case.14 【暴食】の大罪ベルゼリオ(4)
「ふざけるなよ……ッ! 何度やろうが、結果は同じだ! ―――“盾投”ッ!」
怒りを露わにしたベルゼリオは、最初と同じく盾を投げつけてきた。避けてもブーメラン状に返ってくるなら、わざわざ避けなくてもいいだろう。
今度は受け止めてみよう。
そう思い、俺は“魔鎌”を両手に生成した。
そして、そのまま鎌を交差させた状態に持ち、飛んでくる盾を受け止めた。
のだが、
「フッ、フハハ! 我が盾は全ての魔を喰らうのだ。貴様のその武器とて例外ではない!」
魔を喰らう盾、か。確かにそれは危険だ。
だが、それは逆に魔の力を宿してなければいい訳だ。魔力の武器がダメなら、普通に金属の剣を使えばいい。
俺は消えていく“魔鎌”を手から離し、用意しておいた鉄製の剣を抜いた。
「早速お前の技、使わせてもらうぜ?」
「……? 何だと……?」
「―――“剛斬”ッ!」
技の原理は、分からないが、スキル『剣技』のお陰で技は使える。だから使った。
普通の鉄剣で、高威力の技。盾はどうなるか。
「なっ……!」
盾は、俺の攻撃で弾き飛んでいった。
盾を拾いに行く隙は与えない。即座に俺は攻撃を開始した。
(スキル、【憤怒】って……そう言う事だよな? 俺の予想が当たってれば、恐らくあの技が使えるはずだが―――)
「―――“豪炎華・向日葵”……ッ!」
俺が、その魔法を出現させたポイントはちょうど弾き飛んだ盾の真上。そこに巨大な花の蕾が現れる。
(予想通り、【憤怒】のスキルはサタンが使える技が俺も使えるようになるスキルだ……ッ!)
「なっ、これは……!」
「一度、原初の魔法を喰らってみるといいさ」
俺はそう言って、手をかざした。
―――開花。魔法が放たれる。超強力な熱光線。それが、ベルゼリオを襲う。
「グゥゥゥゥゥゥ……!」
まだだ、この程度で倒れる訳がないだろう。盾を拾われる前に、畳み掛けないと!
「“二色魔天”ッ!」
俺は記憶にない技を呼吸をする様に使った。“炎天”と、ルインの使っていた“氷天”を組み合わせようとしたら、使えていた。
「グゥゥゥゥッ!!」
空から無数に降り注ぐ魔弾たち。
ダメージは喰らっているようだが、見たところただ怯んでいるだけのようにも思える。
なら、俺が殺られた時の様に、もっと追撃すればいい。
「“招雷”ッ!」
使える魔法で、次々と追撃をかける俺。
それに、立ち上がる余裕も無い様子のベルゼリオ。
「グッ……ク……ソ……!」
どうやら、ベルゼリオももうそろそろ限界も近いみたいだな。
さらに俺は畳み掛けることにした。
「“雷墜”ッ!」
一閃の雷。それがベルゼリオに直撃。
(さぁ、どうだ。これで勝てるか?)
『いいや、まだだろうさ』
そう、ベルゼブブが言った。すると、その言葉通り、ベルゼリオは立ち上がった。
「―――我が力の本懐は守護ではなく、破壊である……。竜神としての力を見せる時が来たようだな」
そう言いながら、ベルゼリオはその身体に異変を現し始める。
「……“竜化”……ッ!」
鎧が砕け、その身体が竜のモノであることを示していく。
その変化が終わるまで、俺は息を呑んで見守ることしか出来なかった。
やがて変化が終わると、リガルテの時と同じような竜が目の前に居た。あの時と同じ、白い竜が。
「さぁ、コチラも本気で行かせてもらおう」
(……面白くなってきやがった)
俺は、両手に鎌を再び生成した。そしてベルゼリオの方を向く。
「行くぞ……!」
俺はその言葉と共に駆け出す。俺の狙いはただ一点、その翼だけだ。
まずはそれを切り落とす!
「『時間停止』」
そう思って勢い良く駆け出したのもつかの間、スキルによって時間が止められてしまう。
意識だけはどうやら残るみたいだが、身体が1ミリも動かない。
「フハハハ! 燃え尽きろぉぉぉぉぉ!」
ベルゼリオは、その大きく開いた口から炎を吐き出す。竜は炎しか吐けないのだろうか。
(って、そんなことを考えてる場合じゃない!)
『フン、我に任せろ』
(ッ!? ベルゼブブ、どうするつもり―――)
『おい魔王! 右に飛べ!』
そう、サタンに叫ばれ、俺は言われるがまま横に飛んだ。
すると、動けないと思っていた体が動いたのだ。
「なっ……! 何故動ける!?」
『我が解除した。安心しろ。『時間停止』は我の力でもある。解除など容易いことよ』
(……まじか。ベルゼブブさん最強なのでは。これで、もう勝てる。あと試されるのは俺の技量だけだ)
「不快だ……不快……不快不快不快不快不快不快不快!」
イライラが抑えられてない様子のベルゼリオ。怒りや、焦りは相手に隙を見せることになる。だから、戦いにおいては先に焦った方が……
―――負ける。
「“疾風”……!」
俺はベルゼリオに詰め寄った。
「ッ!!! クソが! 『時間停止』ッ!」
『無駄である』
ベルゼリオの『時間停止』は、ベルゼブブによって解除されてしまう。
「ナイスだ……! さぁ、ベルゼリオ。早速だが決着といこうか!」
「何故だ……何故だァァァァァ!」
……そろそろ終わらせよう。
「……“双刃”ッ!」
両手の鎌を、それぞれ勢い良く斬りつける。
狙いはもちろん、両翼。
スキル『剣技』の応用で、鎌を振るう。
「グァァァァァァァァァァァッ!」
俺の刃は、しっかりとベルゼリオの両翼を切り落としていた。
「何故……我が……」
ベルゼリオは、翼を切り落とされたせいからか、その竜の身体が人の形へと戻っていく。
俺はそんなベルゼリオに近づく。
「ま、待て。近づくな……やめろ……!」
だが俺はその静止を聞かない。
もちろん、アレをするためだ。
ベルゼリオのそばに来た俺は、手をかざし、そして言った。
「お前も……俺の傀儡となれ―――」
▶スキル『支配』を発動します。




