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case.18 静寂

更新ペース上げていきたい!

ブックマーク等もぜひぜひお願いします〜



 力が漲るのを感じる。

 私はこの一瞬で、強くなったのだと実感できた。



「ようやく面白くなって来やがったなッ!

オレをここまで手こずらせるとはなかなか面白ェッ! その強さは認めてやる。だがもう手加減はしねぇ! 1分だ。それでケリをつけてやる」


「……その言葉、そっくりそのままお返しします。1分でケリをつけましょう」



 お互い、目で語るかの如く、鋭い眼光を向けあっていた。



 辺りに訪れる、一瞬の静寂。




 しかし事はすぐに動いた。




「―――“電光石火ライトニングビート獣弐式デュアルビースト”ッ!」




 先に動いたのはマノンだ。


 今までと同じ、ただ常人じゃ見えないスピードで動いて、普通に攻撃をする技。

 この技はもう何度も見た。


 動き方、攻撃、全てに癖があるのも見抜いた。


 だから私は―――



「コレを仕掛けられたッ!」



 マノンが私に近づいた時、地面からガキガキガキガキガキガキガキッ! と、私が仕掛けた魔法が発動した。



「グァァァァァァッッ!!!!」



 ギリギリで回避したマノンはダメージを受け、後退する。



 何が起きたか、少し説明しよう。

 私はこの“電光石火ライトニングビート”という技を何度も見て、その攻撃の癖を見抜いていた。


 マノンは攻撃する際、私のギリギリ近くまで来るのだ。離れて攻撃する時は魔法だけ。それ以外は長い腕……(今は脚かな?)があって、リーチを持っているというのに、ギリギリまで近づいて攻撃してきているのだ。



 そこで私は、自分の目の前の地面にとある魔法を仕掛けておいた。



 罠魔法トラップマジック、“氷山ひょうざん”。

 コレを仕掛けられた場所を踏むと、自動で罠が発動し、踏んだ場所から氷の針山……まあ略して氷山とするが、それが現れるのだ。



 マノンは予想通り、ダメージを喰らって、そして勢いよく後退した。



「痛ぇな……まさか罠を張っているなんてなァ……?」


「ふふふ……!」



 私はつい、笑いをこぼしてしまう。

 何故か。それは事が思い通りに進みすぎているからだ。



「テメェ、何がおかしい! 笑うな!」


「じゃあ貴女、後ろを見ても同じことが言えますか?」


「ァン……? うおっ……んだよコレ!」



 そこに居たのは、無数の死霊たち。

 スキル『死霊』。さっき使えるようになったスキル。


 自分でも、分からないのだが、直感が使えると叫んでいた。言われるがままにスキルを使うと、本当に使えてしまったのだ。

 それにこのスキル、何故だが手足のように使える。


 だからこんな事も出来てしまう。




「“死霊爆弾スケルトンボム”、起爆!」




 刹那、会場に響く轟音。

 いや、爆音?


 死霊兵スケルトンたちは、次々と自爆していき、爆発攻撃と瘴気、毒を辺りに撒き散らして消えていく。一体が爆発すれば、周りの死霊兵たちも誘爆されて、流れるように全ての兵が爆発していく。



「グッ……何だよコレ……!」



 咄嗟の事で、スキルを使う暇がなかったのだろう。全てのダメージを受けているマノン。


 それに、“瘴気”……身体に悪影響を及ぼす空気と毒も多く吸ったようで、脚がぷるぷるしている。



 もうすぐ、終わりの刻だ。





「スキル『変幻』発動。―――“暗影之地シャドーフィールド”」



 スキル『変幻』……幻を操るこのスキルは、暗殺者アサシンの固有スキル。効果は調べてきた。でもまさか私が、この戦いで暗殺者になれるなんて、思いもしなかった。


 私はこのスキルを使って、自分の幻を幾つも生み出した。



「分身魔法か……? チッ……頭が回らねぇ……」



 魔法、“暗影之地シャドーフィールド”。

 文字通り、一定範囲を影で包み込む魔法。これも暗殺者御用達の魔法らしい。暗殺者にクラスアップしたことで、使用できるようになったみたいだ。


 ちなみに、私は魔法の天才らしく、練習なしで魔法が使える。

 そのせいで、私は昔から一人ぼっちだったんだけど……




 その話はまた今度に。




「“影陰えいいん”」




 私は思考を切り替え、フィールド中の影に全ての分身を隠す。もちろん自分も。



「アァ……クソ……前が見えねぇ……。クソ……クソ……こうなったら……! ―――“天地雷鳴てんちらいめい”ッ!」



 マノンは力を振り絞って範囲魔法を放つが、それは私に当たることは、もちろん無かった。




「クソ……クソがッ! 負けるのかよ……オレは負けちまうのかよ……ッ! ようやく……ようやく面白くなって来たってのに……ッ! こんな所でオレは…………ッ!」




 マノンは、その瞳に涙を浮かべながら、呟いていた。

 しかし、それは私に聞こえてる筈も無く。





「これで決着です。“急所突き”ッ……!」





 影から全ての私が飛び出て来て、その全てが手に持つ短剣で……毒のついた短剣でマノンの全身を刺した。









「決着だ。勝者は、魔王の側近……ルイン……!」



 サタールによる勝者のコール。

 だが、会場は静寂に包まれていた。


 かくいう私……アスモフィもただ息を呑むしか出来なかった。

 ルインちゃんの戦いが見たくて、すぐ神殿で寝るのをやめて、会場に戻ってきたのだけど……。



 何が起きたのか。


 驚くべき事は色々あった。


 まず“マノンの獣化”。そして“マノンのスキル『身代わり』”。そのスキルの犠牲となった魔王ルミナス。

 さらに“覚醒したように強くなったルインちゃん”。


 本当に色々あった。

 ルインちゃんが勝ったのは素直に嬉しい。


 だけど、正直喜べる状況でもなかった。



 試合が終わった直後、私とルシファルナ……あと叩き起こしたリガーテ、リガルテはルミナス様とマノンを連れて魔界へと飛んだ。治療の為だ。


 そしてサタールと……ルインちゃん、海王ムルは海底に残った。


 これは海王様のお願いだったのだ。

 「この子と決着をつけたい。」そう真面目にお願いされた。

 私は反対したけど、ルインちゃんが了承した為、しぶしぶ三人を残して帰還したのだ。



 治療室にルミナス様とマノンを寝かせた私たちは、治療に専念することにした。

 もちろん勝負は気になる。だけど、この二人が死ぬのは絶対に駄目だ。


 それに、この二人を救えるのはもしかしたら私しか居ないかもしれない。

 ここでおねえちゃんの意地を見せなきゃ!

 僧侶の名が廃るってもんよね!


 そう、自分に言い聞かせて、魔法を展開し始めるのだった。

バッドエンディング?

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