職が回ってくる可能性があります」


 すごく広げましたが、あまり限定的に言うのもよくありませんので。

 次の筆頭侍女になれる……なんて私が言っても、王宮の人事で今〝確定〟にはできないことの方が多いですしね。


 とはいえ、そういう未来もあるということを念頭に置いてもらいたいのです。


 あわあわとするスカーレットをよそに、ピジョット侯爵は難しい顔をしてから「なるほど」と頷きました。

 どうやらこの方はそのあたりをちゃんと察すことができる人のようです!


「ええっ!? 何がなるほどなんですの、お父さま!!」


 スカーレットは混乱しているようですが、前にも教えましたよ?

 派閥で! ややこしいことになるから!

 ある程度縁づく時は報告が必要だよって!!

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― 新着の感想 ―
今更混乱してる辺り実にスカーレット
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