case.5 不幸な再会
あーーー!
「―――そうか。それなら……お前たちを殺す」
転生者共を処理する。
前と、同じだ。
アスモフィたちを攫い、ルインを痛めつけた。それだけで、死ぬ理由には充分過ぎるくらいだった。
「さて、最後に言い残しておくことはあるか?」
「まあまあ、そう焦らなくても―――」
「―――“疾風”」
レオンが何かを言い切る前に、俺は動いた。“魔剣”を片手に生み出し、『剣技』のスキルで詰め寄る。
“疾風”は、相手との距離を詰めるのにうってつけの技だった。
「クッ……おい、ダレス! その女を処理しろ! そんで俺の加勢しろ!」
一度、俺と距離を取るレオン。
焦りからか、一人称が「俺」になっている。
「ウルァ……ルルァァァァァァァア!」
レオンの指示を受け、ダレスはその太い腕を振り上げる。
反対側の腕で捕らえているルインに、拳が当たる直前―――
「―――汚い手で、俺の眷属に触れるな」
刹那、―――ダアンッ! と壁に打ち付ける音が響く。
「グルァァアッ……!」
「ダレスッ!」
俺が、ダレスを吹き飛ばしたのだ。“疾風”を用い、超高速で動くことにより、視界に捉えるよりも速く仕掛けられた。
レオンが吹き飛んだダレスに駆け寄る中、俺は倒れているルインを抱きかかえる。
「すまない……ルイン。俺が回復魔法を使えれば良かったんだが……」
しかし、ルインに反応は無い。
……やはり、アイツらを倒さないと駄目か。
そもそも、一体いつ仕掛けられたのか、全く分からなかった。
それに、何故ルインだけを狙ったのかも。
「チッ……もう手加減なんてしませんよ。貴方たち、出てきなさい」
レオンはニヤリと笑いを浮かべながら、指をパチンと鳴らした。
俺は、少し離れたところにルインを寝かせた。
そして、再びレオンに向き直る。
「は……?」
しかし、そこには目を疑う様な光景が広がっていた。
「何で……お前らがここに……?」
「フフ……アハハ……驚きましたか? そりゃ驚きますよねェ!? だって貴方が探している方たちが勢揃いしているんですから!」
そう、そこに居たのは……。
アスモフィ、サタール、ルシファルナ……つまり俺たちが探していた3人だったのだ。
「お前たち……! どうして……?」
しかし、3人に反応は無い。
……まさか、コイツらもなのか?
ただ、ルインと違う点はある。
そう、それはコイツらが動いているところ。
ルインは、眠ったまま……まるで石像のように動かない。しかし、痛みや苦しみは感じるようで、そういうのに対する反応はしていた。
「おい、レオン……。いい加減にしろよ……?」
「あーはいはい。もうそういうのいいんで。それじゃ私は先に上で待ってますね」
そう言いながら、レオンはダレスを引き連れて扉を出ていこうとする。
もちろん、俺はそんな事を許すはずもなく、
「逃げるなよ。―――“疾風”」
再び詰め寄ろうとした。が、
「“剣網”」
そう、冷たい声が響いたと思えば、目の前にはサタールが俺の攻撃を防いでいた。
「おい……サタール! 邪魔をするな……!」
俺はそう叫ぶが、俺の声はサタールには届かない。
「アハハッ! かつての仲間に裏切られる気分はどうですかァ!?!?」
(クソ……クソが……!)
俺はサタールと一旦距離を取った。
「それではどうぞ、感動の再会をお楽しみ下さァァい!」
そう言いながら、レオンはダレスと共に部屋を出ていった。
(ふざけるなよ……? 感動の再会だと?)
ああもう駄目だ。本当最悪だ。
視界が歪み始めた。
もう考えが纏まらない。
俺は、どうすれば……?
「“迅雷”」
俺がそう考えてる間も、サタールは攻撃を仕掛けてくる。
俺はそれを“魔剣”で軽く受け流した。
ああもう、どうすれば……。
(クソ……落ち着け……落ち着くんだ俺!こういう時こそ冷静にならなきゃ駄目だ)
いいか……いまやるべき事は3つ。
一つ、ルインを守り抜くこと。
二つ、魔帝八皇の状態を元に戻すこと。
三つ、レオンを消すこと。
そうだ……やる事は多い。
それに、俺が今相手しなきゃいけないのは、この魔帝八皇の3人なんだ……。
勝てるのか……?
いくら俺が強くなったからと言って、相手は3人いるんだ。
ナメてかかれば、当然負けるだろう。
しかし……レオンの奴、コイツらに何をしたんだ?
単純に洗脳系のスキルなら、俺に勝ち目はある。
と、いうか逆に負け筋を見つける方が難しいくらいだ。
「“飛剣・改”」
「“暴風”」
サタールとアスモフィの同時攻撃だ。
さて……冷静に考えみればこの状況、かなり厄介だな。
「グゥッ……!」
サタールの剣は何とか防げるものの、アスモフィの魔法は防ぐことができなかった。
「“魔雷”」
ッ!? 今度はルシファルナか……!
いつの間に後ろに回り込んでたなんて!
「“壁雷”ッ!」
咄嗟に魔法で対抗し、何とか防ぐ。
(あー……こういう時に『守護』のスキルが欲しいんだがなぁ)
「“迅雷”」
誰かが攻撃を終えれば、また次の誰かが攻撃をする。その繰り返しをずっと続けている。
一番厄介なのは、サタール以外の2人。魔法がどうも防ぎきれない。
そう考えながら俺はサタールの剣を受け止める。
あと1人……戦力が欲しいところだが……。
「あぁもう! “招雷”!」
俺は魔法を使いながら、一旦距離を取る。
『召喚』のスキルがあれば、戦力が補充出来たかもしれないが……
「ルインが起きてくれれば……!」
俺が、そう願った時だった。
『フハハッ! そこで俺だッ! ―――俺の力を貸してやるぜェ……? 喚びな!』
ッ!?
脳内に響くこの声は……確か……。
「サタン……?」
ビックリマーク




