case.3 演技
卒業式してきました
これからもよろしくね
「それにしても、アイツら……」
「ああ。よくあんな上物を見つけてきたよなぁ……」
「ヒヒッ……ブヒヒッ……」
無法都市ムウラに入り込んだ俺とルインは、たまたま通りかかった男たちのグループの会話に“いいカラダのいい匂いの女”や“イケメンな鬼”という言葉を聞き、それが消えた魔帝八皇の面々だと考えた。
その男たちが、もう一度引き返して見に行くというので、気配隠蔽魔法をそれぞれ使用して透明人間状態のまま、ついていくことにした。
いい案内人だ。
「確か、転生者ってやつなんだっけか?」
「ああ、そうみてぇだな。なんかアイツに見られると思考が働かないみたいだぜ」
「ブヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」
ッ……。やっぱりそうなのか。
“転生者”……
それに見られると思考が働かなくなる、だって……?
「洗脳系のスキルなのですかね……?」
「ああ、断定はしないが、おそらくそういう類のモノだろうな」
“目”に何かヒントがあるのか、それとも全然関係ない別の“何か”なのか……。
「おっ……いたいた。ヘヘッ、やっぱりエロいネェちゃんだなァ」
「ブホッ」
「ブヒヒヒヒッッ!!!」
おい男B……男Cの口調が移ってるぞ……。
てか、いた?……あれ。見えないけど……
「ルイン、何処に居るかわかるか?」
俺は、ルインに見えないか聞いてみた。
しかし、ルインの返事は無い。
どうしたんだと思い、後ろを振り返ると。
「ヘッ、奴らの言った通り本当に出てきたぜ……賞金首さんよォ!」
俺たちが尾行していたはずの男たちの内1人が、ルインの首元にナイフを当てて舌なめずりをしていた。
そして俺はそれに気を取られ、背中をガラ空きにしてしまい、男に触られてしまう。
「ヘヘッ、やっぱ居たかァ!」
透明化が解除されていく。
チッ……罠だったか。どうも上手く行き過ぎてると思ってたが……まさかこうなるとは思わなかったな。
「おい、ルインを離せ……」
俺は手の平に黒い炎……炎属性の魔法“獄炎”を出しながら威嚇する。
しかし、
「おい、いいのか? んな事してっと、この嬢ちゃんの命はともかく、アンタらが探してる奴らまでどうにかなっちまうかもなァ?」
「クッ……卑怯な……」
俺は大人しく魔法を消す。
しかし、ルインまでもが人質に取られるなんて……どうも最近は上手くいかないものだな。
「ヘェ、随分と余裕かましてくれるじゃねぇか。もっと動揺すると思ったんだがなァ……。この女を殺しても良いのかい?」
「おい、あまりナメた態度をとるなよ」
こんな安っぽい男たちの挑発に乗るつもりなんて無かったが、さすがに今のは許容できない。
ルインを殺すだと?ふざけるなよゴミ共が。
「主様。安心してください。私は、大丈夫です」
やっぱり。ルインが何一つ動揺していなかったから、絶対に大丈夫だろうと安心していたが、やはり何か考えがあったか。
「アァン? 調子乗んなよこのガキが!」
ルインを捕まえていた男はナイフを構え直し、そのままルインに斬りかかる。だが……
「遅い。“影陰”……“闇夜”……!」
スッ……とその姿を消したルインは続けて技を使う。
“闇夜”……。簡単に説明すれば、相手を切り刻む技だ。もちろん暗殺者御用達の技なので、短剣専用の技である。
「グァァァァッ!」
「お、おい! クソがッ!」
仲間がやられているのを見た俺の後ろにいた男たちが、俺に脇目も振らずルインを探し始めるが……
「俺を忘れるなよ? ―――“獄炎”」
少し溜まっていたイライラを吐き出すかの如く、燃え盛る黒き炎を2人の男にぶちかます。
「ァァァァァァァァァァツ! あっつ!」
「ブヒィィィィィィ! ブタの丸焼きになっちまうぅぅぅぅぅぅ!!!」
フハハハハハ! 案外楽しいな!
最近の戦ってきた奴らといえば、アスモフィやサタール……強い奴らばっかだったからな……。それに今の俺はかなり強くなっている。
実はレベルも少し上がったしな。フハハ!
「ルイン、よくやったな。もう出てきていいぞ」
俺がそう呼びかけると、スッ……とルインが現れた。相変わらず、気配が全く感知出来なかったな。
「ありがとうございます! 主様も流石です!」
「ありがとう。それより、コイツら……どうするか」
全身裸で(切り刻まれたのと燃えたので)倒れている男たちを見ながらそう言った。
手がかりも無くなっちゃったし……。
またイチから始めるしか無いか。
そう、考えた時だった。
「ああ、ここに居ましたか」
声が自分の上からした。
俺は上を見上げた。
すると2人の男が民家の屋根上に立ち、こちらを見下ろしていた。
「何者だ?」
「私たちは……そうですね。転生者、ですよ。貴方と同じ……ね」
……ッ!? 俺のことを転生者と知っているのか……?
いや、だがしかし、この状況……コイツらがアスモフィたちを攫った奴らってことでいいんだろな?
「聞きたいことは山ほどあるが、今は一つだけ聞く。俺の仲間たちは何処に居る。教えろ!」
「……まあそうなりますよね。いいでしょう。私たちも貴方に用がありましたので。ご案内致します」
そう言って、地面に着地し、「こちらです」なんて言いながら優雅に歩き始めた。
俺とルインは互いに目配せし、少し不安になりながらも「仕方ない」と、ついていくことにした。
警戒だけは怠らないようにしないと……。
あの男たちの言葉も罠……つまり偽証の物だとしてもアスモフィたちを攫った奴らだ。本当にそういう洗脳系の魔法やスキルを使うのかもしれない。
今、この場でルインを守れるのは俺一人しか居ないんだ。
絶対に何か仕掛けてくる。コイツらだけには気を許さないぞ……。
俺は確固たる意志を持って、転生者と名乗る男たちについていくのだった。
◆ ◇ ◆
【ルミナス】
性別 男
種族 半神
職業 魔王
レベル 17→19
スキル 『支配』
『転生』/呪い
『魔道』
『剣技』
『侵蝕』
『吸収』
『弓術』←New!
『液状化』←New!
『変身』←New!
『【憤怒】』
技能 魔刃
縮地
持ち物 無し
称号 『魔を突き進む者』
『罪を背負いし者』
攻撃力 1500→1900
防御力 1700→2100
魔力 2500→3000
ブックマークてんきゅー




