595
パーティーの終わり頃に私たちはプリメラさまにご挨拶をして下がったわけですが……去年は王城内にある自室に戻るだけだったからプリメラさまにお名前を呼ぶ許可をいただくという一大イベントもあったんですよね。
今年はそういうのはなくて、プリメラさまはぎりぎりまでディーン・デインさまとお過ごしになって幸せな気分のままお休みいただく予定となっております。
私も明日はお休みですので、今日の後始末まではセバスチャンさん以下王女宮のみんなに頑張ってもらって明後日から頑張りますよ……!!
私も私でドレスを着ての挨拶回りはなかなか疲れました。
今後は侍女業と貴族夫人(予定)、二足の草鞋で頑張らなければなりません。
大事な主人と愛する婚約者のためにユリア・フォン・ファンディッド、やり遂げて見せましょう!!
まあ今日はもう店じまいですけども。
さすがに踊って挨拶して回って笑顔の大安売り過ぎて顔の筋肉がひきつりそうですからね!
家に帰ってきてからはマーニャさんが再度マッサージをしてくれて、それが心地いいのなんのって……いつもパーティーの後でプリメラさまが私たち侍女からマッサージを受けるとホッと寛がれるそのお気持ちがよくわかりましたとも。
笑みを浮かべてそこに立っている、座っているってだけでもかなり疲れるものですから。
しかも姿勢を綺麗に見せるための矯正下着だのドレスだので体を締めつけられているわけですからね……。
その上お化粧もしっかりばっちりですから!!
ちなみにアルダールや男性陣が楽なのかって言ったらやっぱりそんなことはないんですよ。
綺麗に見せるために男性陣もスタイルをキープしてみたり、私たちほどお化粧をするわけではない分、勲章や飾りで飾り付けることも少なくありませんからね。
とはいえ剣を持つよりは軽いのかもしれませんが……いずれにせよ気疲れが多かったように思います。
これからはアルダールも当主としてあれこれ注目を浴び続けるわけですから。
ちなみに例の日記帳の写しですが、パーティーの最中に公爵家からの使いが自宅にやって来たらしく置いてありました……ビアンカさま仕事が、早い……!
可愛い男の子がお使いに来たんですよってマーニャさんがメロメロしていたので間違いなくそれはクリストファだったに違いありません!
最近忙しいのか王女宮に遊びに来ることもめっきり減ってしまったクリストファですが、元気そうでちょっぴり安心しました。
「……これ、明日読むか今読むか」
「疲れているんじゃなかったのかい」
「疲れてはいるけど……気になるじゃない?」
「読み始めたら止まらなくなって朝になっていた……ってこともあるかもよ?」
「それもそうね」
今日はしっかり眠った方がいいに違いない。
ただ、やっぱり気になるからぱらりと中をめくる。
写しだというから、本人の字そのものではないのだろうけれど……そこには日付、天候などの他に数行の内容が記されている。
日記帳の主は、こまめなタイプだったのかもしれない。
パラパラとめくっただけでは目立った点もなく(たとえば、日本語が書いてあるとかそういったことは一切なかった)、これはきちんと端から端まで読むのがいいのだろうと私はパタンと日記帳を閉じた。
「ところでアルダール、どうして私、今日は夫婦の寝室に連れて行かれているのかしら」
「うん。なんだか離れがたくてね」
「……手足を伸ばして眠りたいなあ」
「寒いから妻の温もりが恋しいんだ」
「もう!」
体は疲れているけれど、日記帳が気になって眠れるか心配だななんて思っていたところにコレですよ。
落ち着いて寝られるかなあ、私!!
次回からちょっと(雰囲気が)重たい感じになります。




