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第八話 死の手先とキャプテン・スケルトン

『ソウル・ガン』は一日に二回しか使えない。なので、大して練習はできなかった。地震は毎日のように起きるようになった。噴火は近い。


「練習不足だが止むを得ない。満足に行くようになるまで練習していたら、手遅れになる」


 決戦の時は来た。剣は素人当然である。だが、キャプテン・スケルトンは剣を使い慣れていると考えていい。


 無理に同じく剣で戦うより、棍棒で戦ったほうが勝ち目がある。手に入れた棍棒は硬くて、それなりに重さがある。骨の怪物のスケルトンと戦うのなら充分に威力のある武器だ。棍棒を手に、昼に難破船に向かう。


 難破船に近づくと、船上には水夫スケルトンがまだ十体ほど残っていた。


 四体を『死者の支配』で支配権を奪い。残り六体と潰し合わせた。従命支配になっている四体だけが残るように戦わせた。多少は傷ついたが、四体の水夫スケルトンが残った。


 すかさず支配権を奪う。四体を従えて、浜で待つ。

「ここまではいい。本番は、これからだ」


 棍棒をぎゅっと握り締める。


 難破船の甲板にある船倉へと続く扉が開いた。五体の水夫スケルトンが出てくる。次いで、キャプテン・ハットを被ったスケルトンが現れた。


 スケルトンは縒れた青のフロック・コートを着ていた。靴は黒のブーツを履いていた。見た目からして、キャプテン・スケルトンだった。


 キャプテン・スケルトンの身長は百七十㎝と、キルアと同じくらいだった。キャプテン・スケルトンは、腰に佩いていたサーベルを抜く。

 

 五体の水夫スケルトンと共に切り込んできた。六対五の戦いになる。キルアはキャプテン・スケルトンに殴り懸かった。キャプテン・スケルトンはキルアの攻撃を軽く(かわ)す。キャプテン・スケルトンは優雅に構えて、突きを繰り出してくる。


 棍棒を振り回してキルアは戦う。だが、キャプテン・スケルトンに攻撃は届かない。

 キャプテン・スケルトンは時折、馬鹿にしたように片手の掌を上にして軽く震わせる。


「完全に遊んでやがる」


 敵のほうが多かった水夫スケルトンだが、キルアが支配した水夫スケルトンが戦いを優位に進めて、五体を倒した。だが、キルアが支配する水夫スケルトンも、一体しか残らなかった。


 残った水夫スケルトンは、ゆっくりとキャプテン・スケルトンの背後を取る。水夫スケルトンが斬り懸かった。だが、キャプテン・スケルトンは、振り向き様にサーベルを振るう。


 キルアは、水夫スケルトンに指示を出す。

「ジャンプだ」


 水夫スケルトンは攻撃を中止して、ジャンプする。

 キャプテン・スケルトンの攻撃が水夫スケルトンの腰骨を砕いた。


 キルアは、すぐに指示を出す。

「腰を掴め」


 上半身だけになった水夫スケルトンが命令に従う。倒れこむように、キャプテン・スケルトンの腰を掴む。下半身を押さえられたキャプテン・スケルトンに、棍棒で殴り懸かった。


 キャプテン・スケルトンが腰骨を捻る。上半身だけになった水夫スケルトンが飛んできた。水夫スケルトンがキルアと激突した。キルアは転倒して棍棒を落とした。


 キャプテン・スケルトンが倒れている水夫スケルトンを余裕で踏み砕く。キャプテン・スケルトンがキルアに迫る。


「待て! 話せばわかる」と叫んで、右手を突き出した。


 キャプテン・スケルトンが人差し指を口の前で左右に振って「チッチッチ」と声を出す。キャプテン・スケルトンが勝利を確信して、サーベルを振り上げた。


 キルアは突き出した右手に『ソウル・ガン』を出して放った。ダン! と音がして、キャプテン。スケルトンの右肩と腕が吹き飛んだ。


 キャプテン・スケルトンが『ソウル・ガン』の威力によろめいた。キャプテン・スケルトンに二発目の『ソウル・ガン』を撃ち込む。


 今度はキャプテン・スケルトンの右脚を吹き飛ばした。キャプテン・スケルトンが転倒する。


 キルアは急ぎ棍棒を拾った。右肩と右脚を失って倒れているキャプテン・スケルトンを、滅多打ちにする。


 一撃を振り下ろすたびに、骨が砕ける音がする。容赦はしない。

「ここで決めなければ負ける」


 数分後、粉々になった骨を前に、キルアは肩で息をしていた。


「勝った」感動も興奮もなかった。ただ、疲労感だけを感じた。早く財宝を持って帰って、レベル・アップをしたかった。


「もう、こんな島には一日たりともいたくないぜ」


 キャプテン・スケルトンが出てきた扉を開ける。下に続く階段があり、奥に扉があった。

 扉には鍵が掛かっていなかったが、船倉にあった宝箱には鍵が掛かっていた。


 一度、船上に戻ってキャプテン・スケルトンのフロック・コートを漁ると、鍵が出てきた。

「ついでだ。全部の服をいただこう」


 キルアはキャプテン・ハットを被り、フロック・コートを着て、ブーツを履く。


 サイズはピッタリだった。最後にサーベルを、腰に佩いた。再び船倉に下りて、鍵で宝場を開ける。中には、金貨がざくざくと思いきや、思いのほか少なかった。数えると四十五枚しかなかった。


 倉庫の棚にはワインや布があった。だが、潮と湿気で(いた)んでいて価値はなかった。かつては高価だと思える陶磁器や、ガラス製品も(ひび)割れていた。


 上手く行けば数レベル一気に上がると期待したが、思ったほどの成果がなかった。

「金の装飾品を持ち出した後だからな。残っている宝といっても、こんなものか」


 金になりそうな宝はないか探す。だが、大半は価値がなくなっていた。ただ、唯一、一辺が三十㎝ほどの木箱に入った白い玉のみが価値がありそうだった。


「何だろう? 価値にして金貨十枚くらいか。持って帰って、ラーシャに訊こう。街まで持って行けば、換金できるかもしれない」


 船倉にあった袋に金貨を詰めて洞窟に帰った。

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