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転生しまして、現在は侍女でございます。  作者: 玉響なつめ


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※これの前話で登場しているスカーレットに声をかけてきた人物の名前は構成上変更となっております。

※前話も修正済みです

 そもそもメイナとスカーレットに対しては品位云々言いましたが、基本的には『危ないことをしてはいけない』って点につきます。

 事情を聞いた上であの子たちにはその点を注意するといたしましょう。

 

 とりあえず、自衛できたことは褒めてあげたいですね!


 とはいえ、それも相手の状況次第ではありますが。

 こちらが軽く殴ったつもりでも頭部ですのでね、何かしらのダメージが……ないとは思うので徹底的に追求してやりたいところではありますが、何かしらあるようなら妥協点を見つけてぐいぐい追い詰めてやりたい所存ですとも。ええ。


 うちの可愛い後輩に何をしようとしたのやら!

 まったくもうですよ!!


 おっと、冷静さを欠きました。


「ハンスさま、もうよろしいでしょうか?」


「ああユリアちゃん。ええと……うん、まず紹介しようか。こいつはバルトチェッラ家の三男で、ハンス(・・・)。ハンス・グールディ・フォン・バルトチェッラ。ハンス、こちらは王女宮筆頭のユリア・フォン・ファンディッド嬢だ」


 あらまあ、ハンスさんと同じハンス(・・・)なんですね。

 まあ私の名前と同じくらい、よくあるお名前ですので不思議ではありませんが……。


 レムレッド家とバルトチェッラ家、そしてピジョット家。

 いずれも侯爵家の人間が今回関わっているというのはどうにも嫌な予感がいたしますね!


「ハンスさまがこちらにいらっしゃることと、今回の件は関係ございまして?」


「ひえ、ユリアちゃんそんな冷たい言い回し止めてよ~! 俺はちゃんと! ユリアちゃんの味方だってば~!!」


 ひぃんと情けない声を上げるハンスさんですが、これも演技かもしれないんだよな……と思っているので動じることはございません。

 というか止めてくださいよここが王女宮のキッチンだからって、近衛騎士がしていい振る舞いじゃないでしょうに。


 はっ……まさかコレも計算のうち?

 だとしたら今度は何を企んで……!?


「いや本当に疑われすぎじゃない俺!?」


「あら違うのですか」


「違うから! 単純にこのバカが変な動きをしてそうだから止めに来たけどちょっと間に合わなかっただけなんだって……!!」


 必死なハンスさんが説明してくれたところによると、なんともお粗末な話でした。

 ええ、本当にね。


 アルダールが叙爵されて、私と結婚する。

 しかも国王陛下のお墨付きカップル。

 ここから貴族たちはアルダールがいずれは陞爵する未来を感じ取っているわけです。


 まあそこは予想できることですからね。

 別に問題ありません。


 で、次に注目されたのはアルダールが陞爵したら、王女殿下の輿入れに私がついていくのか? という点です。

 もしもそうでないのなら、次点でついていく人間は誰になるのか……ですが、実家の爵位で言えばデボラさんであり、働いている長さで言えばスカーレットです。


 ここでライアンという執事の存在が、いずれ王妃になるフィライラ=ディルネさまのための存在であるということを察する人も多く、そうなるとデボラさんもそうなのでは? という推論に行き着く方もいらっしゃったのでしょう。


 まあそのあたりは勝手に想像してくれても全然構わない範囲ですね。

 たとえ間違っていたところで、それで問題を起こさなければ一切問題ないんですよこちらは。

 賢しらに自分の推論を周囲に語って外した際に痛手を被るのはご本人だけなので……。


 で、王女殿下の輿入れについていくのはスカーレットだろうと予想をした方もいらっしゃるわけです。

 そしてスカーレットには婚約者がいない。


「……で、ご子息をあてがおうとバルトチェッラ侯が動かれたと」


「ただまあ〝成立したらいいな〟程度の気持ちなので、見合いの話を持ち込もうか……程度の会話だったみたいなんだよ、侯爵とその跡取り息子である長男の間で。ちょうど、長男のところに子どもも生まれたし次男も持ち爵を与えて自由にしてあげようって感じで」


 跡取りである長男のところに子どもが生まれたので、万が一のスペア役を担っていた次男もお役御免。

 その際にはバルトチェッラ家が持っている爵位を与え、暮らすに困らないだけの準備はあるし、良い婚約者を見つけてあげたいのは親心。

 王女殿下の輿入れについていくかどうかはまた別としても、王女宮で働き、最近はその働きが認められている知己のお嬢さんであればいい話では? 程度のことだったのだとか。


「で? 何故そちらのハンス(・・・)さまが今回の行動を?」


「いやそれがさあ、次男なんだけど……実は想い人がいるらしくて。いや! 待って! 勿論バルトチェッラ侯や長男はそのことを知らなかったんだよ、でもこいつは知っていたらしくてさあ」


 三男坊はスカーレットより年下の十四歳、デビュー前。

 そもそも縁談の話はまだない状態。


 見た感じはかなり……うん、その、大人っぽい顔立ちで、年齢より上に見えるかな。

 がっしりした体格の少年……うん、少年なんだよね!?


 兄の窮地(ピンチ)(?)にここは自分が行かなくては、と思ったのだそうだ。

 でもデビュー前の少年なので、自分が見合い相手になると言ったところで父親が相手にしてくれるとは思わない、それなら顔見知りなんだし自分からスカーレットに声をかけてやろう。

 だって行き遅れなんだし……という発想に至ったんだとか。


(頭が痛い……!!)


 うるさいな行き遅れとか言われた覚えが私にもありますよ。ええ、ありますね。

 ほっとけって話ですねそりゃスカーレットも怒りますわ!!


 とはいえ十四歳の幼気(いたいけ)な、幼気な……?

 年齢的には幼気な! 少年の! 感情に突っ走った行動ということですね。


 いい迷惑です。はい。


「とはいえ、ハンスさまから聞いただけで私も判断するわけには参りません。個人間の問題であることは事実ですが、スカーレットに関しては王女宮で預かる大切な侍女なのですから」


 譲りませんよ、そこは!

 私はこの宮で働く子たちを守る立場にあるんですからね!!

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言いかた・・・ 「仕方無いから貰ってやる」とか喧嘩売ってんのかゴラァ(‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン、 ってなります罠。
「幼気」 2001年の「Last Smile」という歌の歌詞でとても印象に残った言葉でした 今回の14歳は言葉遣いが全然幼気じゃなかったですね
前頁でスカーレットは 「今日来た男の名はヘンリー・エルロレム・フォン・バルトチェッラと言って、ワタクシと同い年でございます」 って言ってましたが?
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