case.8 帝王の復讐
あーつかれましたー!
でも小説投稿はがんばりますよー!
「―――全艦出撃だ」
俺のその一言で、魔改造船“グロリアス”が突撃していく。
グロリアスは、船の正面部分に大きなドリルを搭載しており、船体を正面からぶつけるだけで敵戦艦を破壊できるよう改造した。
しかし、ここで攻撃をしてしまえば折角用意した罠たちもその効力を発揮できない。
だから今は牽制だけさせておくことにした。
ちなみに、操縦しているのはルシファルナの虫たちだ。
グロリアスを見て、フラウの軍勢は高速で陸地に近づく。
そして接地し、続々と戦士たちが船から降りて外門を通過しようと突撃していく。
しかし戦士たちは、転移魔法によって魔王城の目の前へと転移させられる。
戦士たちは突然の出来事に戸惑いながらも、すぐに体制を立て直し、再び突撃してきた。
第一のゾーン……“魔剣天来ゾーン”に、先頭部隊が突入した。
ここはさっき解説した通り、城壁前のゾーンで空からは炎・水・雷・光・闇の属性の魔弾が降り注ぐ“五色魔天”と、剣放出機を使った“無限之剣雨”が敵を襲う。
さあ、前回からどれだけ威力が上がったのか……見物だ。
「グアァッ!」
「ウグッ……」
……まさかの一撃。
前回から学習していれば、魔法耐性、物理耐性ともに用意してくるのが妥当な判断だと思ったのだが、意外にもこのバカ国……何にも警戒しないで来たらしい。
戦闘を走っていった100名程度の戦士たちが次々と魔法と剣の雨に撃たれて死んでいく。
やっぱりバカだったな。
しかし、まだ侮ることは出来ない。
前回同様、魔法使いが存在したからだ。
それも、少しではなく……ざっと50人くらいは見えているな。
流石に、バカもバカなりに学んできたということか?
魔法使い達は、一度離れたところで立ち止まって、到着する戦士たちに耐性魔法や抵抗魔法をかけていった。
魔法を受けた戦士たちは、駆け足で第一ゾーンを通り抜けようとした。
しかし、前回のようにはいかない。
そう簡単に通してしまったら、結果は前回と一緒になってしまうからな。
城門に近づくにつれて、魔法の威力は強くなっていく。
―――ここで一つ回想を入れよう。
このシステムを強化した時に、ルシファルナが教えてくれた事だ。
◆
「ルミナス様、魔法の事は理解されていますか?」
「いいや……何となくイメージでしか。」
「それでは一つだけ、お教えしておく事がございます」
「何だ?」
「それは、この世界には魔法が通用しない相手など存在しないという事です」
(魔法が通用しない相手など存在しない……?)
「……魔法抵抗力は、あくまでも抵抗力でしかない。つまりは、相手の抵抗力を上回る威力の魔法を撃てば、ダメージは通るのです」
なるほど……つまりは、威力が高ければ高いほどダメージは確実に通る……と。
◆
―――ここで回想は終了だ。
そう……これで分かったと思うが、魔法はどんな相手にでも効くのだ。
それが、魔法完全無効とかそういうスキルでも無い限りは。
つまるところどうなるか、だ。
……結果は、こうだ。
「グァァァッ!」
「何故、我らの魔法が通用しないのですッ!?」
そもそも、奴らが使っている魔法は“鎧”シリーズの魔法であるように見える。
このシリーズの魔法は、“炎鎧”とか“雷鎧”とか、このように一つの属性が付与された魔力の鎧を対象の身に纏わせる魔法なのだが、これがさっき言った魔法抵抗力に関わってくるポイントなのだ。
“鎧”シリーズの魔法は、一時的なダメージ軽減と、対象属性魔法の魔力変換が出来る便利な魔法なのだが、この魔法は使用者のレベルに依存した耐久力となる為、レベルが低い人が使うほど、紙と化すのだ。
まあ、ダメージ覚悟で駆け抜ければ通り抜けられない事もないんだけどな。
剣さえどうにかしてしまえば、の話だが。
「クソ! “物理無効障壁”ッ!」
戦士たちは、どうやら無理矢理突破することを選んだようだ。
“物理無効障壁”……無効と言っているが、実際は軽減の効果しかない。
つまり“鎧”シリーズの魔法と物理障壁が施された戦士たちが、ダメージ覚悟で突進してきている、という事だ。
しかし、この第一ゾーンが突破されても第二のゾーンが待ち構えるだけ。
しかも敵が死ねば死ぬほど、その経験値は俺に入ってくる。
お陰でレベルはもう既に、いくつか上がっている。
「おい……どういう事だッ! 何故門が開いていない!」
と、ここで先頭集団が第二のゾーンに差し掛かったようだ。
さあ、まずは城門の下にある抜け穴に気づくかどうか。
何もせずに水堀に落ちれば“骨魚”に喰われてデッドエンド、だ。
「クソ……一体どうすればッ!」
「“進路探索”をかけます! なんとか魔法に耐えてください!」
ほう、ここも突破できる算段があるのか。
ルートサーチ、と言ったか。
文字通りの意味ならば……
「見つかりました! 場所は……水路の下、城門のちょうど真下です!」
「なっ! 真下だと!? バカな、この水路には大量の死霊兵が居るんだぞ!」
(ほう……? まさか気づくとはな)
これは意外だった。
俺の予想ではここで詰まるとでも思ってたんだが。
さて、しかし気づいた所で突破できるとは限らない。
これをどう潜り抜けてくるか、見物だ。
「チッ、どうする……?」
「一度、魔法を……」
そう、魔法使いの誰かが言いかけたその時だった。
「―――邪魔だ、そこを退け」
一人、“五色魔天”も“無限之剣雨”も効いていない様子の人物がこちらへゆっくりと歩いてきていた。
その姿を見て、戦士たちは道を開ける。
その光景はさながら―――モーセの十戒。
海を割くかの如く、人を割く。
「たった今ハヌマーン様より御信託を賜った。これより、帝王の名のもとに“神裁”を執行する」
帝王の名の……?
ってことは、コイツはまさか……
「帝王……ゼリド様ッ!」
「ハヌマーン様から御信託が……っ!?」
この前からハヌマーンハヌマーンって、煩いよな。コイツらの主神か?
「……ですが帝王様。お言葉ですが、“神裁”は一日に数回しか使えない貴重な魔法なのでは……?」
「構わん。それよりも大事なのは我らが神の啓示だ」
ゼリドは正面に指を突きつけながら言った。
「魔王よ、最後に忠告しておく。この土地を引き渡せ。さもなくば……といっても聞こえていない……か。まあいい」
(帝王ゼリド……一体何をするつもりだ……?)
「ハヌマーン様よ、我らに完全なる加護を。―――“猿神之加護”」
ゼリドが、手を上に掲げると光が戦帝国軍を包み込んでいく。
その光が収まる頃、戦士たちに俺の仕掛けたシステムによる攻撃が一切効かなくなっていた。
「ハヌマーン様よ、我らに死霊を撃ち払う力を。―――“猿神之神雷”」
さらにゼリドは、水堀に向けて魔法……? を放った。
それが水堀の中にいた“骨魚”を全て殺した。
と、同時にスポーン装置も破壊されてしまう。
「今だ、全軍突撃せよッ!」
ゼリドのその合図をきっかけに、次々と戦士たちが水堀の中の通路へと消えていく。
(―――マズイ……。こんな簡単に……突破されるとは……!)
帝王ゼリド……それにハヌマーンとやら。
想定外の出来事が多過ぎるぞ……?
(頼むから次のエリアはどうにか持ちこたえてくれ……!)
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